「……んんん……あれ?私……そっか。あの後気絶しちゃったんだ……前世だとああまで千冬のパーソナルスペース狭くなかったからなあ……あ…」
私は思わず千冬と呼んでしまい辺りを見回す。……病室、だね……一応前世でも入院経験はあるから何となく分かる。そして私の横には……
「……千冬。」
「……」
私の横には千冬が椅子に座っていた。……眠っているみたい……よく見ると隈がすごい……全然眠れてなかったんだろうな……
「……今は夜だね……」
この病室には時計も無いしカレンダーすら無い。だから私がどれくらい眠ってたのかは知らないけど窓の外は暗かったから夜なのは分かった。
「……千冬…」
「……」
私は何て声をかければいいんだろう……多分私のせいで千冬は連覇を逃してしまった。
「……でも貴女は気にするなってどうせ言うんでしょうね……」
その光景が目に浮かぶ様……千冬はあくまでも私たちを養うために日本代表なんて大役を背負っていた。……でも千冬は決勝戦は蹴ってしまっただろうし日本の敗退は決定した。
……千冬の性格から言って普通に責任取るために引退ぐらいはしそう……そればっかりは止めて欲しいけど……あ……
「……そう言えば今ここには私と千冬しか居ないんだよね……」
これからの事とか千冬に対しての罪悪感とか色々あるけど……
「……ちょっとくらいなら良いよね……」
私は身体を起こし……
「……痛っ!あれ?これ、ギブス…?」
どうも私の左腕は折れてしまっているらしい。良く見ると他の部分もガーゼに包帯だらけ……でも知った事か。
「……寝てる間なんて卑怯かも知れないけど今の私は千冬の妹。前世で告白していたら結ばれていたかは分からないけど今はこんなタイミングしか多分チャンスは無いし……」
私は自分に言い訳しつつ左腕に負担をかけないように比較的無事な右腕だけで何とか身を起こす。それから眠る千冬に顔を近付けた……
「……」
ちっ、近い……また気絶しそう……でも後数センチだから……
「……十秋姉?起きてるのか?」
一夏…!あっ!千冬が起きる!
「……うっ、うん!起きてるよ!?どうぞ~!」
「……むっ……寝てしまったか……!十秋!目が覚めたのか!」
そう言って私に抱きつこうとする千冬……ちょっと待って!今私怪我人!今の千冬の勢いで抱き着かれたらヤバいって!
「……千冬姉ストップ!」
千冬を羽交い締めにする一夏……助かった……。
「何だ一夏!?十秋が目を覚ましたんだぞ!?」
「見りゃ分かるって!取り敢えず落ち着けよ!十秋姉は怪我人なんだぞ!?」
「……そっ、そうだったな、すまん。」
「……アハハ…ありがとう、一夏……」
……ちょっと残念だったけど……まあ良いか。