俺が驚き、剣から手を離すと切嗣はそのまま倒れた…俺は駆け寄る。
「どういう事なんだ?」
俺は切嗣の横にしゃがみこみそう声をかけた
「…最初から、君を殺すつもりが、無かったって、訳じゃ、ないさ…この家に着いてから、起源弾を抜いたんだよ…」
「……」
「イリヤと君を…天秤に乗せてしまった…どちら、も…命は…一つ…でも僕は直ぐに答えを…出せた…出したつもりだったんだ…!」
「でも、家に着いて…君を殺そうと考えた時…この手が…急に…震え始めたんだ…!」
「誰でも…一度ターゲットにした相手は仕留めて来た…!でも士郎…君だけは…!」
俺は切嗣の首のネクタイを掴んで無理やり上体を起こした。
「ざけんじゃねえぞ!起源弾をぶち込めばそれで終わる!そんなのは分かってたはずだ!俺を生かしてどうすんだよ!?あんたがこのまま死んだらイリヤはどうすんだよ!?」
「士郎…」
俺はそう捲し立てた後、ゆっくり切嗣の身体を床に下ろし、立ち上がった。
「救急車を呼ぶ…まだくたばんじゃねぇぞ!」
…思えばこの時だった…解析魔術を使う切っ掛けが訪れた…あれだけ苦手だった解析が…この瞬間俺の手の内にあったんだ…見える…!俺は医学知識の無い素人だけどはっきり分かった。切嗣の傷は深いが心臓は逸れていた…そうでなくても呪いの影響で俺以上に身体はボロボロだったが、少なくとも今すぐ死ぬ確率は低い筈だ…。医者が適切な処置をしてくれれば…せめて俺が治療魔術が使えりゃどうにかすんのに…!
「言った筈だよ士郎…!終わりだと…!」
その言葉に嫌な予感がした俺はその足を止め切嗣の方を見た…
「なっ!?止めろ切嗣!」
俺は切嗣の元へ駆け寄ろうとして…そのまま激しい熱風に吹き飛ばされた…。
この時極限状態にあった俺の記憶には切嗣が火を付けたそれ…ダイナマイトの構造がはっきり書き込まれた…そして最期の瞬間の切嗣の笑顔…そして爆発の瞬間、視界端を飛んでいたもの…笑顔を浮かべた銀髪の少女を肩車する笑顔の切嗣が写った写真…これらの物を一瞬で記憶した…
「イリヤを…助けて欲しい…僕の代わりに…」
この後の事は良く知らない…気が付いたら藤村家の部屋の布団で目が覚めた…藤ねぇも雷画爺さんも俺に何も言わなかった…切嗣の直接の死因はダイナマイトによる自爆かもしれないが致命傷を負わせたのは俺だ…結局、俺にその後の事は何も語られなかった…やがて道場も再建された…あれ以来…俺の解析魔術は異常な程の精度を今でも誇っている…
最期に聞こえた声は幻聴だったのか…それは分からない…分からないが俺にその少女…イリヤを無理をしてまで助ける理由は俺には無かった…だから今日まで探そうだなんて思ってなかった…