フランスには今ぐらいの時期は二つの大きな行事がある…ニースにてカーニバルとマントンでレモン祭りと言った具合だ。
特にレモン祭りはレモンやオレンジの巨大なオブジェが練り歩くと言う日本の祭りとはまた違った迫力がある…私は今日は休みを取り、こっちに来れない千冬たちのために動画を撮って送ろうと思ってたんだけど…
「…何で私は今ここにいるの?」
「いやだって■ちゃん、人だかり凄いよ?これじゃあ携帯やカメラで動画撮っても多分、ほとんど人しか映らないと思うよ?」
「…一理あるとは思うけど何も空からじゃなくても良いと思う…」
「でもほら、良く見えるでしょ?」
私は今マントンの地では無く束謹製の人参型ロケットでマントン上空にいた…
「…お祭り?」
「…そう。日本のお祭りとはまた違うし千冬や一夏君は行った事ないって言うから動画に撮って送ってあげようと思って…」
「じゃあ私も一緒に行きたい!」
「…構わないけど移動は?束は交通機関使うの不味いでしょ?」
「大丈夫!ほら!早く行こう!」
「ちょっと!?行くから引っ張らないで!?」
…とまぁ半ば拉致に近い形でいきなり外に引っ張られ…家の前に堂々と鎮座していた人参型ロケットを見て更に驚愕しあれよあれよという間にロケットに乗せられ思いの外速いスピードに私が軽く悲鳴を挙げつつ今に至る…
「…いきなり乗せてごめんね…それとも高い所苦手だったとか?」
「…高所恐怖症なら多分もっとパニックに陥ってるし、行く気はあったから別に怒ってはいないよ。…ただ先に言っては欲しかったけどね…」
どちらにしろそんな顔されたら怒れないよ…。
「…まあほら…!空撮の方がやっぱり迫力あるでしょ!?」
「…そうだね…。」
実際束の言う通り地上で普通に撮影してたらほとんど人しか見えなかったのは確かだ…。
「…でもどうせなら私も下で見たいなあ…」
「…変装してても束なら割と目立つし不味いんじゃない?」
文句を言いつつもやっぱり束の事を考えるとね…
「う~ん…そうかも…」
そもそも束は人嫌いに振舞っているが人嫌い所かそもそも束自身が他人と接するのは苦手な筈だ…こんな人混みに出たら多分キツいんじゃないかな…
「…まあ、仕方無いよ…ほら、私はまだ時間あるしニースの方に行かない?」
「えっ?何で?」
「ニースの方でも別にお祭りやってるの。こっちでもパレードが中心だけどね。…主にたくさんの花を飾った山車が走る花合戦パレードと仮装して練り歩くカーニバルパレードが魅力だよ。」
「うわぁ!面白そう!じゃあそっちにも行こう!」
そもそも私からしたら世界中を回るなんて簡単な事なのに世界の行事を全く知らない事の方が不思議なんだよね…それだけ人に興味を持たないって事なのかな…こうやって笑ってる束を見ると世間の反応がどれほど間違ってるのかとも思える…少し歳不相応だけど束はこんなに明るくて…やっぱり普通の女の子だ…