フランスの正月は一日しかない。二日からは平日になるのが通例。
「何かすまんな、引き留めたようで…。」
「ううん。私は千冬たちと過ごしたかったし…。」
まぁ日本の正月に間に合うように来てしまうと帰るのもちょっとめんどくさい…。それに日本の三賀日は母さんからは話には聞いた事があるけどそもそもフランスを出た事が無かった私には馴染みが無いから新鮮。…増してや千冬と一緒に過ごせるから最高。
「■■さん、おせち料理は大丈夫か?」
一夏君がお重に入ったおせち料理を持って来る…美味しそう…。
「うん、多分大丈夫。」
「一夏の手作りだ。味は保証するぞ。」
千冬、自分で作った訳じゃないんだからドヤ顔する所じゃないんじゃ…。
「毎年千冬姉には好評だけどな…。■■さんに食べさせるのは初めてだから緊張するよ…。」
「そんな大袈裟な…。」
基本私は一夏君の料理の味付けは割と好みだったりする。
「…さて、食べようか?」
「「「いただきます!」」」
三人で手を合わせ挨拶をし、食べる。…あっ、美味しい。
「一夏君、これは何?」
「ん?これなら筍だけど…もしかして初めて食べたのか?」
「…筍…。」
これがそうなんだ…。母さんから聞いた事はあったけど…食べるのは初めてだな…。
「…もしかして口に合わなかったか…?」
不安そうに聞いてくる一夏君に私は慌てて否定する。
「ううん。とっても美味しいよ。」
「そっか。それなら良かった。」
「一夏君、これは…?」
「…ん?これなら……」
そうやって元旦は過ぎていく…。
初詣に行こうとなり篠ノ之神社へ。
「…良く来たな、一夏君、千冬君、■■君。」
「あけましておめでとうございます。柳韻さん。」
柳韻さんに挨拶をして作法に従ってお参り……結構細かい手順があるんだね…。
柳韻さんに誘われお茶と和菓子をご馳走になる……聞けば束がISを発表して以来、家族がバラバラになってしまい今はここには柳韻さんしかいないとか……やっぱり寂しかったりするのかな…?
篠ノ之神社を出て織斑家に戻る道中
「ちーちゃん!■ちゃん!いっくん!やっほー!」
え!?束!?
「…あけましておめでとう束。」
「おめでとう束さん。」
呆然とする私を他所に束に挨拶する二人。…慣れてるつもりだけど唐突に出て来るとやっぱりびっくりするよ…。
「ねぇ束、家には帰らないの?」
「え~…良いよ、別に。それよりちーちゃんたちと一緒にいたい!」
「全くお前という奴は…。」
そう言いながらも満更でも無さそうだよ、千冬。
「…ふふ。」
「■■?どうかしたのか?」
「ううん。何でもない。」
賑やかで楽しいお正月。…失った遠い記憶。