ネタ帳   作:三和

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偽黒の剣士3

茅場晶彦のデスゲーム宣言で私たちの中で一番怯えていたのはカズ君だった。普段どんな時でも笑顔を浮かべている顔が強張っている。

 

……私がこの子を守らないと……そう思っていた私の手をカズ君……もといキリト君がすごい力で引っ張って来た。

 

「……リーファ姉ちゃんこっちに…!クラインも来てくれ!」

 

「何だ!?どうしたキリの字!?」

 

先程知り合った男性クラインさんにも声をかける

 

そして私たちを路地裏に連れてきたキリト君が話す

……ゲームに余り慣れていない私にもかいつまんで話してくれた

 

このゲームのモンスターは所謂Reポップ性。

モンスターは倒されればしばらくすれば復活するしそうしなくてもフィールドにはそれなりの数のモンスターが出没する。しかしそれはこの始まりの街全てのプレイヤーに行き渡る物では無い。HPゼロ=死となった今少しでも死なないようにするためにはレベルを上げて強くなる必要がある。

 

無論同じようにレベルを上げようとするプレイヤーは必ず出てくるだろうしそうなれば始まりの街の周辺のリソースは足りなくなり満足にレベルを上げるのが難しくなる。だから少しでも多くレベル上げをするにはここを出て次の街に向かう必要がある

 

「……俺はベータテスターだったからここから次の街までの最短ルートを知ってるんだ!だからリーファ姉ちゃんとクラインに一緒に来てほしいんた!」

 

私に断る理由はない。でも……

 

「……悪りぃ……キリト、俺はここにダチがいるんだ。置いて行けねぇ……」

 

さっき聞いたがクラインさんには同じようにSAOにログインした友人がいる。

 

「……」

 

キリト君はそもそも親しい友人や身内以外の人と接するのが余り得意ではない。……ただ彼は初対面の人相手でも基本的に笑顔なので第一印象から悪感情を抱かれることは少ないが。

 

反応で彼が渋ってるのは分かるのだろう。躊躇いつつもクラインさんはこう言ってくれた。

 

「……そうだ!お前らも俺らと一緒に行動しねぇか!?人数が多い方が心強いだろ!?」

 

……クラインさんも分かってて私たちの事が心配だから言ってくれているのは分かる。だけど……

 

「……ゴメン、クライン……俺には大人数で行動して全員を守りきる自信がない……」

 

……普通は大人の人が大人数で私たちの側に居てくれるのは喜ぶ事なんだろう……でもこのSAOでは違う。

 

戦う力がものを言うこの世界では初心者は足手まといになってしまうのだ。先程聞いた話ではクラインさんを含む全員がこのゲームの初心者で当然武術の心得も無い。

 

……傲慢な話であるが必然的にベータテスターであるキリト君やリアルで剣道をやっている私が彼らを守らなければならなくなるのだ……

 

「……そ、そうだよなぁ……分かった。大丈夫だ、キリト!俺はテスターであるお前から習ったんだ!それを生かしてあいつらと一緒に絶対生き延びてやるよ!……だからそんな顔すんな!これでも別のゲームではギルドの頭張ってた事もあんだ。何も心配要らねぇって!」

 

「……本当にゴメン、クライン……」

 

この世界では感情を隠す事が出来ないのだと言う。私はキリト君が泣くのをかなり久しぶりに見た気がした

 

「……ほれ泣くな。男のお前が泣いててどうやってリーファを守るんだよ。……リアルでは姉でもここではお前がリーファが守らなきゃな」

 

クラインさんがキリト君の頭に大きな手を乗せる……先程うっかり私が口を滑らせてしまい私とキリト君がリアルで姉弟の関係だとクラインさんは知っている。言い触らしたりしないという誠実な彼の態度は不思議と信じられた

 

「……うん。分かった!じゃあ、俺たちもう行くよ!クラインも頑張れよ!」

 

「クラインさん、お元気で」

 

「おう!お前らも気いつけてな!」

 

駆け出す私たちに再びクラインさんの声がかかる

 

「キリト!お前そんな顔してたんだな!結構好みだぜ!リーファ!もしリアルに帰れたら俺とデートしてくれよ!」

 

キリト君は勇者のような異様に整った顔のアバターにしており私は似合って無いなと思っていた。……どうも親譲りの女顔を気にしてたみたい。私は可愛くて良いと思うんだけどな~……ちなみに私は体型その他を変えると剣を振る時なんかに違和感が出ると思ったから顔を含めて全部リアルのまま

 

「…お前もその野武士面の方が百倍似合ってるよ!後姉ちゃんにちょっかい出すな!」

 

クラインさんはさっきまで明らかに作られたイケメン顔をしていた。確かに今の顔の方が親しみがある

 

「……クラインさん!私はまだ中学生なのでお断りします!」

 

それを聞いたクラインさんが目をぱちくりさせて驚くのを見て私は笑ってしまった

……そんなに年相応に見えないかな、私。

 

「……ね、姉ちゃん……まだって……まさか…?」

 

「さっ、早く行こう!キリト君!」

 

「!姉ちゃんそっちじゃないって!こっち!」

 

キリト君と二人で必ずこの世界から生きて帰る。私はそう誓った

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