良く考えたら奴の言い分に乗ってやる理由は俺には無い。それで奴が激昴しようがそれは仕方の無い話だ…わざわざ下らん問答で残り少ない体力を消費する気は無い。
「……」
……乗ってやる理由は、無い…奴がだんだんイラついているのは分かるが俺には関係「……」チッ!
「…衛宮士郎…」
「…あぁ?」
こっちが口を開こうとすれば向こうから話しかけて来た…軽くイラッとしたが向こうから話題を提供してくれるならその方がまだ楽か…さて、どんな話かねぇ…
「…先の戦いの際、貴様は私の正体を見抜いたな?何故だ…?」
「…そもそも不思議だったんだが…やっぱりお前、一回座に帰った筈なのにさっきの事覚えてるんだな?…そんな顔すんなよ…俺の質問には答える気がねぇんだろ?…理由は単純、お前が固有結界を使ったからだ…固有結界ってのは精神世界の具現化だ、それは使用者の起源や送って来た生涯によって変化する…根本的な部分は変わらねぇがな…下らん話をしたが要はこいつを解析出来りゃそいつのそれまで送って来た人生を情報として閲覧出来るってこったよ「そんな事は有り得ん!」お前なぁ、説明の途中で切んなよ、テメェから聞いてきたんだろ?」
「人の一生などそう簡単に処理出来る情報では無い!」
「…俺だって普通は出来ねぇよ?だけどなぁ…他ならぬ自分の人生を解析出来なくてどうすんだよ?」
「…貴様は…!?貴様は一体どんな生涯を送って来たと言うのだ…!?」
「…お前と俺との違い、ねぇ…そうさなぁ…例えば…一番の違いはこれじゃねぇのか?衛宮切嗣の死因がこの世界では呪いによる衰弱死じゃなくて…実は俺が殺した…とかな?」
「貴様…!」
奴が立ち上がり、俺に向けて投影した剣を振り下ろす…だが俺は動かなかった…いや、動く必要が無かった。
「っ!…貴様…!何をした!?」
奴の投影した剣が俺に当たる直前で掻き消えて行く…上手くいったようだな…
「…分からないか?俺はお前の世界すら掌握出来たんだぜ?」
「まさか…!」
「…当然、お前の肉体くらい自在に操れて然るべきだろうが。」
しかしここまで漕ぎ着けるのにかなり時間がかかったな…おまけに魔力の消費がデカ過ぎる…これじゃ本当に相討ちになっちまうな…
「…馬鹿な…いつ解析を…!」
「確かに普通はその前に気付くだろうし、解析魔術を知り尽くしたお前ならブロックする術すら有してるかもな…でもあっただろ?それも出来なかった瞬間が?」
「…貴様…!あの一瞬で…!」
「…テメェの左腕を斬り落とした時な。あの時はお前は隙だらけだった…一瞬?あれだけありゃ十分だ。」
「…クッ!だがまだ勝負は着いて無い…貴様は私の投影能力を潰したようだが…どうだ?私はまだ動ける!つまり貴様は私の身体能力までは奪えていないのだろう!?…先の言葉の意味は気になるが、終わりだ、衛宮士郎!このまま貴様を殺「いや…終わるのはお前だよアーチャー…俺の仕掛けた罠がそれで終わりだと思ったのか?」何!?」
「『壊れた幻想』」
俺がそう言うと同時に奴の胸に大穴が空き、血が吹き出した。
「ガハッ!?」
「お前の左腕が再生する直前に液体レベルにまで変化させた宝具を体内に侵入させた…お前の身体の解析は出来てたからな、後はそいつを循環させてる血液と共に心臓…もとい、霊核まで到達させた。…いや、しかし驚いたぜ…エーテル体という違いはあってもサーヴァントも人間と身体の構造はほとんど変わらねぇんだからな…それとも守護者だからなのか?…いや、答えなくて良いぜ?そんなに興味もねぇし。」
『衛宮士郎…!貴様…!』
霊核を破壊されてもしぶとくこちらに向かって来ようとするアーチャー…やれやれ…
「ボンッ!ってな。」
奴の頭が消滅した。
「霊核だけでなくちゃんと脳にも到達させてる。じゃあな、並行世界の俺。」
奴の身体が倒れ込む…本当はこんな勝ち方は俺も望んじゃいなかった…あくまで保険のつもりで仕掛けてたんだがな…
俺は奴に背を向ける…取り敢えず帰るか…一応俺を待ってる連中がいるし…っ!
後ろから感じた殺気に飛び退く…干将莫耶!?あの野郎まだ…!
「しまった!?」
干将莫耶は俺を狙ったもんじゃねぇ!天井に刺さり、そのまま爆発した…!
「…クソッ!あの野郎…!」
たかが宝具一つ分とはいえ神秘の爆発の規模はデカい…!俺は洞窟が崩れ出す中、足に強化をかけ走り出した。