彼の話が終わった…これ以上は余計…そう思いつつも私は口を開いてしまう…
「聞きたい事があるのだけれど…」
「何だ?」
「…さっき貴方は彼と彼の家族は彼が幼少期の頃に強盗に襲われ、彼だけが生き残ったと言ったわよね…でも彼には妹がいた…その妹さんはその時何処に…?」
私がそう言うと彼は溜め息を吐いた…
「半端に濁したから…余計に気にならせてしまったか…実は奴の妹もその場にいた…最もその時点では母親の腹の中だがな…」
「じゃあ…」
「奴の妹は瀕死の母親の腹を開けて取り出された…その傷が元で母親は死んだ…最も、母親の方は既に手遅れだったらしいからな…そのままなら母子共に亡くなっていただろう…」
「幸い奴が両親の決めた名前を知っており、妹の出生届は無事に出された…親は当時のベルモンド当主で登録してな…」
「…もう一つだけ、良いかしら?…彼はラルフ・C・ベルモンドたちの話を知らなかったのよね?なら、彼は何故貴方の事を?」
「……俺が奴に会うまでに関わったベルモンドはそいつらだけでは無い…奴が知っていたのはそう言う話だ…」
それきり彼は口を開かない…それ以上その内容について語る気は無い、って事かしら…言いたくないなら私からは聞けないわね。
「俺からも一つ良いか…?」
しばらくしてそんな言葉が返って来た。
「ええ、何かしら?」
「君はそもそも何故ここに来た?」
「…どういう意味かしら?」
「君はドラキュラの存在を知っていたのか?」
「…いいえ。元々私は吸血鬼ドラキュラ伯爵の事は創作の話だと思っていたわ…」
「では何故だ?復活は感じ取れたんだろうが、それでは戸惑う事はあってもわざわざここまで来ようとは思うまい。」
「私は頼まれたのよ…あるベルモンドにね…」
「誰だ?」
「レオン・ベルモンド…彼はそう名乗ったわ…」
「……」
「聞き覚えがある、という顔ね…」
「さてな、俺も正直何処で聞いたのか思い出せん…そいつは現代の人間なのか?」
「いいえ、故人よ…恐らくね…」
「死人と何処で会えたと言うんだ?」
「私の夢の中…そこで私はこの運命を託されたの。」
「…君は…」
「何か言いたい事でもあるかしら?」
「…夢で、見知らぬ男に会い、そしてその男の与太話を真に受け、こんなところまで来るとはな…」
「理解出来無い?」
「ああ。到底理解出来んな…最も、実際に来てしまった君に対してこれ以上俺から言える事は何も無いがな…いい加減休め、その傷…痛みは消えてもまだ治ってはいないだろう。」
彼はそう言って椅子から立ち上がり、部屋を出て行った。