月夜の黒猫団のとの出会いはそう劇的なものじゃない。ありふれた物だった……
……あの頃はまだビーターの悪名は下層プレイヤーに迄伝わっており後に攻略組に上がった人たちからも私たちは目の敵にされていた。……攻略組でまともに接してくれたのは極わずか。
……私は表面上出さないようにしてたけどそれなりに疲弊していたしあからさまにヒールを演じるキリト君はとうとう笑う事も無くなった。
……彼が笑うのは悪意を出す時だけ。
その笑顔にどんな意味があるのかも知らないまま心無い言葉をぶつける攻略組の人たちに私はうんざりしていた。
そんな時だった。ギルド月夜の黒猫団との出会いは……
攻略組に限らず上レベルのプレイヤーは基本的に下層にてモンスターを狩ることは事情によりけりとは言え普通はマナー違反である……まあ下層プレイヤーのレベル上げの機会を奪っているわけだから当然と言える。それにそもそも上レベルのプレイヤーが下層にてモンスターを倒した所で大した経験値もコルも得られない仕様なのだから本来メリットはあまり存在しない……ただ、例外はある。
コルや経験値は潤わなくてもモンスターからドロップする素材は変わらない為職人プレイヤーや単純に素材を持ち込んで武器や防具等の製作をお願いしたいプレイヤーに取って時には下層にて狩りをしなきゃいけないパターンも存在するのだ。
20層にあるひだまりの森
そこで素材集めをしていた私たちが出会ったのが月夜の黒猫団だった。
……彼らはモンスターに囲まれ完全にパニックに陥っていた。まず言いたい事は色々あるけれど彼らの場合人数が全く活かしきれていなかった。それぞれが勝手に動くせいで全く連携が取れておらず、その中で一人だけいた少女が特に酷い。モンスターに攻撃しようとしているが当たっていない。……それもそのはず、彼女はモンスターを見ていなかった。完全に目を閉じて戦っている。闇雲に槍を振り回しているところから見て彼女はモンスターに対する恐怖心を克服出来ていないのだろう。
……私たちとしてはそもそもここにいるの自体がマナー違反だしこれ以上後ろ指を指されるような状況は御免だったけれどさすがに放って置くのも寝覚めが悪い。
私はキリト君に代わって声をかけた。
「……あの!大丈夫ですか!?そっち支えましょうか!」
「!頼む!」
眼鏡をかけた少年から答えが帰って来る。……彼がリーダーか。何処と無く頼りなさそうな印象だ。
私とキリト君は彼らの戦闘に加わった……というか主に戦ったのは私たちだ。……良く見たらそもそもこの人たち前衛職いないんじゃない?……