ネタ帳   作:三和

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Sherry Belmondo of Destiny 13

「その日は、ある吸血鬼を狩るため俺たちは村を出ていた……奴の妹を留守に残してな。」

 

そこで私は口を挟んだ。

 

「そもそもさっきの話で気になっていたのだけれど…その妹さんって…当時歳はいくつくらいだったのかしら?」

 

「12だ…」

 

そんな…まだ子供じゃない…

 

「……たった12歳の少女を残して吸血鬼狩りを?」

 

「…誰かがやらなければならなかったんだ…その当時ベルモンドには既に分家はいくつかあったが、基本本家には誰も寄り付かなかった…モリス家のみ例外で極偶に訪れる事はあったがな…」

 

「何故…?」

 

「正式なベルモンドの血を引いてない二人はそれなりに疎まれていたからな…これ以上言い訳はせん。奴の妹が割と歳の割にしっかりしていた事もあり、置いて行っても問題無い、と俺も奴もお互い自分に言い聞かせる様にして…それが悲劇に繋がったのは確かだからな…話を続けよう…」

 

「その日、件の吸血鬼を仕留めたその瞬間…俺は強大な闇の気配を感じ取った…」

 

「闇の気配…?」

 

「ドラキュラが復活した…俺たちは急いでその場を後にし、村まで戻った…」

 

「村ってまさか…ここ…?」

 

「そう…ベルモンドの本家のある、ここだ…」

 

「俺たちが村に辿り着いた時、既に村は炎に包まれていた。俺たちは村をうろつく眷属たちを狩りながら生存者を探した…」

 

「それで…生存者は…?」

 

「いなかった…少なくとも村には遺体しか無かった…最も大半は避難出来ていたらしく、遺体もそう多くは無かった…」

 

「彼の妹さんは…」

 

「村の広場で見つけた…神への冒涜か、それともベルモンドである奴への挑発か…逆十字の形で立てられた、木の棒に逆さまに磔にされて臓物を引きずり出された状態でな。」

 

私は吐き気を覚えて口を押さえた…何て、惨い…惨過ぎる…

 

「眷属共を片付け、奴の妹と他の村人の遺体を弔っている最中に生存者に聞いた話では、奴の妹は率先して村人の避難に当たっていたらしい…それを聞いて奴はその場に泣き崩れた…」

 

「俺の前で初めて感情的な姿を見せる奴に戸惑いつつ、俺は声をかけた…」

 

『大丈夫か…?』

 

『アルカード…コレが奴の…ドラキュラのやり方か…!?』

 

『奴は…人を…ベルモンドを憎んでいる…奴にとってはコレが当然の報いなのだろう…』

 

『妹は…サイファは…何の関係も…無い…何も…!』

 

『ラルフ…俺は行く…お前は、どうする?』

 

『俺も行くさ…本来これは俺の役目だ…ドラキュラにこの償いをさせる…手を、貸してくれるか…?』

 

『何を今更…二年の付き合いだぞ?お前の頼みならいくらでも貸す。それにだ、俺も今回は憤りを感じている…父を…ドラキュラを許すわけには行かない。』

 

『ありがとう…友よ。』

そこまで言って彼は口を閉じた…

 

「…それで…結局彼はどうなったの…?」

 

この時点で私は…何となく彼の末路は想像がついてしまっていた…

 

「ドラキュラの元まで辿り着いたは良いが…今までが平和だったせいか、俺の方がヘマをしてしまってな…確実に致命傷を受けるところを奴が割って入り、奴は重症を負った…」

 

『何故俺を庇った!?』

 

『友を庇うのに…何の理由がある…?』

 

『俺は吸血鬼だぞ!?しかもお前が憎むドラキュラの息子だ!』

 

『関係無い…お前は俺の友だ…』

 

『馬鹿な…!』

 

「奴はそのまま意識を失い、俺はドラキュラに斬り掛かった…だが、嘗ては倒せたドラキュラに手も足も出なかった…」

 

『くっ…!』

 

『何と情けない姿だ、息子よ…』

 

『何を『お前は弱くなった…人間と友誼を結ぶなど…恥を知れ!』ふざけるな!』

 

「…結局あの時の俺にはドラキュラを倒す事は出来無かった…ドラキュラの言う通り、俺は弱くなったのだろう…ベルモンド家で送る奴と、奴の妹との日々が…俺を弱らせた…」

 

「俺が死を覚悟した時、異変が起きた…瀕死の淵にあった奴が起き上がった…」

 

『ラルフ…』

 

『すまないアルカード…今の俺に近付かないでくれ…お前を傷付けてしまう…』

 

「聖なる力に包まれ、奴の身体は光り輝いていた…奴には力を引き出せないが、ドラキュラを倒せる唯一の鍵として持ち込んでいた鞭…ヴァンパイアキラーと共にな。」

 

『何だその力は!?何故お前は立ち上がれる!?』

 

『声が聞こえた…お前に殺された人たちが…歴代のベルモンドが…妹が…お前を滅ぼせと!』

 

『戯言を…!』

 

「ドラキュラの元へ一歩、一歩と踏み出す毎に奴の身体は崩れ落ちていた…俺は奴に向かって叫んでいた。」

 

『止せ!そのままではお前も!』

 

『アルカード…コレが俺の役目だ!』

 

「俺には奴を止められなかった…そして奴の放った鞭のたった一振りでドラキュラが消滅した…」

 

『ラルフ…!』

 

『アルカード…コレで良い…ドラキュラは死んだ…どうせまた復活するだろうが…後100年は時間がある…』

 

『ラルフ…』

 

『アルカード…お前に頼みがある…』

 

『何だ?』

 

『これから先、産まれてくる新たなベルモンドのハンターを見守って欲しい…そして、俺の様に弱ければ助け、導いて欲しい…』

 

『それが…お前の最期の願いか…?』

 

『頼めるか…?』

 

『……呆れた奴だ…良いだろう…その願い、友として聞き届けよう…安心して眠れ。』

 

『ありがとう…そして、すまない…』

 

「コレが…奴の全てだ…その後俺は奴を弔い、今日までドラキュラとベルモンドの戦いを見守って来た…」

 

「私を助けたのは…彼の願いを果たす為…?」

 

「そうなるな…最も今回はついでだったのだが…」

「ついで?」

 

「君も気付いているだろうが…俺の知る限り今回はいなかったんだ…ドラキュラを倒せる程の力を持ったハンターがな…だから、俺自らが城に向かおうとした…そこで偶然君を見つけた。」

 

「そう…だったの…」

 

私は…彼らにも感謝しなければならないわね…ベルモンドの生まれでも無かったのに、ドラキュラを命懸けで葬った強き心を持ったハンターの兄妹に…

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