泣き疲れまた寝てしまったキリト君をベッドに運ぶ……ノックだ……誰だろう?ここを知ってる人は少ない筈……
「……誰ですか?」
ここは圏外だが一応剣から手は離さない。……あの日以来私は人をほとんど信じていない……
「……リッちゃん……オレッちダ。夜遅く悪いんダがちょっと開けてクレ……」
「……アルゴさん…?」
私はドアを開けた。
「……ワリィなリッちゃん夜遅く……」
「……それは良いです。ただ、キリト君が寝てるので静かにだけしてもらえれば……それで何の用ですか…?」
「……リッちゃんにお客サンダ……サッちゃん。」
そう呼ばれ現れたのは私が忘れたくても忘れられない顔だ。
「……何の用ですか、サチさん?」
私は先程より棘を込めて話しかける……気を使うつもりは無い。キリト君がこうなったのは彼女にも原因……いや。彼女と彼女の所属していたギルドにも原因があるのだから……
「……リーファ、キリトはどうしてる…?」
「……聞いてませんでしたか?寝ています。……もう良いですか?帰って貰えます?」
「……一目で良いの。キリトに会わせて?」
「……勝手ですね。誰のせいでキリト君は壊れたと思ってるんですか?」
「……」
そう言うと彼女は黙りこくってしまった。
……あの頃と何も変わってない。……もう一年も経つのに……
「……リッちゃん。」
「アルゴさんどうしてこの人を連れて来たんですか?私たちに何があったかは話しましたよね?」
「……スマン、リッちゃん……ナァ取り敢えず外で話さないか?」
私は後ろを振り向く。キリト君が起きて来る気配は無い。……この後はレベリングの予定だったけど……
「……まぁ良いです。何処にします?」
……寝過ごしたせいでどうせ予定時間も過ぎている。
「……黒猫団のギルドホームダ。周りに誰もいないのはさっき確認済みダ。」
「……」
寝ていたとは言えあまり疲れは取れていない。戦闘中は意外と気にならないがこういう何でもない時に疲れは出るものだ……
「……そうしましょうか。」
月夜の黒猫団と言うギルドに私はいい思い出は無い。行けば余計に気が滅入る事だろう……でも私たちの話はその辺で出来るものじゃないし増してや人に聞かれる訳にも行かない。
月夜の黒猫団のギルドホーム……になる筈だった場所にやって来た私たち。
……今でも使えるという事はサチさんが使ってるんだろうけど私にはその神経が既に理解出来ない。
「……お茶飲む?」
「結構です。」
「……オレッちは貰うよ。」
サチさんが台所に立つのを見ながら私は月夜の黒猫団との出会いを思い起こしていた……