「解体ね…何でだ?」
確か…艦娘の方も人手不足と聞いたんだがな…
「…敵を撃てなくなったからよ…」
「どうしてだ?」
「…執拗いわね…アンタ、デリカシーってもんが無いの?」
「そりゃ失敬…こちらは女性との付き合いがほとんど無いものでね…」
そもそも人と普通の会話をするのも久しぶりだ…普段は他人と話をする事が全然無かったし、海軍に捕まってからも穏やかな会話等出来なかったからな…
「性別は関係無いでしょう?…しょうが無いわね…話してあげる…私はこの鎮守府に所属してたの。…ある時、深海棲艦に襲撃されて…余り大きな戦闘を行った事が無かった上にここは新人が多くてあっという間にパニックに陥った…司令官が真っ先に負傷して指示が出せない事も災いして…皆が闇雲に撃った砲弾はどれもあらぬ方向に飛んだわ…そして私の撃った砲弾は…他の艦娘に当たった…」
「それで?」
「私があの子の元に行き、抱き上げようとしたら…顔の半分吹き飛んだあの子の首が落ちた…」
「…鎮守府は壊滅したわ…生き残れたのは…私と別の鎮守府に派遣されていた加賀さんだけ…」
「…私はその後他の鎮守府に回されたけど…あの時の事が頭にチラついて…撃てなくなったの…演習では撃てるけど……実戦では二度と。」
「ふ~ん…」
「…それで私の解体が決まったの……満足?」
「ああ。」
「そう…それじゃ、私は行くわね…提督業務頑張って「ちょっと待て」何?」
「解体は止めて…俺の元に来る気は無いか?」
「…アンタ話聞いてなかったの?私は敵を撃てないのよ?」
「秘書艦の経験は?」
「…あるわ…ここでは私が専属だった。」
「そうか。じゃあ俺の秘書艦を担当してくれ…俺が解体の中止を上に掛け合ってやる…別に海に出なくても良い。」
「…何で…私なの…?」
「俺は元々一般人だ。提督業務も漠然とは理解してても具体的に何をやったら良いのかは分からん。だから経験豊富そうなお前に頼みたい。」
「それなら…別に…私じゃなくても…」
「そうだ。別にお前じゃなくて良い。…で、俺の秘書艦になる気は無いか?」
「…口説くのが下手ね…分かった…成ってあげる…」
「助かる…それじゃあまずこの着任に関する書類の書き方と解体中止に関する書類の書き方を教えてくれ…全く分からないんだ。」
「…本当に一般人だったのね…良いわ…アンタが一人前に成れるようみっちり指導してあげる…これから宜しくね、司令官…」
「宜しく、叢雲。」
海を見ていると軈て遠征組の姿が見えて来た…
「全員無事に帰還したわ。」
一月振りに会う叢雲が代表して報告して来る…改めて見るとあの頃と全然顔付きが違うな…
「司令官?何よ、人の顔ジロジロ見て…」
「……何でもない。全員ご苦労だった…報告書は明日で良い…三日間だけだが休暇を付ける…ゆっくり休め…じゃあ解散…」
俺は執務室に戻った…