「……出ないね、花付き……」
「……ベータだともう少し……マシだったんだけど……」
さて私たちは今クエスト報酬のアニールブレードを手に入れるため植物型モンスターリトルネペント狩りをしている。
クエストの内容はこう。ホルンカの村の民家にいるおばさんに頼まれておばさんの娘の病気を治す為にリトルネペントの胚種を手に入れること。
……リトルネペントの胚種はリトルネペントの花付きしか落とさず、しかも出現確率の高い実付きの実を破壊するとリトルネペントが大量に現れる。……私たちは二人しか居ない上に今はデスゲーム。慎重にリトルネペントを狩って行っているんだけど……
「……」
いや。これが二人して言葉も出なくなるほど花付きが出ない。実付きはよく出るんだけど……
「……キリト君……」
「……リーファ姉ちゃん。何考えてるのかは大体分かるよ。……でも止めた方が良いよ。囲まれたら俺たちの人数じゃ対応出来ないよ……」
いっそ実付きの実を攻撃してリトルネペントを集めた方が早いんじゃないか?という提案は言い切る前にキリト君に止められた。……そりゃそうだよね。
「……キリト君?時間もそろそろ遅いよ?さすがに寝ないと保たないよ」
実際私はまだ大丈夫だがキリト君は明らかに眠たそうにしている……この世界は仮想現実。本来眠くはならないらしいが一種の癖なのかな?
「……うーん……でもこのクエスト多分途中中断出来ないからなあ……」
「……せめて休憩しよう?私が見張ってるからキリト君は仮眠取った方が良いよ。」
「……そんな訳にはいかないよ……」
そうは言うがキリト君は明らかに眠そうだ。
「……ほら?無理して何かあったら困るしね?」
「……分かった。少し休むよ。」
そう言ってその場に横になろうとするキリト君の肩を叩く。
「……え?何?…! 」
私は自分の膝を叩く。
「……いや。さすがにそんな訳には……」
「……」
……焦れったいな。私は小柄なキリト君を抱え上げるとそのまま私の膝に乗せた。
……顔を真っ赤にして暴れていたキリト君はやがていよいよ疲れたのか眠り始めた。
……今日はずっと大変だった。ちなみにキリト君の話だともう街の宿に着いてる計算だったらしい。
「……クラインさん大丈夫かなぁ……」
残して来てしまったクラインさんが気掛かりだ。割と慎重な人みたいだし多分大丈夫だと思うけど……今は自分たちの事を考えよう。
「……本当に出るのかなあ…?」
キリト君の言うリトルネペントの花付きは未だに現れない。というかモンスターがpopしないな。
「……空気を読んでくれてる……とか?」
そんな機能があるならデスゲームという欠陥を何とかして欲しい所だ。私はキリト君が大好きだし弟との久しぶりの時間を過ごしたいとは思っていたけどそんなゲームの中に二人きりで閉じ込められるなんてシチュエーション望んでなかった。
「……星が綺麗……」
考えが暗くなるのを感じ気分を変えようと上を見上げると頭上には満天の星空が広がっていた。
……ここがデスゲームじゃなかったら普通に観光でもしたかったのにな……