その日から私たちの戦闘訓練が始まった……ちなみに自分でも引くほどのスパルタである……志が高いのは結構だけどそれに実力が伴ってなければ全く持って意味を成さない……攻略組は口だけで成れるほど甘くないのだ。
「……ほらサチ、そうじゃなくてこう。」
ちなみにキリト君はサチさんと真っ先に打ち解けた。……彼女自身子供と相性が良いのかも。歳不相応に幼い所の抜けないキリト君と怖がりでも芯のしっかりしているサチさんの組み合わせは色々な意味で悪くない様に見えた。……彼女が特に酷い為私より強いキリト君はサチさんに付きっきりだ。そして私はと言うと……
「……あの…まだ始まって五分も経ってないんですけど……?」
「……もっ、もう勘弁してくれ~!」
……ちょっとやり過ぎた…?実戦形式の方が分かりやすいと思ったからただ試合しただけなんだけど……というかこの程度なら攻略組なんて夢のまた夢だ。特にキリト君とサチさんを複雑な顔でチラチラ見るケイタさん……彼ははっきり言って特訓に全く身が入ってない。……気持ちは分からなくも無いけどね……
「……ケイタさんはまだいけそうですねぇ…?もう一本行きます?」
「……え!?まっ、待って!?もう無理だから!?」
まだ一日のメニューの半分も終わってないんだけど……本当に先が思いやられる……
結局彼らがまともに一日のメニューをこなせる迄一週間かかった……付いて来るだけ立派だと思うけどこのペースじゃ何時まで経っても攻略組に追いつく事なんて出来ない……ちなみに実力に反比例する様にレベルは上がってる。私も出来るだけキツイ事を言わないようにしてるせいか彼らは自分たちが勝手に強くなったと思っている様だ。まあ私たちは攻略組じゃない事になってるから突っ込んだ所まで言えないって言うのもあるけどね……そしてどうにもならない事がもう一つ……
「……キリト君、サチさんの様子はどう?」
「……全然ダメ。サチはやっぱりまだ怖いみたい……」
久しぶりに二人きりの時間が取れた夕暮れ。私たちは二人で特訓の進捗状況について話していた。
「……サチさんは見られてると落ち着かないって言うしケイタさんはあからさまに見るから集中出来てない……だからと思って特訓場所を分けたけど返って失敗だったかもしれないね……」
私はそもそもゲームでの戦闘は素人。キリト君がいればアトバイスを望めるし根本的に戦うのが怖いサチさんみたいなタイプは本来どちらかと言えば私の領分だろう。
「……リーファ姉ちゃん……やっぱりサチは……」
「……うん。私もそう思うよ……間に合う、間に合わない以前に彼女は戦闘に向かない。」
断じるしかない。戦闘での痛みは一切無いのに攻撃するのもされるのも怖い。しかもHPがゼロになれば死ぬ……向き不向きの問題だ。彼女に戦いは無理。
「……私からケイタさんに伝え「おーい!」あれは……ケイタさん?」
慌ててこっちに来るケイタさんどうしたんだろう?
「ふっ、二人とも!サチを見なかったか!?」
「……サチさんですか?見てないですけど……というか一緒にいたんじゃ?」
「……それが……いなくなってしまったんだ!」
今思えばこれが多分崩壊の始まりだったのだろう……