私は今朝までいた部屋に戻ると床に座る……瞑想をしていると自然と更識楯無との出会いについての記憶が流れ込んで来た……
……彼女との最初の出会いは私がまだ中学生の頃、第二回モンド・グロッソの時まで遡る……あの日一夏が誘拐された日……あの日からやはり私の運命もある程度決まってしまったのだろう……
用を足しに会場の席を立ったまま戻らない一夏を探しに来た私は意識の無い一夏を運ぶ一団を発見した。
……思えばこの時千冬に知らせるべきだったのかもしれないが私はそうしなかった。……まあ焦っていたのだろうな、家族を目の前で誘拐されそうになっていたのだから……平和ボケしていたのは否めない。あれ以来私はずっと気を張ったままだ。
……一夏を連れた男たちの車を拙いドイツ語でタクシーの運転手と交渉し追わせ、倉庫街に辿り着いた私は一夏を助ける為動いた。……幸いな事に連中は素人だった。ならば軍人としての私が制圧出来ない事も無い。
……自惚れだったのだろうな、結果男共を気絶させる事には成功したものの戻って来たISを纏った女にやられた。あの女から銃を突き付けられ二度目の死を覚悟した私を助けたのは一夏だった。
女にタックルをかまし女は一瞬怯んだがすぐに建て直し手を弾かれた一夏は吹っ飛び気絶。……一夏が作ったチャンスを無駄にする訳にはいかないと打開の手段を探した私が見つけたのが一夏のタックルで怯んだ女から落ちたブレスレット化したIS……本人はISを纏っていたわけだから恐らく予備だったのだろう……真相はもう確認出来ない。その女は咄嗟に拾ったそのブレスレットをISとして展開した私が殺したのだから。
後にドイツ軍と千冬が口裏を合わせ処理したが人の口に戸は立てられん。何処からか私がISを起動した事実は外部に伝わる……それを危惧した千冬の口利きで匿われたのが更識家だった。
……最も更識家の人間は私がISを使って人を殺した事実は当然伝えられている。なので当初の私の扱いは匿われていると言うより軟禁に近いものだった。……当時の当主だった更識楯無からはそれほど酷い扱いは別に受けていないが滞在中外に出るには更識家の監視が付く。
その際主に私の監視任務に付いたのが現当主である更識刀奈だった……当時彼女は私をガチガチに警戒していたのだが今はあの始末だ……あれが暗部の当主なのだから先が思いやられる……
「……私は何かしただろうか…?」
ああも警戒が緩くなるほどのアクションをした覚えは無い。……まあ理由はどうあれ人を殺すのに躊躇いの無い人間相手なのだから仮にも暗部の長を名乗るなら警戒は怠らないで欲しいものだ……
私は溜息を吐きながら立ち上がると食べ損ねた昼食を作るため冷蔵庫を……
「……そうだった……忘れていた……」
冷蔵庫の中の食材は今朝で切れていた。考えてみれば戻って来る予定は無かったのだから食材が用意されてる筈も無い……
「……仕方無い。今日は我慢を…!……この気配は……」
私は外のドアを開け「ご飯作りに来たわよ!」
私はドアを閉めた。
「ちょっと!?開けなさいよ!?」
外から声が聞こえるが無視する……何であんな目に遭わされてすぐに下手人の元に来れるんだ……?理解出来ん。
その後結局折れた私は彼女を部屋に入れたのだった……