…俺は…どうなった…?
『シロウ…』
その声が聞こえると共に意識が自然と浮上して来る…
「…セイバー…終わったのか…?」
目を覚ますと光を放つアルトリアがいた。
『…いえ…あれを…』
アルトリアの指さす方には…
「…原型が残ってやがんな…まさか擬きが二本混じってたとはいえ聖剣三本分ブッパして壊れねぇとは…」
大聖杯はしっかり器が残っていた…だが…泥は一応消えてるし、これ以上俺に出来る事は何も無いか…そもそももう時間も無いだろう…
「…取り敢えずこれで第五次聖杯戦争は終結だ。…アルトリア…」
『何でしょうか?』
「…サンキューな、お前のお陰でここまで漕ぎ着けた…礼を言う。」
『…いいえ。お礼を言いたいのは私の方です。貴方のお陰で私は自分を見詰め直す事が出来ました…』
「…座に行くのか?」
『ええ。私はもう聖杯に執着はありません。』
「…そうか。…じゃあな、もう二度と会うことはねぇだろう…俺は何処ぞの弓兵と違って英霊になる事もねぇだろうしな…」
『…シロウ…最期に貴方に伝えたい事があります…』
「…何だよ?」
『…生きて下さい…少しでも長く…貴方には待っている人がいるのだから…』
「…おいおい…ここは愛の告白とかする流れじゃねぇのか?」
『…それは…天地がひっくり返っても有り得ませんね…貴方と私はこれから先、何が起きても相容れないでしょう…』
「…ちぇ…そうかよ…」
『…そもそも貴方が好きなのはシンジだけでしょう?』
「……」
『…そろそろ時間の様です…私は…!シロウ!』
「…っ!…アーチャー…俺を狙ってるのは分かってたけどよ、不意打ちはねぇんじゃねぇか?それでも英霊かよ、テメェ…」
俺は後ろ手に投影した剣でアーチャーの攻撃を受け止める…この体制じゃ、じきに斬られるな…!
「…いや何、あまりにも長いから待ちくたびれてしまってね。」
「…っ!オラァ!」
腕に強化をかけ無理やり奴の剣を弾き、勢いを利用して身体ごと後ろに振り向く…!
「…チッ…やっぱテメェは健在か…そんなに抑止力は俺をぶち殺したいのかねぇ…」
こっちはもう虫の息だってのによ…!
「…残念ながらその様だな…しかし貴様はもう限界だろう?それに貴様は生きてて楽しいと思った事はあるのか?今、この瞬間も死にたいと願ってるんじゃないか?」
『シロウ!聞いてはいけません!アーチャーは「分かってるさ、セイバー。」シロウ…』
わざわざ退去命令に抗わずにさっさと帰ればいい物を…どんだけお人好しなんだろうな、こいつは…
「…どうせそれは生前のお前が思ってた事だろ?一緒にすんじゃねぇよ根暗野郎。」
「ならば!ならば貴様は!一度も思わなかったと言うのか!?何故自分が生きているのか!?多くの者が死んだというのに何故自分だけが生きているのかと自分を責めたりしなかったと言うのか!?」
「はっきり言ってやるよアーチャー…ねぇよ、そんなもん…俺はな、自分の事で精一杯だったんだ…死んじまった他人の事なんか知ったこっちゃねぇ。…どれだけ健康に気を使って過ごしても所詮、ほんのちょっと運が悪かっただけで死ぬのが人間だ…そんなもんテメェが一番分かってるんじゃねぇのか?なぁどうなんだ?答えてみろよ、衛宮士郎…」
「…貴様は…殺す…!お前は生きていてはいけない…!」
奴から発せられた魔力の奔流で突風が発生する…!
『シロウ!』
「さっさと行けよアルトリア!心配すんな!俺はこいつにだけは負けるつもりはねぇからよ…!」
今の俺に勝ち目なんかねぇ…もう限界だ…だが、俺を殺すのがこいつなんて事は断じて認めねぇ!
『シロウ!これを!』
アルトリアが投げて来た物を振り向く事無く受け取る…こいつは…!
『シロウ…ご武運を…』
アルトリアの気配が消えて行く…
「…貴様…!」
俺はアルトリアから受け取ったそれ…エクスカリバーの鞘でもあり独立した宝具でもある全て遠き理想郷を胸に当て、押し込む…!再生の止まりボロボロだった身体が僅かにだが修復されていく…!
「…さてと…五分とはいかねぇが…マシにはなった…今度こそ決着着けようぜ、アーチャー!」