「フラグを回収してしまったな…」
「……」
私の懸念は的中。見事に作戦は失敗。先程一夏が負傷して帰って来た。原因は一夏たちが戦闘を行う真下の海面で避難勧告に応じる事無く密漁を続ける船員を箒が見捨てようとし、それを一夏に指摘され惚けてしまった箒に放たれた攻撃を一夏が受け止め、直撃。……現在一夏は昏睡状態だ。
「…私のISを寄越せ。」
「……」
無言でブレスレットを渡す千冬。私はそれを受け取り腕に着ける。
「…行ってくる。」
「…!待て!」
「…何だ?」
「…無事に帰って来るんだぞ。」
「……」
私は返事をしなかった。
「…どちらに行かれるのですか、兄さん?」
「…ラウラか。部屋で待機しろと指示があっただろう?ここで何をしている?」
旅館の廊下の真ん中に塞ぐ様にいるラウラ。
「…それは兄さんもでは?」
「…呼ばれたのは専用機持ちだろう?謹慎中とは言え私も一応専用機持ちだからな。」
「…そうですか。それで?取り上げられている筈のISを持ってこれからどちらに?」
「…野暮用だ。話はもう良いか?悪いがお前に構ってる暇は無い。…横、通るぞ。」
私は車椅子に乗ったラウラの横を通り過ぎ…!
「…離してくれ。」
「兄さんはこれから銀の福音の所へ向かうつもりでは?」
私は腕を掴むラウラの手を解く。
「…何の話だ?」
「…私はもう軍人ではありません。……ですが、まだ古巣に伝手はありまして「何だ?お前人望あったのか?」……」
ラウラがしょげ始めた。…やれやれ。
「…すまん。」
「いえ、良いんです…」
「…で、何の話だ?さっき作戦は失敗し専用機持ちたちには待機命令が出た。…どうせそれも知っているんだろう?」
頷くラウラ。
「…なら、分かるだろう?私はこれから、それも単独で、銀の福音の元に向かう理由は無い事くらい?」
「……私はずっと家族が欲しかった。…軍にすらいられなくなった私を姉さんが拾ってくれた。…嬉しかった。……負傷した一夏兄さんの事は心配ですが今はそれ以上に貴方が気になる…」
「……」
「…貴方は死にに行くつもりですか?」
「……」
私はラウラの横を通り過ぎた。
「ここで何をしている?」
「それはこっちのセリフ。貴方は一人で何処に行こうとしてるの?」
外を出れば今度はISを纏った楯無。……どいつもこいつも…
「…目的は分かるだろう?そこを退け、時間が惜しい。」
「言ったでしょ?私は誰も死なせない。貴方も、銀の福音の操縦者も。」
「…その方針は立派だがな、お前は一夏を守れたのか?」
「……そうね。あの作戦には私も参加していたけど一夏君は守れなかった……でも…貴方は守る。」
「…退け。」
私は拡張領域から大剣を取り出すと楯無に向けた。