「……」
「……」
今私たちの部屋の奥の扉の向こうでアスナさんは入浴中だ……あっ、ご飯食べそびれた……!ノック?
「……私が出るね?」
キリト君が頷いたのを確認し私はドアを開けた。
「……ヨッ!リッちゃん!」
「アルゴさん?どうしたんですか?こんな時間に?」
扉の向こうにいたのは通称鼠のアルゴさん。キリト君曰くベータテスト時代から活躍してた凄腕の情報屋なんだとか。私との付き合いはそう長くないのだが初対面で自己紹介した時からあだ名を付けられてしまっている。……キリト君によれば「基本的に何言っても止めないし仕舞いにはコルを要求されるから諦めた方がいい」との事。ちなみに私は人柄は一応信頼出来る人だと思っている……多分。
「……ちょっとキー坊に話があってナ……入っても良いカ?」
……もしかして例の話かな?私は念の為キリト君の方を見る。
「……良いよ。入って貰って。」
「オウ!悪いな姉弟水入らずの所邪魔シテ。」
「!変な言い方すんなよ!」
「……」
ちなみに私たちが姉弟なのはバレている。クラインさんの時と同じ私のうっかりと言えばその通りだが……二人の関係性をしつこく追求するアルゴさんに折れたからと言った方が正しい。
「ナハハハ。そんな怒んなヨー、キー坊!」
「……で、用件は?」
基本アルゴさんは相手をからかえるネタがあるならずっと弄ってくる癖があるそうでこちらは気にせずさっさと本題に入るのが吉なんだとか。
「……またあの話ダ。今度は倍出しても良いそうダ。」
「……アニールブレードをその額で売れって?」
アルゴさんの話の内容は簡単だ。要するにキリト君の持つアニールブレードを売って欲しいという人がいるとの事。……しかもこれが初めてじゃない。
「……それだけの額出せるならもっと良い装備揃えられるだろ?何考えてるんだそいつは?」
「……オネーサンとしてもあんま気進まないんだけどナ……いくら言っても向こうは聞かないんダ。」
「……アルゴさん、その人の事を聞いても?」
私もおかしいと思う。何とか正体を知る事が出来ないかな?
「……ちょっと待ってロ。向こうに確認スル。」
……アルゴさんの話によるとこの手の商談は自分が仲介してお互いの正体を分からないようにして進めるのが普通だが向こうが仮に承諾すれば教えても良いんだそう……
「……教えていいそうダ。」
「……で、誰なんだ?」
「……キー坊も知ってる奴ダ。今日の会議で騒ぎを起こしタ……」
「……あいつか。」
キバオウさん……一体何の目的で……?
「……で、どうする?売るのカ?」
「……もちろん断る。」
「……了解。先方にはそう伝えるヨ。……あーそうだ…寝巻きに着替えたいんダ。奥借りてイイカ?」
「ええ。どうぞ。」
「サンキュー。」
奥に向かうアルゴさん……あれ?何か忘れてるような…?
「姉ちゃん奥にはアスナが!」
そうだった!
「アルゴさんちょっと待「キャー!」あっ……」
……そこからの事は覚えてない。