「さっさと散れ贋作者。我は貴様などよりあの小僧の方が興味がある…」
「譲れんよ。アレは私の獲物でね…」
「…自殺志願者か…下らぬ歪みだな…貴様には食指が動かぬ…さっさと消え去れ。」
あっちの声がはっきり聞こえるのは今も僕が生き残っているから…到底勝ち目なんか無いのに今も僕は意識を保っている…
「どうした?その程度の攻撃なら目を瞑っていても捌けるが?」
「くそ…ムカつくなアンタ…!」
こいつの流派は多分八極拳…それも普通に道場開けるとかそんなレベルじゃなくてこいつは素手で人間を殺せる…!少なくとも僕はこいつの足元にすら達してない…でも僕がほとんど防戦一方とはいえ未だに戦えるのは…
「…何で手を抜くんだよ…あんたならすぐ僕を殺せるだろ?」
「…それではすぐ終わってしまうからな。」
僕の相手は暇潰しかよ…!くそ。こいつをさっさと殺してやりたい…!せめて僕が魔術を使えるなら…!…チラッとアーチャーの方を見る…奴ももう限界が近そうだ…僕もそろそろ限界だ…あの男はその場からほとんど動かず僕の攻撃を捌くだけ…そして僕に対しての攻撃は僕の攻撃の間隙を縫って差し込んでくるカウンター…どう考えても疲れるのは僕の方だ…だが向かわなければ僕に勝ち目は無い…!
「敵の前で休憩とは呑気だな…」
「なっ!?」
いつの間にか奴が目の前にいた。…この距離は不味…!
「ゴフッ!」
身体に衝撃を受け、吹っ飛ぶ…肋骨からベキベキと音が聞こえた…。
「…多少威力は抑えたが確実に入った筈だ…何故、立つ?」
…僕は肘を叩き込まれた場所を押さえながらゆっくり時間をかけて立ち上がった…。
「…何故…?そん…なの…決まって…る…邪魔なんだ…よ…アンタら…僕は…衛宮を殺すために…ここにいなきゃ…ならない…退けよ…そこは僕の場所…だ…!」
「退けんよ。目的は同じのようだからな。」
「そうかよ…!」
押さえていた手を下ろし今自分が出せる最大スピードで奴に向かって突っ込む…!
「…っ!…ゴフッ…」
カウンターて折れた肋骨に衝撃が叩き込まれそれが肺に達したのが分かった…血で気道が塞がる…息が…!…呼吸が難しくなり地面を転がる中頭は逆に冷静に医学知識と今の状況を並べ打破の手段を探す…無い…何も…無…
『カカカ。それで終わりか。』
…んなっ!?ジジイ!?お前は死んだ筈だろ!?
『愚かな…本体の蟲が死なん限り儂は健在…それくらい分かっておろう?』
……まさか…!
『そうじゃ。儂は今お前の中におる…』
…化け物が。
『カカカ。じゃがお前を助けられるのもその化け物しかおらんぞ?』
僕を助ける?何を言ってる?
『お前に魔術の才は無い。だが、知識は人一倍ある…後は使う土壌をしっかりさせるだけ。…儂にはその方法がある…どうじゃ?儂にその身体を預ける気は無いか?』
……僕を苗床にする気か?
『察しが良いのう…そうじゃ。お前の中に蟲を繁殖させる…お前は雁夜よりは良き素材になりそうじゃな…』
……良いだろう…乗ってやるよ。
『ほう…本当に良いのか?』
こいつの思惑は分かってる…どうせこいつは僕を苗床にするだけじゃ飽き足らず…人の身体を使って復活する気だ…なら…
それ以外にこの状況をどうにかする術は無いからな。
『カカカ…良かろう。蟲を入れるのはすぐだ。ただ、儂の合図一つで…!』
こいつの思惑に乗ってその力だけを貰う!
『なっ!?きっ、貴様!』
……僕がこの状況を読んで無かったと思ってるのか?何時でもアンタを出し抜ける様に想定はしていたよ…
『馬鹿者め!儂がいなければお前の身体は雁夜の様に朽ち果てるぞ?』
…知るかよ。誰がお前に良いように使われてやるもんか。僕は衛宮を殺せるならそれで良い。ほらさっさと消えろよクソジジイ。この蟲は僕が有効に使ってやるさ…
『馬鹿な…!?』
……ジジイの声は聞こえなくなった…成功した!僕が奴を食らってやった!
「…ほう…」
現実に戻って来る…身体を蟲が駆け巡る影響で激痛が走るが無視する…これで僕は魔術が使える!先ずは塞がれた喉を物理的に開き、血を抜き…また塞ぐ。次に肋骨を肺から取り除き…それから…
「…何だ、待っててくれたのか…」
僕は立ち上がり先程と立ち位置が一切変わっていない言峰綺礼を見る…
「余裕かましてくれたもんだな。アンタはこれで失ったんだよ…僕を殺せるチャンスをさ…!」
強化魔術を足にかけ言峰綺礼に突っ込む…ムカつくニヤケ面に向かって拳を突き出した…!