「……朝か。」
俺にしては珍しく一人で迎える朝だ。
……桜の気配も無い。
「……まあ間桐だからな。慎二は素質ゼロだし。」
桜を味方に付けるのは難しいだろう……妖怪ジジイは生きていやがるからな。そもそもイリヤスフィールを味方に付けるならアハト翁にも話を付ける必要があるだろう。
「……敵マスター以外にアインツベルンにまで狙われたらさすがにキツイ。」
それはそうと……肝心のイリヤスフィールは起きているのだろうか…?家の中に気配はあるが。
「……セイバー、おはよう」
廊下を歩いているとアルトリアに出くわす。こいつ早くないか?
「……おはようございます、シロウ。」
「……悪いが頼みがある。イリヤスフィールの様子を見て来てくれないか?まだ起こさなくても良いから。」
どれだけ見た目が人間に見えようとあいつはホムンクルスだ。ある意味俺以上に今日明日とも知れぬ命。……今は厄介事を背負い込んでいる場合じゃない。……正直に言えば大聖杯破壊後は知ったこっちゃ無いが今人員が減るのは不味い。後の面子はただでさえ味方に引き入れられるか分からないんだからな……そもそもまだ今の面子の誰からも承諾の返事を貰ってないな。
……最悪誰も味方になってくれなかったからいっそアルトリアを自害させて逃げる事を視野に入れないと……
「……分かりました。……シロウ、昨日の話なのですが……」
「……あー……後で良いわ。何せまだ誰からも返事貰ってないからな。」
「……そうですか。ではイリヤスフィールの所に行ってきます。」
「……おう。」
俺はそのまま台所に向かう。
「……食材が足らんな……。」
アルトリアが割と健啖家だったからな。そもそもサーヴァントって食事は必要ないんじゃなかったか…?あれ程の量が何処に行くんだか……魔力として供給されるにしても多過ぎだろ……
「……しゃあねぇ。後で買い物行かないとな。」
取り敢えず今は朝飯を用意して学校に行く用意をしないとな。……戦争状態とは言え、日常をそのまま過ごさなければ後々支障が出る。まあ俺の場合あんま意味無いかも知れないが。
「……どうせ聖杯戦争後半になれば学校どころじゃなくなる。」
夜にあれだけ派手な戦いしといて一般人に全く悟られないようになんて無理に決まってる。そもそもこの家でさえ半壊気味だ。ランサーの襲撃のせいでな。
「……ちょっと!?貴女誰!?」
「……あー……虎の存在を忘れていた。」
どうもアルトリアと鉢合わせしたみたいだな。どう誤魔化すかねぇ。
俺は頭を掻きながら鍋の火を止め揉め事を止めるためキッチンを出た