「…来たのはお前だけか?」
「そうだけど…不服かしら?」
「……いや、お前の事はそこに居る叢雲から聞いてる…頼りになる奴だとな…あー…本当に良いんだ…お前が悪いわけじゃない…俺が文句言いたいのは幹部の連中だ…」
「それには同意するわね…」
叢雲を秘書艦として所属させてから数日…漸くやって来たのは空母の加賀一人…舐めてるとしか思えない。
「取り敢えず掃除と模様替えだ…悪いが手伝ってくれ…」
「命令してくれて良いわ。私は貴方の部下になるように言われてここに来たから。」
「どっちでもいい…早く手伝え。手が足らん…このままだと通常業務すら回らねぇ。」
「了解…これから宜しく、提督。」
「ああ。」
その日の夜…
「ちょっと待って…貴方たち一緒に寝てるの…?」
「ああ。…そんな目で見るな…叢雲自身からの希望だ…俺はあいつに手は出してねぇ。」
「…そいつの言ってる事は本当よ…自分から布団に入ったんだし、多少身体に触れられる事くらいなら覚悟してたけど…私はほとんど何もされてないわ…せいぜい寝る時に頭を撫でられた位ね…それも私が魘されるのが原因だしね…」
「叢雲…貴女の言いたい事も分かるけど…」
「分かってる…この状況が問題だって事くらいね…」
「……別にそいつじゃなくても良いのね?」
「…うん…」
「こいつ何度も夜中に悲鳴上げて起きるしな…実際俺が睡眠不足になりかねん…相手してくれるならその方が俺も助かる…元同僚の上に同性だろ?」
「……分かったわ。」
……まさか数日で俺の所に戻って来るとは思わなかったがな…叢雲曰く…
「私も知らなかったんだけどね…加賀さん、凄く寝相が悪いの…正直、悪夢を見るまでもなく私が寝れなくなったわ…」
これに関しては加賀も不満そうだったが本人がどうしても嫌だと言うのだから仕方無い……第一、一番不満を言いたいのは俺だ…毎晩の様に恐怖に引き攣った顔して、悲鳴上げて飛び起きる女に手を出す気は無いが…単純に寝不足になっちまう…
「…アンタは…私の事…迷惑だと思わないの…?」
「迷惑だな…毎日ここの状況をまともな状態にするだけで一日が終わるのに…お前が毎晩悲鳴上げるから寝られねぇ…」
「…嫌なら何時でもクビにしてくれて「断る」…どうして…?」
「知るか。下らねぇ事言ってないでさっさと寝ろ。」
鎮守府の廊下を歩く…途中トイレに行ったらしい艦娘に声をかけられ叢雲が泣きながら外に向かったのを見たと言われ礼を返す…うるせぇな…夫婦喧嘩じゃねぇっての。早く寝ろ…お前は明日早いだろうが。…慌てて部屋に向かう艦娘に軽く手を振り、出口に向かった…