「……うっ、ここは…?」
私は周りを見渡す……何処かの倉庫?
「……私確か、トイレを見付けて入ろうとしたら首に痛みを感じて……じゃあ誘拐?」
本来は取り乱すのかもしれないが事態を把握すると同時に逆に少し頭が冷えていくのを感じた。
「……またか」
私は誘拐されるのは初めてではない。……いや。正確には今世では初めてだが前世では二度程経験がある。……私の家は世間一般で言うところのお金持ちの家だったらしく身代金目当で誘拐された。一度目は警察のお陰で救出され、二度目は縄の縛り方が雑だったのであっさりほどき自力で脱出し犯人を制圧した。犯人が一人だったのも幸いした。後ISを持っていない男だったことも。
「……今回私が連れ去られたのはISの大会やってた会場。……ISを使える女性がいるかもしれないわね」
だとしたら非常に不味い。前世の時ならまだしも私は今ISを持っていない。それに……
「……今の私は全盛期には程遠い。」
今の私なら何処にでもいる普通の男性にも負けるわね。せめて何か武器になる物は無いかな?
「……縛って無いのはそれだけ自信があるからかしら?」
やっぱりISを使える女性がいるのかな?だとしたら到底逃げられなさそう
先程から聞こえるのは複数人の男性の声。今は女性はいないのかな?何とか逃げる隙を見付けないと。
「……一夏は大丈夫かな。」
前世と違い今世の我が家は稼いでくる千冬には申し訳ないけどあまりお金は無い。となれば自ずと理由は限られてくる
「……千冬の連覇阻止。」
何処かの国の仕業かな。そうなるとISの使える人物は必ず犯人グループにいる。結果的に一夏でなく私で良かったのかもしれない。……ISを使える女性はそれだけ女尊男卑に染まってる人が多いから。
「……国が相手なら私は……」
どちらにしても何も出来ない。……自惚れじゃなく千冬は間違い無く私を溺愛してたから多分あっさり優勝を蹴るんだろうなあ……
「……来ないで欲しいな。」
千冬には私の事なんて気にせず優勝を目指して欲しい。……私は強い千冬像を好きになった訳じゃないけどやっぱり目に見える強さはあって欲しいな
「……何やってるのあんたたちは!?織斑一夏を拐ってきなさいって言ったでしょう!?」
いつの間にか女性が戻って来ていたらしい。男たちに罵声を浴びせているのが聞こえる。……やっぱり私で良かった。ここに連れて来られたのが一夏だったらどんな目に遭わされたのか解らない。
「……まあ良いわ。どちらにせよ人質の価値はありそうだからね」
……私どうなるのかな?もう一回死にたくなんて無いけど千冬にも来て欲しく無いな。