その後は適当に雑談をして、チャイムが鳴ったので教室を出た。…あっ、そう言えば…
「箒、昨日私の所にセシリアがサンドイッチ持って行こうとした話は一夏から聞いた?」
そう、さっき私が黙ってようとしたセシリアが料理下手な件…完全に忘れてたけど、一夏が昨日の時点でこの事を箒に話してればもう知ってるんだよね…
「…ああ、例の不思議物質が詰まったサンドイッチを持って行こうとしてた話な…」
不思議物質って…
「一応聞くけど、セシリアとは…」
「…私も普通に友人だよ…つまりお前が今日来てなくても私と一夏の口には入った可能性が高い…」
「一つ聞くけど、私がいない間って…」
「…何故か持って来なかったな…多分、本人は元々料理経験自体が無くて、お前に先に食べさせようと練習してたんじゃないか?」
「そっか…」
それを聞いたら尚更食べないわけにはいかなくなった…だって親友の初めての料理だよ?そんなに薄情にはなれない。
「なぁ?お前は断っても「それは出来ないよ…昨日だって私の為に作ってくれた事を思えば持って帰って貰ったのが申し訳無くて」…確かに…私でも断りにくいが…」
「あのさ、箒「セシリアに料理を教えて欲しい、か?」…あっ、やっぱり分かる?」
「…まあな…どうせ一夏にもそう聞いたんだろう?…別に私としては問題無いが…」
「えと、敵に塩を、みたいのは…」
「…そもそも食べさせる一夏自身がかなりの腕だからな…条件が多少イーブンになるくらいで…特に塩を送る事にはならないだろう…大体、友人である以上、本人にやる気があるなら別に私は断らんよ。」
……断れない、の間違いじゃないかな…箒って昔から押しに弱いし…
「…まあ確かに、基本私は断れないタイプかもな…」
「あっ、ごめん…」
そうだね…伝わるんだもんね…
「…気にするな、この程度では別に怒らない。…ところで…一夏も言ってたと思うが、本人にやる気があってもどうしようも無い場合もあるからな…料理は決まった工程を再現出来れば、誰でもそれなりの物が出来るのが普通だが…私も別の学校に通ってた頃、頼まれて何人か教えた事があるんだが…こっちが全部指示しても、食べられない物が出来上がる矯正不可能な者は確かにいるんだ…」
「例えば…どんな…?」
「……セシリアの様にカラフルな不思議物質を作った奴はいなかったが…例えば、焦がしてないどころかほとんど生焼けの筈なのに真っ黒とか…一番ヤバイ例だと何故かうにょうにょと生理的に受け付け難い動きをする謎生物を作った奴とか…」
「…えと、何で料理を作ろうとして生物が…?」
「……理由は寧ろ私が聞きたいな。料理は最終的には才能が必要かもしれないが…余程難しい物を作るのでなければ誰でもまともな料理を作れる物だと思ってたんだが、アレらを見て思い知ったよ…逆の才能を持つ者が確かにこの世には一定数存在する…アレではもうどうしようも無い。正直、失礼を承知で言えば…千冬さんはかなり稀有な例だと思ってたんだが…実際は全くそんな事は無かったな…」
「うわぁ…」
箒の目が死んでる…
「…彼女たちに諦めろ、と…ただ一言言うだけの事が非常に辛かったな…そういう物を作り出してしまう奴に限って努力家だったからな…」