シャワーを浴びている筈のセシリアを探す…あっ、シャワーの音が聞こえて…えっ?ちょっと待って。確か私も浴びてから来てるし…多分もう三十分は経つよ?汗流すだけならさすがに長くない?
「…えっと、確かシャワーの浴び過ぎって身体に悪いんだよね…一応声はかけた方が良いかな?」
主にシャワーやお風呂は女性は長いものだけど…長いということは何か悩んでいる時とか、落ち込んでいる時だったりもするから様子も見た方が良いのかも知れないけど…同性だからってその辺は気を遣うべきだよね…。
「…セシリア?随分長く浴びてるけど「うぅぅぅ…」…え?」
どう考えても泣いてるよねこれ?やっぱり私のせい…?
「…一夏にも負けちゃってるし私だけのせいとも思えないけど…やっぱりそれだけ代表候補生の肩書きって重いのかな?」
嘗て私は一応フランスの代表としてモンド・グロッソに出た訳だけど…そんな重圧気にした事も無かった…と言うかとっくに学生ですら無かったし、大人になれば何だかんだ責任は付き纏うから今更だったし…別に負けたからって責められもしなかったしなぁ…まあそれでも一応準優勝だったけどね。…まだ十代の女の子には辛いよね…でもセシリアは何となく他にも抱えてそうな気がする…。
「セシリア!」
さっきより大き目に声をかけてみる…
「…とっ、十秋さん…?そっ、そこで何をしていますの!?」
「セシリアが心配だから来たんだよ!」
「安い同情は要りませんわ!」
飛んで来たのは拒絶の返事…うん、まあそうだよね。私だってろくに事情も知らずにそんな事言われたくない…でもね…
「…友人を心配したらいけないの?」
「貴女に何が分かりますの!?」
あー…うん。当然の反応だよね…と、冷静に受け止めつつ頭の何処が熱を持ち始めた気がした…ちょっとカチンと来たかな…!
「何も分からないよ!セシリアは何も話してくれないし!」
「何も話す事はありませんわ!出てって下さいまし!」
「嫌だよ!だってセシリア泣いてるじゃない!」
「なっ、泣いてなど…「そんな声で言われても説得力無いよ!」放って置いて下さい!」
埒が明かない!私はセシリアがいるシャワー室に入った。
「…なっ!?何のつもりですの!?早く出てって下さい!」
「じゃあ話してよ!私はセシリアの事、何も分からないよ!でも、これだけは分かるよ…セシリアは負けたからってだけで泣いてる訳じゃないんでしょ!?」
目の前には両手で抱くようにして必死に自分の身体を庇う涙目のセシリア…あー…これちょっと卑怯だよね…逃げ場無いし。でも、私は止まらない。
「…出てって、出てって…「セシリア…大丈夫だから…」…!…十秋さん…?」
セシリアに歩み寄るとそのまま抱き締める…あー…制服濡れちゃった…まあいっか。
「…ねぇセシリア?私はセシリアの事、友だちだと思ってるよ?セシリアは違うの?」
「…わっ、私は…!」
「…そうやって何でもかんでも抱え込んでたら潰れちゃうよ?話してよ、私には何も出来ないかも知れないけど…きっと楽にはなるよ?」
腕の中で啜り泣く少女を宥めつつ…あれ?これもしかして余計に事態悪化させただけじゃ?と思ったけど私にはセシリアが泣き止むまで頭を撫でてあげることしか出来なかった…。