「アーチャーの力を一部とはいえ譲渡されて、強化を重ねがけしたのとほとんど変わらない筋力になっていたのを忘れていた俺も悪いとは思うけどよ…丸腰の相手に後ろから竹刀で奇襲してきた相手に蹴り入れても正当防衛だと思うんだが…アンタはどう…おい、何笑ってやがる…」
あの後俺は結局逃げる間もなく竹刀ごと人間が吹っ飛ぶレベルの力で蹴っちまったのにほとんど無傷の虎に捕まった…そこからは虎に件の三人の内二人が加わっての説教タイムだ…聞き流そうとしたら、更に怒号が増えて…仕舞いには…この仕打ちだ…何も柱に縛りつけなくても良いじゃねぇか…クソ女共が…!
「ククク…いや、すまんな…だが一言良いか?」
「あ?」
「女に男が手を上げる時点でギルティ、だ。」
「……あれだけ派手に飛んでって服が汚れたぐらいですむ人外相手でもか?」
「当然だな。」
チッ…納得行かねぇぜ…
「大体、お前なら直ぐにでも逃げ出す事だって出来るのに、そこから動かないのは口だけで無く、本当に自分が悪いと思ってるからだろう?」
「…ハッ…まっ、心配かけたとは思ってるさ…つっても書き置き位はちゃんと残していったんだぜ?何であんなに心配するかねぇ…」
実際虎はもちろんの事、あの二人に涙目で説教されりゃ俺だって応える…
「あいつらから聞いたがな…『出かけてくる』…と一文だけ書かれた紙切れ一枚残して家族が三ヶ月も戻って来なかったら心配するのは人として当たり前の事だと私は思うぞ?」
「はん…何時戻るかなんて俺の勝手だろ。」
「人の気持ちを理解する努力をしろ。それがお前の為にもなる。」
「エゴ通して生きてる魔術師が感情を説くのか?滑稽だな。」
「私は人外ではあるが、まだそこまで心を捨てた覚えは無くてね。」
「…雑談はもう良いだろ?本題だ…結局アンタは何を教えてくれるんだ?言っとくが俺自身も時間がねぇんだ。下らねぇ話しか出来ねぇなら出てってもらうぜ?」
俺はロープを引きちぎり立ち上がると干将莫耶を投影し、蒼崎橙子に突き付ける。
「そう慌てるな…私はこれでも以前、お前と同じく魔術遣い志望を弟子にした事もあるんだ。」
「……分かった。アンタを信用しよう。」
俺は宝具を消した。
「全く…本当に跳ねっ返りだな…あいつもかなりの問題児ではあったが、お前ほどアグレッシブでは無かったぞ?」
「生きて来た世界が違うんだろ?俺はこうでもしないと何時死んでも可笑しくなかったんでね…」
「…命の危機に見舞われるという意味なら多分お前と大差無いがな。」
……魔術遣いが命の危機?