「いた!花付きだ!」
コペル君がそう叫ぶ。見れば実付きに囲まれる形で花付きが一体。
「…良し、じゃあ手筈通り僕とキリト君がタゲを取るから君が花付きを倒してくれて良い。」
「……それは有り難いんだけど…本当に良いのかい?」
「ああ、僕は構わない。」
「俺も。この後手伝ってくれれば良いさ。」
「…そっか、分かったよ。」
コペル君に忠告はしたけど、やっぱり不安だったから(そもそも彼には僕が言った事を信じる根拠が無いからね )彼に最初に胚珠を手に入れてもらう事にした…正直、さっきの遠回しの忠告と違ってここまで露骨だと彼も自分がまるで信用されてないというのはもう分かる筈だ…
「ハアッ!」
実付きの実を破壊しないよう気を付けつつ、攻撃を加えて行く…比較的余裕があるのでコペル君の方をチラ見する…特に問題は無い…彼は僕らから若干離れた所で花付きと対峙している。
「…問題は無さそうだね。」
僕はキリト君に小声で話しかけた。
「そりゃあ無いだろうな、ここまでお膳立てしたのに邪魔をして来るメリットがあいつに無いからな。」
「とは言え…おっと。」
リトルネペントから伸びる触手を横に飛んで躱す、キリト君が前に出ると触手を切断した。
「…もうちょっと気を付けてくれよ…下手するとこの程度の一撃でも死ぬ可能性あるんだぞ?」
「…面目無い、助かったよ。」
「全く…で、何だよ?」
「ん?ああ、話の途中だったね…コペル君の目的は胚珠だから多分この場では裏切らないだろうけど、僕としてはメリットが無くても裏切る奴がこれから先出て来るんじゃないかと思ってるんだ…」
「…PKか。」
「……何の略だい?」
「PK…プレイヤーキラーの略だよ。MMORPGのマナー違反の一つさ。最もPvP…プレイヤー同士の対決を売りにするゲームもあるから一概に悪い事とも言えないけど…このゲームだってデュエルシステムを実装してるし。」
「…裏切る想定の話をしたのは僕だけど、そこまでやる奴が出て来ると?」
「…金か、レアアイテムか…或いは快楽か…理由は色々有るだろうけどこれから先、珍しく無くなるんじゃ無いかと思う…」
「…待ってくれ、そんな簡単に一線を超えるやつが出て来るって言うのかい?」
「…現実で人を殺すのとは訳が違うんだ…死体は残らないし、多分何処かでこの世界はゲームだと思っているから…遊び感覚で殺せる奴は出て来ると思う…」
「…これはゲームであっても遊びでは無い…」
「…あのローブの怪人の言った事はシンプルだ。俺たちは現実と変わらなくなったこの世界でどう生きるのか…そう言う命題を俺たちは否応無しに突き付けられてるんだ…」
「…人としての最低限の倫理観を失わずに生きるか…それとも獣になるか…」
「アルベリヒ…あんたは…どうするんだ?」
「僕は…」