「……十秋ちゃんすごく似合ってるわ!」
「……そうですか。」
着せ替え人形にされた私は……既にどの服を見ても同じにしか見えなくなっていた……千冬もこんな気持ちだったのかな…?ごめんね、千冬……
「……それじゃあ次を着ましょうか。」
「……へ!?」
まっ、まだ終わってなかったの!?
……とまあ更識家の女性陣に散々振り回され(服は思いの外リーズナブルな値段でそこはホッとした。三、四十着は着た気がするのに買ったのはせいぜいその半分位なのは気になるが)そして今は……
「……十秋ちゃん、本当にそれ入るの?」
フードコートの席に座った私の目の前には食べ物の乗った皿が何枚か。
「……そうですけど……何か?」
私は家族の中でも食べる方だ……一夏より食べてたりするから食べ過ぎかなとは思いつつ今回はセーブしてるつもりなんだけど……
「……何でもないわ。」
反応から察するにこれでも一般的には多い方らしい……これから少し考えようかな……お腹周りが気になるし。
「……そんなに食べて何処に行くのかしら……」
口を濁したみたいだけど刀奈が何を言いたいかは正直分かってたり……
「……私は胸は小さいですから。」
「……あっ!?ごめんね、そういう意味じゃないのよ?」
「……」
その反応はそう思ってたと言ってるも同然なんだけど……前世の因縁なのか私は比較的太りにくいが肝心の栄養は母性の象徴には向かわないのだ……今世は前世と違い背も低い……
「……大丈夫。まだ中学生なんだから可能性が「気休め言わなくても大丈夫ですよ?」……」
……簪が姉の発言に思う所があるのか睨み付けているのが視界の端に映る……言い出さないのは私がいるからなのか、若しくは私より胸が大きいからなのか……
「……それにしてもよく太らないね。…本音みたい。」
「ほえ?」
……本音は背が低いけど胸は大きい。ちょっと比べられると凹む……いっそ揉んで腹いせでも……いやいや。千冬以外でその気にはならないかな。
「……本音食べ過ぎじゃない?」
件の本音は私がドン引きする量を口に運んでいる……さっき私の服選びそっちのけでお菓子を大量に買い食いしてた気がするんだけど……
「ほえ?そう?」
キョトンした目でこちらを見る本音……あっ、可愛い。
……とても私と同年代とは思えない。
「……」
気が付くと私は本音の頭を撫で始めていた
「……ほえ?とーちゃん、どうしたの?」
「……はっ!ごめん、嫌だった…?」
「……別に嫌じゃないよぉ。もっと撫でてぇ。」
……可愛い。何かどっと疲れた感じがしてたけど本音見てると少し癒されるかも。
「……十秋ちゃん、本音で癒されるのは良いけど手が止まってるわよ?」
「……え!?」
言われて見ればもう皆食事の手が止まっている。この場でまだ残ってるのは私と本音だけ……そう言えば更識家のお手伝いさんたちは何処に……と。まずは食べちゃわないと。
「……ごめんなさい。急いで食べますね。」
「私から言っておいてなんだけど別にそんなに急いで食べなくても大丈夫よ。時間はあるしね」
「私たちは待ってるから大丈夫だよ、十秋。」
「……ええ。私たちは気にしませんから。」
微笑ましい目で見られて少し居心地悪く感じながら私は食事を終えた。