案外見かけないなあこういうの
俺の人生は波乱の連続で息付く間も無い戦い、戦い、戦いが続く時間だった
色んな死を経験した
親友も殺し、果ては自分の親まで殺した
正に悪夢だった
神と言うものを信じた事は一度もないが本当にいるなら俺の前に現れてくれ
そして救ってくれ……と思ったこともある
そして駆け抜けた人生の終着点は驚くほど穏やかなものだった
静謐な老衰とは程遠いものだったが若き日の戦いの時間に比べたら平和過ぎて拍子抜けするほどだった
たとえ人より生きた時間が短かかろうとベッドの上から動く事が出来なかろうと多くの“家族“に看取られて死ぬ
俺には過ぎた幸せであり決して訪れる事の無いと思っていた幸せだった
悔いは無かった
「…ありがとう……」
そう言って俺は目を閉じる。瞼の裏に浮かぶのは……嘗て命令や考え方の相違から殺すしか無かった者達
今からそっちに行く。待っていろ……
そして俺は眠りについた
本来ではあれば俺の物語はこれで終わりだ
ならばこれは何だ?
マスターの受け売りだが東洋には輪廻転生という宗教概念があるらしい
端的には人生の終着点を迎え息絶えた生物は膨大な時間をかけ前世の記憶が消えたまっさらな状態で再びこの世に生を受ける
新たな姿は人かもしれないし動物かもしれないし植物かもしれない……
ただ共通しているのは前世の事は覚えていない……ということだ
でなければその生物は前世と今世の乖離に苦しんだまま生きなければならなくなるから……だそうだ
最も例外的に前世の記憶を持ったまま新たな生を受けてしまう者もいるらしい
……つまりこれはそういう事だろうか……
気付けば俺の視界は低くなり何処かの家の中にいるようだ
俺は周りをキョロキョロと見回し
目的の物を探す
あった。鏡に近づき覗き込んだ
そこには見知らぬ子供の姿が映っていた
結論から行けば俺は普通の家庭の普通の子供として誕生していた
よく考えれば今世の記憶も確かにある
だがこの記憶……かつてのソリッド・スネークとして激動の人生を駆け抜けた記憶が今の俺にはある
忘れていた前世の記憶が戻ってしまった……それが俺の出した結論だ
その後若い頃から戦いの連続、果ては自分の死すら記憶している俺がまともな幼少期を送れる筈もなく
親やそれまでいた友人からは距離を置く感じで育ち青年期に入って俺は荷物をまとめた
さっさと家を出た俺が軍の門戸を叩くのは自然の流れだった
自分で言うのも何だが昔から組織に馴染めず一匹狼気質だった俺が真面目に軍人をやっているのはなかなかに新鮮だった
そして或いはこの出会いは必然だったのかもしれない
今が未来ではなく年代は過去なのはわかっていた
当然”あの男”がいることも
「…いいセンスだ。若いのになかなかやるな。だが、まだ甘い」
「クッ、早く殺せ」
俺は目の前の侵入者に対して抵抗を辞めた
この男は強い……俺が前世で培った戦いのノウハウ全てを活かしても御しきれない程に……
……いや。待て。俺はこの男を知って、いる?
……!まさか……
「…いい目だ。新兵の目ではなく、まるで歴戦の兵士の目だ。殺すには惜しいな……良し!」
「…!何を……?」
「何。ちょっと空の旅にご招待だ」
「何を言って!うっ、うわああああ……!」
俺の身体は上空に舞い上がる
文字通り飛んだのだ
驚いて下を見るとあの男のムカつく笑顔が見えた
「…良き空の旅を。」
「…カズ、聞こえるか?今一人そっちに送った。確認してくれ」
「ああ。こっちでもモニターしていた。しかし……凄いな。アンタは手加減していたんだろうがアンタにあれだけ食いつけるとは……」
「……いや。俺は本気だった」
「……冗談で言っているのか?」
「さあ?どっちだろうな?……丁重に扱えよ、そいつはかなりの狂犬だ」
「了解。ボス」
後にそんな会話をされていたと聞いた
さて俺はあの伝説の男と再び出会ったわけだが……
かつては敵対し果ては殺してしまった
俺の死の直前改めて俺の前に現れた奴はすぐに息絶えてしまった
俺があの男に抱く思いは複雑だ
苦手だった?嫌いだった?或いは憎んですらいたのかもしれない
だが、そんな確執は向こうに置いてきた
だから……
「…お前、名前は?」
「…スネークだ。ソリッド・スネーク。よろしくな、BIG BOSS」
今度は本気でアンタの下に付くのも悪くない。そう思える
「ところで葉巻は飲るか?」
「俺は煙草派だ」
「……何だと?」
切実に文才とまともに書く時間が欲しい