「十秋ちゃんは趣味とか無いの?」
「え~と…特には…?」
さて、困った。私は別に人見知りとかじゃないけど…一応既に二十代を迎えていた前世の記憶が先行するせいか一般的な女子高生との会話は非常に苦手である…いや、私と話題のこう…何と言うか、…そう。フレッシュさが違うんだよね…自分で言うのも何だけど私は流行は追わないタイプだし…。つまり自動的に私と彼女たちには共通の話題は無い事になる…。
だからね…好きな芸能人とか聞かれても答えられないわけで!だって最近の若い俳優さんが出るドラマとか一々見ないし…。まあそもそもあの頃から別にテレビ自体あまり見てなかったけど(今世は一夏が多少好きなのと簪の影響でアニメは割と見る。)
私は一夏の席をチラ見する…一夏は先程箒が引っ張って行ってしまったのでいない…早く戻って来て!そいで持って私を助けて!?
……私は今、必死に愛想笑いで誤魔化しながら私に取っての救世主である弟の帰還を待っていた。…ちなみに箒はタイプ的に私に近いので戦力外であろう…。
「とーちゃん、大丈夫ぅ?」
あっ、本音!そうだこのクラスには本音がいた!私を助けて本音!?
「…何か忙しそうだねぇ。後でまた話そうねぇ。」
自分の席に戻ろうとする本音…。ちょっと待って!?本気で助けて本音!?
「…あー…ほら…皆、十秋姉が困ってるから。その位にしてやって。…十秋姉の事で答えられる範囲なら俺が答えるから」
一夏!助かった…。
「…全く。お前は変わらないな、十秋…。」
「…え~と…箒?ブーメランって知ってる…?」
私は最近覚えた若者言葉を使ってみる事にする。
「ん?手で投げて戻って来るアレの事だろう?それがどうした?」
……通じてない。何か前世より脳筋な気がするんだけど…もしかして私のせいだったりする…?
「…十秋、さすがに冗談だからそんな微妙な顔されても困るんだが…。」
「え!?冗談だったの!?」
そんな真顔で言われたら分からないって!
「ちなみに今の私は一夏と同じで普通に料理が趣味で、最近のドラマやバラエティ番組も割と見るから同年代の女子と会話のネタにはそれ程困らないからブーメランは刺さらん。…まあお洒落や、今の女子高生に人気のスポットとかには疎いがな。…最も華やかな場所が多少苦手なだけで誘われたら行くのは別に吝かでは無い。」
「……」
嘘!?箒にすら女子として負けた…だと!?
「…ほう?どうやらお前とは一度ゆっくり話をした方が良いかもしれんな…!」
しまった!伝わるんだった!?
「…そろそろ授業が始まるな、じゃあまた後でな…!」
「…まっ、待って…!」
どうしよう…!初日からいきなりやらかした…!
何とか箒を宥める方法を考えないと!今世の私じゃ、箒には勝てないし!……うぅ。授業どころじゃ無くなったよ…。