それから私はキリト君と共にレベル上げに励みキリト君の指導の元、ソードスキルの練習をした。……いつの間にか安全マージンを突破し辛うじてソードスキルを使えるようになった私はこの街トールバーナにて行われる第一層ボス攻略会議に出席するため広場に立っていた。
「……少ないな……」
「……えっ、何が?」
「……ここに集まった人数だよ。ボスは複数のプレイヤーが揃って大きなパーティを組んで攻略するのが普通なんだ。」
「……へぇ。そうなんだ。……でも少ないって?」
私の目にはそれなりの数のプレイヤーがこの場に集まっているように見える。
「……ここにいるのはボス部屋に入れる上限人数よりも少し少ない……通常ボス戦をする分には問題無いんだけど……」
何となくキリト君の言う事は伝わった。それはつまり……
「……ほぼ上限人数しかこの場に居ないってことは予行演習の出来ない私たちは一人二人かけてもアウトだし、最悪全滅したらもうボス攻略は出来ない……という事?…」
「……そうなる…。」
それは確かに問題だ。……つまりそれだけこの場に立てる程のトッププレイヤーが育ってないという事だ。……勝てるならいい……でも、もし私たちが負けたら……?
「……はい!五分遅れだけど始めさせてもらいます!……俺はディアベル!職業は気持ち的にナイトやってます。」
気付けば青い髪の整った顔の男性が声を上げていた。……職業?
「……えーと…キリト君「SAOに職業選択システムは無いよ。中にはそういうゲームもあるけど。」そうなんだ……」
何やら笑いが起き和やかな雰囲気になっていた。……キリト君も声こそ出てないけどその顔は少し笑っている。……何がおかしいのか分からない……何か取り残された気分……
「……さて、本題だ。……わざわざ皆に集まってもらったのは他でもない……今日俺たちのパーティがボス部屋を発見した!」
私の疎外感を他所に彼の演説は続く。ボス部屋の発見……キリト君がボソッと「……随分かかったな…」と漏らしていたからどうもベータの頃に比べて遅れ気味らしい……
「……俺たちはボスを討伐してはじまりの街に残っている人たちが俺たちに託している希望に答えなきゃいけない!それがトッププレイヤーである俺たちの義務なんだ!そうだろう皆!?」
「……すごい…」
私は思わず言葉が漏れた。……この場の皆の士気が上がるのが分かる。かく言う私も少し興奮していた。
「ちょお待ってんか!」
彼の演説に割り込む声が聞こえた。そこを見るとトゲトゲ頭のプレイヤーがいた。
「……皆言うたな?あんさん?」
「……そうだけどそれが?何か意見があるならまず名乗ってくれるかな?」
彼がディアベルと同じ壇上に上がる。
「ワイはキバオウ。今ディアベルはんが言うた皆……そこに混じって普通のプレイヤーとして何食わぬ顔でこの場に立ってる奴!この中におるはずなんや!この場で詫びいれなあかん連中が!まずはそれをはっきりせんとな!」
「……キバオウさん、君の言う連中と言うのはベータテスターの事かい?」
「決まっとるやないかい。奴らは美味い狩場独占して自分らだけ強うなりおった。情報の共有がされへんかったんや!せやから見てみい!この場に集まれたのはたったこれだけや!テスター連中がちゃんと情報を渡していればこの場にはもっとたくさんのプレイヤーがおったはずなんや!だからテスター連中にはこの場で詫び入れてもろうてたんまり稼いだコルや装備をこの場で還元してもらわにゃあワイらは収まらんちゅうわけや!」
和やかな雰囲気だったこの場がまるで罪人を糾弾する場のように私の目の前で変わってしまった。