「……」
衛宮との話が終わった僕は生徒会室を出る。……廊下に人気は無い。当然だ、既に午後の授業は始まっているのだから。……これも奴の手か…僕は聖杯戦争のカラクリも冬木市大災害の事を衛宮から聞かされた。……僕は奴の誘いに返事をしていない…。これは奴の手なのだ。多分僕に桜を説得して連れてこさせるため僕に借りを作らせた……忌々しいが確かに今日の僕は他の奴に姿を見られるのは不味い。……まあ巻き添えで午後の授業をサボる羽目になる柳洞一成には同情するが。
「……ライダー…」
衛宮の事を見張らせていたため近くに居ただろうライダーを呼び出す。
「……シンジ、大丈夫でしたか?」
……僕はライダーに自分の事はマスターと呼ばせていない。ライダー自身は呼ぼうとしたが止めさせた。……そう呼ばれる資格があるのは桜だけだ……
「……ああ。問題無い。」
「……本当ですか…?」
「……何でだ?」
ライダーの目は覆われていて見えない。……不思議な話だが本人は視覚に問題は無いらしい。……僕はそのこちらから見えない筈の目に確かに心配の色が宿るのを感じた。
「……問題は、無い……」
「……シンジ、顔色が悪いですよ……」
「……そう、なのか?」
ポーカーフェイスには自信があるつもりだけどさすがにそれはバレるのか……
「……中で何が…?」
「……何だ?聞いてたんじゃないのか?」
「……」
「……屋上のを見て勘違いしたのかもしれないが僕と衛宮はそんな関係じゃない……奴はどうか知らないけど少なくとも僕に取ってはそうだ。まあ向こうからちょっかいをかけてくるし既に身体の関係ならあるけどね。第一あいつは色を好むタイプでね、別に僕に限った話じゃない。」
「……」
「……僕はこう言われた。手を貸せって、ね。」
「…!まさか……」
「いや。僕がマスターをしている事には気付いていない。……ただ予定を変更しなきゃならないだろうな。……今僕がマスターとして名乗り出るのは難しくなった。」
「……手を貸せとは具体的に何を……」
「……ああ。内容は……」
僕は奴から聞かされた話をライダーに話した。
「……シンジ、どうするのですか…?」
……ああ。やっぱりこいつもそうなのか。
「……さてね。大聖杯をそう簡単に破壊出来るのかは知らないが僕よりずっと桜を救う為のビジョンが見えてくるのは確かだ……でもな……」
僕はあいつの話には絶対乗れない……何故なら……
「……ライダー、あいつに同情したか?」
「……え?」
「……正直に言ってくれて構わない。もう一度聞く、あいつに同情したか?」
「……正直に言えば少し……」
「……だろうな。実際この話を仮に桜に持って行けば間違い無く首を縦に振るだろうな。でも……」
僕には出来ない。……さっきの事を思い出し僕は思わずその場にしゃがみ込んだ……思わず自分の身体を抱く……震えが止まらない……
「…!シンジ!?」
「……大丈夫、だ。」
……僕はあいつに手を貸せない。……あいつは自分の身の上話をする間のあいつの目は……あんな……
「……あんな…悍ましいを目を、した奴に…手なんて、貸せるものか……!」
自分の身の上話をする間奴の目は……あれは自分の不幸を語る目なんかじゃない……しかもその間奴の口元はずっと笑っていた。……あんな悍ましいものに手なんて貸せるわけがない。……昔からそうだ……!あいつは肝心な時に信頼出来ない……!