自分が既に人間では無いと知らされた時、不思議と俺には大した驚きは無かった…今更別に悲しいとも思わない…
「…大丈夫だよ士郎。僕はずっと君の味方だからね…」
「…うん…」
…悲しくないはず…でも俺には何も言えなかった…
肉体それ自体が魔力で構成され、しかも極端に死ににくい俺の末路は…何処まで行っても魔術師の玩具にしかなれない身を守るため俺が魔術を習うのは自然の流れだった。積極的に生きていたいとも思わなかったが人間としての尊厳を奪われるのも御免だからな…ただ、俺の魔術師としての道は物の見事に最初から躓いた。
「があはっ…!?」
「士郎!?」
四肢と胴体の一部があの黒き泥で形成されたせいか、俺の身体は正常に魔術回路を身体に定着させることが出来ず、結局基本の魔術である強化と投影しか使え無かったが無いよりマシの感覚で俺はずっとその練習を続けた…そんなある日の事だ…
「士郎、君の投影魔術は異常だ。」
「異常?投影って単なる基本中の基本でしか無いんだろ?」
投影した木刀を振り回す俺の手を止めて切嗣が言ってきたんだ。
「投影魔術で投影した物は大抵ガワだけ再現された偽物で大抵は出してもその場で消えてしまう…指摘するか迷ったが…士郎、君のそれは君にとって最大の武器でもあるが同時に最大の弱点にも成りうるだろうね…それに魔術師としても異端なら…」
「狙われる…今更だよ切嗣。あんた言ってたじゃないか。潤沢な魔力を持つ俺は魔術師に取っては格好の餌だってな。」
「…そうだね…でも、これから君ははぐれの魔術師だけでなく魔術協会からも…いや、聖堂教会からも追われるかも知れない…本当にすまない…」
そう言ってその場で頭を下げる切嗣を俺は制した。
「だから変わんないって。どうせ俺はいつかは死ぬんだろ?それは今じゃない…ギリギリまで俺は生きる。その為に邪魔をする奴は皆殺す…そう決めたんだ。」
「殺せるかい…?君は本当に…?」
「殺すさ。つーかもう良いって。あんたこれ以上俺だけに構っても仕方無いだろ?もうやり方は学んだ。あんた早くイリヤん所行ってこいよ…んでとっとと連れて来りゃ良い。」
「しかし…」
「早く行けって。俺はあんたの息子なんだろ?んじゃ俺はイリヤの弟になるんだろ?俺だってくたばる前に姉貴を見てみてぇんだ…俺はもう大丈夫だよ。だから早く行って来い。」
そうして俺は切嗣を送り出した…とは言え俺以上に目に見えて衰弱してる切嗣がイリヤの元まで生きて辿り着けるとは到底思えなかったし、仮にさらえた所で俺だって生きてる保証は無い…それに、所詮義理の息子でしか無い俺と、実娘であるイリヤ…
…普通の親が何方を選ぶかなんて分かり切ってた。…だから結局どう転んでもこれが最期だと思ってた…まさか俺が再び切嗣と再会して…あんな事になるなんて想いもしてなかった…