大会二日目、初日からあれほどの物を見せられたし、今更千冬のやる事で驚きはしない…そう思ってたんだけど…
「…えっと…■■さん…今の見えたか?」
「…辛うじて、かな…」
「マジか…」
その言い方だと一夏君は見えてないんだね…他の観客もそうみたい…
……千冬は正面から突っ込む以外の選択肢を取るつもりが無い…私は何かが引っかかったもののそれが何なのか昨日の時点では分からなかった…それが今日の千冬の初戦で漸く分かった。
試合が開始され、昨日と同じ様に千冬が突っ込んで…
「…あっ。」
そこで昨日とは違う事が起きていた。
「…あー…うん、そっか。そりゃそうなるよな…昨日の時点で誰もやらなかったのが不思議なくらいだよな。」
千冬の向かいに立つ対戦相手はライフルを腰だめに構えていた…そうだね、正面から突っ込むのは分かってるんだから開始と同時に射撃体勢に入っていれば千冬の突進は防げ…あっ…!
「あれ…?何が起きたんだ…?」
私も一瞬何を見たのか良く分からなかった…対戦相手のISが解除された事で千冬が勝利した事に気付く……千冬…スゴすぎ…
「…で、結局何が起きたんだ?」
「う~ん…私に聞くより、今映像をチェックしてるみたいだから待ってた方が良くない?」
「つっても■■さんは見えてたんだろ?」
「ん~…まあ一応は…私が見たままを説明すれば良いの?」
「ああ。」
「そう…えっとね…先ず千冬はライフルの初弾が発射された瞬間に移動スピードを上げたの。」
「……それから?」
「それからって言われてもね…その状態から無理やり横に動いて、擦れ違い様に相手の胴を斬りつけた…って言ったら良いのかな。」
「あー…うん…分かった。納得は出来ないけど理解はした。」
正面からの特攻を止めるには普通有効だけど、千冬は例外…ちょっと本当にとんでもない。
「さて、今日の試合はどうだった?」
ドヤ顔をして聞いてくる千冬…可愛いとは思うけどね…
「……■■さんは言いづらそうだから俺が言うよ、正直ドン引きした。」
「ちょ、ちょっと…!一夏君…!?」
そんな風に言ったら…!
「なっ…そうなのか…?」
「千冬姉は気付いてなかったみたいだけど他の客も明らかにみんな引いてたからな?まずあれじゃあほとんどの奴が何やったのか分からなかっただろうし。」
「……」
本格的に落ち込み始めた千冬を私は慌ててフォローした。
「だっ、大丈夫だよ。私は見えてたから。」
「……一夏は?」
「いや、全く。」
「……そうか…」
フォローにならなかったみたい…私だけが見えててもやっぱりダメか。それに私も完全に見えた訳じゃないしね…