「何でアンタ、クエストの受け方も知らないんだ?」
「……」
それから、少ししてホルンカの村に辿り着いた僕はまたも想定外の事態に陥っていた…着いて、クエスト受注場所を聞いて別れようとした時…
「ここまで来て別に別れる必要無くないか?俺も同じクエスト受けるしな。」
「しかし…このクエストは確か一人しか受けれない筈じゃ…そもそもモンスタードロップのアイテムだから…」
僕はその先を濁した…万が一ベータテスターの彼とドロップアイテムの奪い合いになれば僕に勝ち目は無い。
「あー…うん。それはさすがに知ってるか。クエスト自体は別に一人ずつ受注しに行けば普通に受けられるから。それとアニールブレードを手に入れるためのリトルネペントの胚珠なら最初はアンタに譲るよ…その後はアンタは先に帰っても良い。」
「…何でそこまでしてくれるんだ?」
僕は訝る…少なくとも会ったばかりの怪しい男にここまでしてやる理由は彼には無い筈だ…しかもこの世界の絶対的ルールはHP全損=死…僕の為に行動して失敗した場合失うのは彼自身の命…いくらお人好しにしてもそれは度が過ぎてる。
「別にアンタの為って訳じゃないよ。アンタが本当に制作チームの一員だったならここで死なせる理由も無いだろ。後で役に立つかもしれないし…後、単純にここで見捨てたら俺が寝覚めが悪い。アンタどう見ても頼りないしな。アンタのクエストが終わるまでは付き合うよ、その後はアンタの好きにしたら良い。」
「……」
雰囲気で分かるが、多分後の理由が本音なのだろう。本当にお人好しなんだろうな…まぁそういう事なら精々利用させて貰うとするよ。…こっちも手段を選んでる余裕は無いからね。
「分かった。そういう事なら僕からも同行をお願いしよう。」
「じゃあ、行くか。」
そして冒頭の状況に戻る…
「…俺に先に受けて欲しいって言った時点で少し引っかかってはいたんだけどさ、まさかやり方を知らないなんてな…」
「すまない…」
彼のやり方を見れば受け方は分かるだろうと思って先に受けて貰うことにしたんだが…まさか受ける場所が家の中とは…当然中で彼が何をしたのかは分からずじまい…それで仕方無く恥を偲んで彼に頭を下げた。
「こうなって来るとアンタが本当に制作チームのメンバーなのか怪しくなって来るな…嘘を言ってる様にも見えないけどな、ベータテスターじゃないのも確かだろうし…ただ、そうすると逆にアンタが本当は何者なのかという疑問に行き着く…リアルの詮索はご法度なのは分かってるけど俺もこのままだとアンタの事を信用出来無い。教えてくれ、アンタ本当は何者なんだ?」
……これ以上黙ってるのは無理か、そもそも僕には味方が必要だ…このままだと僕はベータテスター以上に槍玉に挙げられかねないしね…
「分かった…全部話すよ、ちょっとこっちに来てくれ…信用出来無いならこの剣は君に渡しておくよ…それなら良いだろ?」
他にもいるだろうベータテスターに僕の事を聞かれる訳には行かないからな。
「…いや、良い…ここまで来ていきなりアンタが斬りかかるとは思ってない…つーかここは一応圏内だ、斬られても死にはしない筈だ…もしかしてそれも知らないか?」
「……いや、本当にすまない…」
何で良い歳した大人の僕がこう何度も歳下どころか、子どもの彼に頭を下げなければならないんだ…!?…くそっ!これもあいつのせいだ、茅場晶彦ォォォ!…ふぅ。あいつはもういないし、こうなったら絶対に今回の事件の首謀者に八つ当たりしてやる…!その為に何としても彼を味方にしなければ…!