「…セシリアちゃん帰ったのね…」
「…刀奈さん、もしかして聞いてました?」
タイミングが良過ぎるからね…ほとんどセシリアと入れ替わりに戻って来たし…。
「……十秋ちゃんなら分かっちゃうか…ごめんね、この部屋は私自身がカメラと盗聴器を仕掛けてるの。…セシリアちゃんには内緒でお願い。」
「そもそも言えませんけどね…」
余計にセシリアに罪悪感が…刀奈が私の為にしてるのは分かるけど…
「後ね…」
「?…何ですか?」
歯切れが悪い…まだ何かあるのかな…?
「…いやね、廊下に織斑先生がいるのよね…本人は気配を消してるつもりみたいなんだけど…」
「…あー…」
千冬本人、あれだけ存在感あって早々気配なんて消せないと思うけど…
「…基本同室の私しか十秋ちゃんの様子見れないから本音から又聞きだけど授業も全部自習にしてたみたい…」
「…姉さん…」
「…そこまでするくらいなら様子を見に来たら良いのに結局、この時間までずっと悶々としてたんじゃないかしら…?」
千冬…気持ちは嬉しいけど授業はちゃんとしようよ…
「…どうする?会う?…疲れてるなら帰ってもらうけど…?」
「……会います…刀奈さん、明日も私を休ませるつもりですよね…?」
「…そうね、十秋ちゃんの場合反動が怖いからね…あー…成程ね、一応元気になったんだから今日会っておかないと明日も自習にしちゃうわね、多分。」
「ええ…多分姉さん、かなり大袈裟に捉えてると思うんで…」
「分かったわ、それじゃあ呼んでくるわね…私は隣にいるから…大丈夫、セシリアちゃんはまだ信用が出来なかったけれど織斑先生なら聞かないから。ゆっくり話していいわよ?」
「…それは…遠慮しておきます…そもそももう消灯時間ですし…私も疲れてますし…」
「…それもそうね…まあ、取り敢えず呼んでくるわね?」
「はい、お願いします」
刀奈が出て行って一息吐く。…千冬、いきなり飛び付いて来たりしないよね…さっきのセシリアとの話で精神的に色々持ってかれてるし、体力も落ちてるから勘弁して欲しいんだけど…あっ、ドアが開いて…
「十秋!?大丈夫か!?」
「…姉さん、一応消灯時間だから…防音は効いてると思うけど…もう少し…」
「…そっ、そうだな…すまん…。」
…抱き着かれたりされるより良いけどいきなり大声出されるのも辛い…心配してくれた千冬には悪いけど軽く話して帰ってもらおう…刀奈にも迷惑かけてるし…。
「…もう大丈夫なのか…?」
「うん。心配かけてごめんなさい…念の為明日も休むけどもう大丈夫だと思う。」
「…いや、お前が元気になったのなら良いんだ…それに大事を取るのは当たり前だろう…?」
「…うん。…ところで姉さん?」
「何だ?」
「…今日の授業全部自習にしたって聞いたけど…?」
「……」
千冬が顔を私から外す。
「…姉さん、ちゃんとこっち見て。…私を心配してくれるのは嬉しいけど授業休んだら駄目だよ…」
「…うっ…すまん…どうしてもお前の事が気になってな…」
「……」
……初日以外は他の生徒と同じ様に扱われて、凛とした姿ばかり見せられてたから…こういう弱々しい姿を見せてくれて、しかも理由が体調を崩してる私を心配してくれたから…というだけでここまで嬉しいのは自分でも末期だと思う…あー…益々好きになっちゃうな…本人に言える余地も無いのに…
「…十秋?どうした?まさかまた調子が…!」
「…ううん…大丈夫だよ…とにかく明日はちゃんと授業してね?多分明後日からは出られるから…」
「…分かっているさ。…さて、更識姉をこれ以上待たせる訳にはいかんな…消灯時間は当に過ぎてるし一夏と篠ノ之にも迷惑がかかる…」
「…そうだね…」
さっきまでセシリアが来ててその時も刀奈は隣にいたから正直今更なんだよね…それに私自身も今朝一夏に迷惑かけてるし…。
「…じゃあな…一応明日も様子を見にくる…今度はもう少し早い時間にな。」
「…うん。じゃあね、姉さん。」
千冬を見送る…うん…弱ってるからかやっぱり名残惜しいな…普段ならもうちょっと我慢出来るんだけど…それに、IS学園に入るまで離れて暮らしてて…こうやって漸く普通に会えるようになっても家族らしい会話は全然出来なかったから…あー…今さっきまで会ってたのに…また会いたくなっちゃうな…最も余り長く同じ空間にいたら私がもたないんだけどね…