「…アンタの言ってる魔術遣い志望の弟子ってのは黒桐鮮花って名前じゃねぇのか?」
「…成程。こっちが話した訳でもないのに一方的に知られているというのはやりにくいものだな…そうだ…それも並行世界のお前の記憶か?」
「…まともに会話した記憶はねぇみてぇだけどな…ただ、この記憶が確かなら黒桐鮮花ってのは元々、魔術とは何の縁もゆかりも無い普通の家の出身だろ?俺みたいに聖杯戦争に巻き込まれる事も無かっただろうに、何で命のやり取りをする羽目になってるんだ?…少なくとも一般人が相手なら軽く強化でもすりゃ簡単にねじ伏せられるだろ?」
「…普通かどうかは、よく分からんがな…まあ確かに本来ならまず有り得ない話だな、で…そんなに聞きたいのか?」
「ああ…少しは興味がある。」
「…悪いがこの話は本人はもちろん、事件の当事者たちにも許可が取れないと私の口からは話せんよ。」
「相当込み入った話みたいだな…分かったよ。」
……とはいえ…俺の中にあるアーチャーの記憶が確かなら実際は黒桐鮮花と接触、戦闘まで行った事もある様だ…記憶の損耗が激しく詳しい事情は分からないが…どうやら別件から黒桐鮮花の関わった事件まで行き着いたらしい…事件自体はとっくに終わってるだろうに一体何をして戦う事になったんだかな…そして最終的に黒桐鮮花を殺している。
この後に出て来た両儀式という女と戦った所で記憶は途切れている…恐らく負けたんだろう…具体的に何をしたのかは分からんがはっきりしてるのは両儀式の武器はナイフでその戦闘技術はかなり高かったものの、本来その時の奴なら倒せない事も無いレベルだった事…それからその女が魔眼持ちだった事だ。
……悔しいが…サーヴァントで無かったとはいえ、ほぼ全盛期の奴が勝てない相手なら俺が勝てる道理は無い…触らぬ神に祟りなし、だ。
「そういや、アンタ…例の虎には自分の事、何て説明したんだ?」
「ん?住み込みの家庭教師、という事にしたよ。」
「……虎は信じたのか?」
「……相当勘が良いのか、かなり疑われたよ…」
「…だよな。」
藤ねぇなら気付いちまうだろう…
「まあ嘘は言ってない。」
「あん?」
「お前どうせ、成績はガタガタだろう?なら、本当に教師役をしてやろうと思ってな…心配するな、私は一流大学レベルの勉強は普通に分かるからな。」
「はん、そんな事、アンタに頼む気は「お前忘れてないか?」あ?」
「三ヶ月も連絡無しに無断欠席したんだ…高校に籍はあるだろうが、まず間違い無くお前は留年してる筈だ…素行も悪いだろうし、成績自体も元々悪かったんだろうからリカバリーは効かん。…お前、卒業もせず旅に出る事を彼女に許してもらう自信はあるか?…アレは筋を通さなければ恐らく地球の裏側まで追ってくるタイプだぞ?」
「…チッ…確かにそうだな…。」
今回の一件もある…尚のことその辺厳しくなるだろうな…しゃあねえか…
「分かった…世話になる。」