箒と一緒にモニターを注視する…。
セシリアの纏うブルー・ティアーズはBT兵器、所謂ビットを飛ばし、その気になれば相手を他方位から囲み撃ち出来るISだとか…でも…
「…セシリアはビットを使いこなせていないようだな。」
「そうだね…。そもそも一夏の場合、反応が早いから死角から狙っても撃たれたのに気付いたらすぐ躱せるだろうし。」
セシリアはせっかくのビットを動かすだけで精一杯みたい。一夏の牽制は出来てるけど決め手は全く無い。…肝心の射撃もせいぜい二箇所同時が限界。…しかも一度撃ったらそれは同じ方向にしか飛ばず躱されれば終わり…ビームである以上理論上は多分曲げられるはず…一方向にしか飛ばないなら稼働ビットが少ないせいもあり一夏を捉えるのは不可能…。
「しかし…本当に出鱈目だな…私なら躱すのも難しいというのに…。」
そう言って項垂れ拳を握り締める箒…
「別に一夏と同じ様にやる必要は無いでしょ。決勝の映像を見て思ったけど箒の強みは攻撃スピードだと思うけど…」
何も一夏の様に無茶な動きをして躱す必要は無い。箒なら多分ビットを叩き落とせる。…寧ろビームを斬るところまで行くかもしれない。…別にこれはISの適正云々の話じゃない。生身に纏う以上、機械的な要素が加わるとはいえ、ISの動きはその人物の反応と身体能力にある程度依存するのだ。…前世の私がそうだったし。
「…そうか、そうだな…。」
そう言っては見るもののまだ元気の無い箒…むぅ…別にお世辞言ってるわけじゃないんだけと…一夏、フォローが足りてないんじゃない?
「ISの扱いに自信が無いなら箒も刀奈さんに教えて貰いなよ。私が頼んでみるから…」
刀奈の名前は本来教えるのは不味いのだが…そもそも私は箒にはもうこの名前で伝えてしまっているし、今更だろう…。
「…いや、そういう事なら自分で頼むよ。教えて貰うのは私だからな。」
そう言って笑う箒…うん、調子が戻って来たみたい。
「ん?決着の様だな。」
「…あっ、ホントだ…」
いけないいけない。箒の事ばかり気にしてて見逃した…どうも一夏は零落白夜をセシリアに当てる事に成功したらしい…。あっ、セシリアのISが空中で解除されて…
「…あいつは一々女子とフラグを立てないといられないのか…」
そう言って溜息を吐く箒…。モニターに映るのは落ちてくるセシリアを受け止めた一夏…
「…アハハ…まあ今のは仕方無いでしょ、不可抗力だし…。」
前世の時から思ってたけど一夏はもうそういう星の元に生まれたとしか思えない…。苦労するね、一夏…。
「…笑ってるがお前も人の事は言えないと思うぞ…」
「…え?」
どういう意味だろう…私は一夏みたいにあまりフラグを立てたりしないと思うんだけど…
「…まあ分からないならそれで良いさ…ところで十秋?次はお前じゃないのか?」
「…!あっ、そうだった…行ってくるね、箒?」
「ああ。思いっきりやって来い。」
激励は嬉しいけどあんまり自信は無いかな…私は一夏と違ってセシリアを倒す決め手が無いし…。まあ私なりに出来る戦いをするだけ。
「ごめん…もう一勝負付き合ってね、シュナイダー…」
私は一夏と同じくブレスレットにした専用機に触れ声をかける…まだ一回しか一緒に戦ってないけど不思議と愛着は湧いていた…まるで昔から一緒だったみたい…。
そんな事を考えながら歩くと一夏の姿が見えた…
「…十秋姉…」
一夏が片手を上げる…成程。分かった…!
「…一夏!」
二人でハイタッチをする…ちょっと手が痛い…。
「…セシリアは強かったぞ…頑張れよ!」
「…うん!」
私はISを纏うとセシリアの元に向かう。