「模擬戦?」
「ええ。」
「…誰と誰がですか?」
「もちろん貴方と私が「断ります。」せめて最後まで言わせて欲しかったな。」
「…先日の一夏との模擬戦。」
「…え~と…その…」
私は目の前の女性ナターシャにジト目を向ける。
さて、先日正式にIS学園教師となった彼女、ナターシャ・ファイルスはその奔放な雰囲気から何処と無く不安を感じていた私だったが見事それは的中した。
……彼女の授業には問題は無い。内容も分かりやすかったし相も変わらずチンプンカンプンの一夏に授業後懇切丁寧に説明もしていた。(強いて何かあるとすれば一夏に対して明らかに距離が近い事だろうか。不穏な空気が漂っていたが私は徹底して無視した。…というかあれは青少年には毒だろう。本人は天然の様だから尚更質がわるい…)
問題は放課後だ。
彼女は一夏に実力が見たいと言い、模擬戦の誘いをした。…私としては結果も予想が着くし止めようとしたのだが一夏は二つ返事で受けた。
結果は当然一夏の惨敗。
馬鹿正直に正面から突っ込んだ一夏の白式がナターシャの駆る銀の福音による銀の鐘で撃ち落とされた。あまりにも圧倒的で銀の福音の性能を知る専用機持ち以外は完全に呆然としていた。…ちなみにその中にはナターシャ本人も含まれる。まさか彼女も白式の武装が実質ブレード一本だったとは思ってもいなかったらしい…。
とまぁその一件以来完全に一夏も塞ぎ込んでしまっているのだが恐らく戦闘狂の気がある彼女はあれでは不完全燃焼なのだろう。改めて私に模擬戦を挑んで来たのだ…。
「あの時は…まさか、その、あそこまで一方的な展開になるなんて思っても見なかったから…」
「教師なら専用機のデータを見れる筈です。模擬戦の相手なのに情報収集もしてなかったんですか…?」
「…いや、初見の方が楽しめると思って…ハッ!いや、違うのよ、うん…え~と…その…」
仮にも生徒との模擬戦を楽しめる、ね…。教師の台詞とは思えんな…。
「だっ、大丈夫よ。今度はちゃんと手を抜く「そもそも軍用だった銀の福音に学生が勝てるとでも?」でも、貴方も専用機持ちで「私のは所詮旧世代の遺物です。最新のISとはスペックが違い過ぎます。それと、私が専用機を持ってる事は一応大っぴらにしないで欲しいのですが」うぅ…」
生徒に正論を言われただけで涙目になる教師が何処にいるんだ…?そう言えば束も私が苦手で私に姿を見せないのはそれが理由らしいが…。
……私はそんなに怖いのだろうか…。
「…条件次第で受けますから泣かないで下さい。」
「…本当?」
「…まず、私はそもそも謹慎の身です。織斑先生から許可を取って下さい。後、一夏の時と違い、観客は無しでお願いします。」
「分かった!織斑先生に聞いてくるわね!」
満面の笑み…さっきのはまさか嘘泣きだったのか…?
「…どうして私には何時も厄介事が舞い込むんだ…?」
私は自分の不運を呪うしかなかった…。