「昨日も思ってたが…良い食いっぷりじゃねぇか!」
「はあ…ありがとうございます…?」
料理が来て…不安だったけどいざ口に運んで見ればやっぱり料理は美味しくて手は止まらなかった。…うん。料理は美味しいよ?文句無し。でも…
「ほれ!こいつも食え!サービスだ!」
そう言って運ばれて来る追加の皿…断ろうとしたが押し切られてしまった…いや、確かにお腹にまだ余裕あるけど…美味しいから文句は無いよ?しかも料金も今日は良いって言うし…でも…でもね?
「いやあ!本当に良く食うじゃねぇか!しかもそんだけ美味そうに食ってくれるから作り甲斐があるぜ!」
「……」
私何してるんだろう…?今日は一応改めて昨日の謝罪と、弾君の家での扱いについて話をするつもりだったのに…まだ何も話せてない…どうしよう?と言うかさっきから一々厳さんが私の食べてる所を見に来るから落ち着かない…
「その割には食べるペースが全く変わらないな…」
「んぐっ…だって…美味しいから…」
とっくに食べ終わった千冬が横からジト目を向けて来る…そんな目で見ないでよ…美味しいんだからしょうがないじゃない…
「お前…今日ここに何をしに来たのか忘れてやしないか?」
「…そんな事…無い…」
さっきまで食べていた料理の一皿が空になり、また厳さんが厨房に引っ込んだ所で千冬が小声で聞いてくる…今この場には私と千冬と厳さんしか居ない…弾君や蘭ちゃんは一夏君と部屋に行っちゃったし、他の家族はそもそも今日は店に出てないみたい…
「私は暇だから別に良いが…だからってこのままだと話が進まないぞ?この様子だとお前から言わないと駄目だろうな…お前だって腹具合に限界はあるだろう?キリのいいところで止めて置かないと腹壊しでもしたらもう話どころじゃ無くなるぞ?」
「うん…今作って貰ってるの食べたら厳さんと話をするよ…」
不気味な程機嫌の良い厳さんの背中を見ながら私はそう言った…
「あの…厳さん?」
「おう!何だお代わ「いえ…そうじゃないんです…料理は美味しかったです…ありがとうございます…それで…そろそろ本題に入りたいんですけど」…そうか…そうだな…分かった。」
厳さんが厨房からこちらに出て来る…いよいよ、だね…
「さて、それじゃあ悪いんだが…」
厳さんが私の向かいの席に座ると口を濁しながら千冬の方に視線を向けて来た…あー…もしかして…
「…成程。そういう事であれば私は席を外しましょう…■■、私は店の外にいるからな?」
「…分かった。…終わったら呼ぶから…」
「すまねぇな…一旦この嬢ちゃんと二人だけで話をさせて欲しいんだ…心配すんな、そんなにはかからねぇからよ…」
千冬が店から出て行く…ちょっと心細いけど仕方無いよね…そもそもこれは私の問題なんだし…
「んじゃ改めて…■■さん、つったか?…悪ぃな、俺は外国語が苦手だからな…ちょっと発音が違ぇかもしれねぇが…」
「…気にしないで下さい。昨日ちょっと会っただけなのに名前を覚えていてくれてるだけ光栄ですし…増してや…あんな生意気な態度を取ってしまったのに…」
「それこそ気にすんな…あんたの言う通りだよ。俺のやり方が間違っていた。それが事実だ…あんたは正しかった…昨日はついムキになって黙っちまったけどよ…全く良い歳してこんな簡単な事も分かんねぇなんてな…」
「人間は完璧じゃないですから…誰でも間違いを犯しますし、失敗もします…私なんてまだまだ失敗だらけで…それに、いくら間違いでも人に指摘されたら大抵反発してしまうのが普通です…増してや私みたいな小娘に言われたら…尚更でしょう?」
「まあな。正直に言えば…知ったふうな口聞きやがって!…とか思ったのは確かだ…最もあの場で何も言えなかった時点で完全に俺の負けさ「勝ち負けじゃありませんよ」ん?」
「私は勝ったなんて思ってません。人として大事な事だと思ったから…言っただけです…それに帰った後…生意気な事を言ってしまったと落ち込んですらいましたから…千冬や一夏君、弾君や蘭ちゃんに私は間違って無い…そう肯定されてなかったら…きっと今日改めてここに来る事も無かったでしょう…」
「そうか…」
「聞き辛いけど…お聞きします…もうあんな事は…しませんよね…?」
「…伝わったよ…あんたの言いたい事は。あのあと弾とも話したし…謝った。許してくれたよ、あいつは…でも俺は納得出来て無いけどな…」
「そうですか…」
ここから先は完全に家族間の…厳さんの問題だ…私が口を出す話じゃない。
「…それじゃあ今日はもう帰ります…今日食べた料理も美味しかったです…次はちゃんとお客として来ますね?」
「…おう。何時でも食べに来い…嬢ちゃんの食べっぷりは見てて気持ちが良いし、作り甲斐がある…次もまたサービスしてやるよ。」
「…ありがとうございます…それじゃあ…失礼します…」
そう言って私は席を立つ。先ずは外で待たせてる千冬の所へ行かないと…
「…なぁ?ちょっと待ってくれねぇか?」
「えっ?」
そう声をかけられ私は困惑しつつも取り敢えず上げた腰を下ろした…厳さんが私を見詰めてる…何だろう…?
「…もう少し話をしねぇか?」
「でも…千冬を外で待たせてますし。」
「少しで良いんだ…」
「…分かりました…なら、少しだけ。」