場はどんどんベータテスターに対する炙り出しの方向に向かっていく……まるで話に聞く中世の魔女狩りだ……これはいけない。
「……俺のせいなのかな……」
「…?キリト君…?」
「……俺がクラインやはじまりの街にいたプレイヤーを見捨てたからかな……」
「…!違う!それは違うよキリト君!!」
「……リーファ姉ちゃん、俺がクラインを見捨てたのは事実だよ……だから……」
「……!駄目だよキリト君!」
今あの場に出て行ったらどうなるか分からない……謝罪とお金やアイテムを全部渡すだけで済めばいいけど最悪……!
「……待ちな、坊主。」
「……貴方は?」
気が付くとキリト君の傍には大柄の男の人が立っていてキリト君の肩にその大きな手をかけている。黒い皮膚……どう見ても外人さんだ……でも綺麗な発音の日本語……日本に住んで長いのかな…?
「……俺のせいなんだ……だから、行かないと……!」
「だから待てって。俺に任せな。」
そう言ってその人は糾弾の場に向かう。
「……発言良いか?」
「……なっ、何やあんた…?」
「……構いませんよ。それで、貴方は…?」
「……俺はエギルってもんだ。さて、あんたキバオウって言ったか?」
「……そっ、そや。それがどないした?」
「……あんたこいつは貰ったか?道具屋で無料で配っていたこのガイドブックだ。」
あっ、あれなら私もキリト君も貰っている。
「……もっ、貰うたで。それが何や?」
「……こいつはベータテスターが書いたもんだ。」
周囲に動揺が広がって行く。キバオウさんの顔色が悪い。
「……いいか?ちゃんと情報はあったんだ。……皆口に出そうとしないが既に多くのプレイヤーが亡くなってる。」
……そうだったんだ……。その中にはコペル君も……彼は私のせいで死んだ事になるのかな……
「……情報はあった。にも関わらず犠牲が出ているのは彼らがきっとベテランのMMOプレイヤーだったからだ。死んでも問題の無い他のゲームと同じ感覚で無茶をして死んでいった。で、その責任の追求をテスターだけに求めるのか?今俺たちにそんな余裕はあるのか?この場はそれを踏まえた上でこの場にいるプレイヤーが同じ目標を見据え今後の事を話す場だと俺は思っていたんだがな」
「……キバオウさん、彼の言う通りだ。今はテスターの糾弾をしている場合じゃない。この場でテスターを無理矢理炙り出して排除する。……そんな事をして攻略が失敗したら元も子も無い。」
ディアベルさんがエギルさんの発言に乗っかる。キバオウさんは舌打ちをしながら人集りの方に戻って行った。
……私はキリト君を連れてエギルさんの所に向かう。
「……ん?どうした?」
「……あの……ありがとうございました。」
「……ああ。さっきの事か。気にするな。……なあ坊主?お前一人が責任取る必要なんて無いんだ。本当は俺たち大人がもう少ししっかりしないといけなかったんだ……」
「……坊主じゃない……キリトだ。……サンキューな、エギル。」
「……私はリーファです。」
「……おう。そうか。宜しくな、キリト、リーファ。さっきも言ったが気にするな。まっ、次からはもうちょい大人に頼んな。」
そう言ってニカッと笑うエギルさん。……見た目は怖いけどすごく優しい人みたいだ。
「……さて、実はさっきの攻略ガイドブックだがさっき最新版が配布された!」
ディアベルさんが演説を続けていく……取り敢えずこれでしばらくは心配要らないかな……