「…ん?」
私しかいない筈の家の中に気配を感じる…
「…束、隠れてないで出て来い。」
私はそう呟いた。
「…ごめんちーちゃん…邪魔するつもりじゃ無かったんだけど…」
後ろから声が聞こえ、振り向くと部屋の中に束が立っていた。
「…お前が今更、そんな事を気にするとはな…」
「……」
「…別に責めてない。お前も呑むか?お前にとってもあいつは親友だったんだろう…?」
「うん…」
「成程な、今日が初めてじゃなかった訳か。」
「うん…ごめん…」
「全く…何も私や一夏がいない時にわざわざこっそり忍び込まなくても良いだろうに。」
「ごめん…」
「良い。ただ、次からは私や一夏…どちらでも良い。ちゃんと許可を取れ。」
「うん、分かった…」
「しかし…何で毎回ここなんだ?あいつの実家に行けばあいつの家族が「行けないよ。」何故だ?」
「だって…■ちゃんの葬式にも出てないんだよ…?」
「…お前の立場じゃ、仕方あるまい…あの時は身内だけに限定してもそれなりに人数がいたからな…だからと言ってこのまま顔を合わせないつもりか?お前だってあいつの家族に世話になったんだろう?」
「そうだけど…」
「あの人たちはそんな事気にしないさ。寧ろあいつが死んでから一度も会ってない方が問題だと思うぞ?」
「■くんには会ったんだけど「多分だが…会ったんじゃなくて隠れて様子を見ていたのがバレたんじゃないか?」……」
「それならあいつの両親にもさっさと会っておくんだな「むぅ…じゃあちーちゃんは?」私か?」
むくれる束に懐かしさを感じた…やはりこの方がこいつらしいな…
「忙しいからな…だが、ちゃんと定期的に連絡は取ってるぞ?お前はどうせ電話もしてないんだろう?」
「…そうだけどぉ!」
「明日にでも行け。私が連絡しておく…お前が来ると知ったらすぐにでも休みを取るだろうな、あの人たちは。」
「むぅ…分かったよ…それじゃあそろそろ束さんは帰るね?」
「む…もう帰るのか?もっとゆっくりして行ったらどうだ?」
「ごめんね、クーちゃんを待たせてるから…仏壇に線香だけあげていくね。」
「分かった。」
「じゃあ、またね…ちーちゃん…」
「本当にまたね、か?」
「うん。」
あいつが死んでから今日まで私は…一度も束と顔を合わせてない…
「到底信用出来んな…」
「むっ!ちーちゃん、酷い!」
「…冗談だ。というか、私の事など気にするな、とっととあいつの両親に会って来い。」
「むぅ…分かったよ、じゃあね、ちーちゃん。」
「ああ…あいつの家族に宜しくな。」