「なぁ…俺が悪いのかな…」
「違うよ、一夏君。君は何も悪くない……悪いとすれば、今の世の中の方だよ。」
そう、一夏君は悪くない…たまたまISに触れて…それが偶然起動出来てしまっただけ…
「最も…今の世の中だと君が文句言われるのは間違い無いね…」
しっかりしていてもまだ子どもの一夏君にこんな事言いたくない……でも、一夏君にも事の重大性は教えておかないと…なまじ、しっかりしてるから尚更。……クロエには……今の所伝えなくても良いかな…
「そもそも……何でこんな事になってるのかな?束さんには全然分からないんだけど。」
「女権のせいだよ。」
「女権?」
束…ニュースくらいは見ようよ…一夏君でさえ分かってるのに…
「女権…女性権利団体…まあ昔から良くある団体なんだけど…今は完全に組織化してるレベルだからね…」
「うー…全然分かんないよ!?要するにどういう事!?」
「……昔から声高に女性の権利を主張する人たちは一定数いたんだよ…でも、今までは黙殺されてた…どうしても世の中は男性優位から抜けられなかった。」
「何で?」
「その辺は…まあ諸説あるけどね、昔からそうだったから、って言うのが理由かな?特にこの国は一昔前は家庭内では父親か、長男が絶対で、妻や娘は口答えも許されない時代があったしね…」
「え~!?そんなの可笑しい「そうだよ。だから女性の権利を謳う人たちが現れたの。」ふ~ん…」
束…あんまり真面目に聞いてないね…まあ余談も良い所だから別に良いけど…
「まあ、当初は団体って程じゃなくて一部の個人が声高に叫ぶだけだったし、その後そういう人たちが集まって来てその声をその都度大きくはして行ったものの……あんまり効果は無かったみたいだね…」
「何で「昔からそうだからだよ、皆、元々そうだった事柄は簡単に変えたくないものなの。男性は元より、女性にも別に変えなくて良いと思っている人も一定数いたみたいだし。」う~ん…やっぱ良く分かんない!」
……あれだけ優秀な頭脳持っててどうしてそこで思考停止するのかな…まあ、束は嫌な事は嫌だって言うし、周りがただのワガママだと思う事もいくらでも主張するし、分からないのも無理無いかもしれないね…
「それでまあ…今まではいくら女性の権利を主張してもその声が取り上げられる事が無かったんだけど、ある事を切っ掛けにその声が拾われる様になって来たの。」
「切っ掛けって?」
「白騎士事件。」
「え?何で?」
「白騎士は降り注ぐミサイルから世界を守った。つまり英雄だね…その後束は発表したよね?パワードスーツIS…インフィニット・ストラトスが一体どういった物なのか。」
「うん「そのせいだよ」え!?何で!?」
「インフィニット・ストラトス…ISは女性にしか展開、纏う事が出来無い…つまり今まで戦うのは男だけだと思われていたのが、覆った……しかもその後男が乗るだろう戦闘機まで無傷で退けてる…つまりISに乗れる女は男よりも強い……力関係が逆転したと女性の多くが思ったんだね…次いで、男性の方は女性を怒らせたらただでは済まないと思った…そして、最終的に蔓延したのが今の世論…かつて言われた男尊女卑に次ぐ女尊男卑。」
「え~!可笑しいよそんなの!確かにISは女の子にしか乗れないけど、皆が乗れる訳じゃないんだよ!?」
「女性なら乗れる、って言う不文律があれば良いんだよ。女はISに乗れるから、女である自分は男より優れた生物である、男は女の奴隷になるべきだって過激な思想が蔓延してる……実態は一般的な普通の女性がただそう思っただけではあるけど。」
実際、千冬曰く前回の大会で、ちゃんと訓練してISに乗って大会に出たと思われる人たちは女尊男卑に染まってる様子は無かったそうな……まあ前回までだろうけどね…次からは染まってる人たちも現れると思う…それに…
「千冬ね、大会の運営してる人たちに言われたんだって、弟の事を口に出すな、って。」
「え~!?何なのそれ!?」
「ISに乗れるのは女性の中でも優れた人たち…だから男の事を口にするなんて許されないんだってさ…」
「む~!分かった!なら、いっくんの為に束さんが「何をする気か知らないけど…止めた方が良いよ、束」何で!?■ちゃんはいっくんが虐められても良いの!?」
「今の世の中で女尊男卑に染まってない女性を探す方が難しいからね…束、何億の女性を殺す気なの?」
束は身内と認めた人以外に興味は無い…それ以外は全て他人以下…有象無象でしか無いのだ…そして有象無象が身内に手を出すなら多分束は……殺せる…一人残らず。
「全部だよ「やったら世の中は滅茶苦茶…一夏君も、千冬も…多分クロエや束の妹の箒も…そして束自身も…誰も生きては行けない…」っ!じゃあどうすれば良いのさ!?」
「分からないよ、私には…」
ホントどうしたら良いのか…何でこんな世の中になったのかなぁ…もちろん白騎士…千冬が悪い訳じゃなければ、ISを作った束が悪い訳でも無い……増してやISを展開してしまった一夏君が悪いなんて事は無い…悪いのはこの世の中の方…でもそれをいくら言っても変わらないだろう…
「何かヒートアップしてる所悪いんだけどさぁ…今してたのは俺がISを展開してしまって、どうするかって話じゃなかったっけ?何で世の中がどうのって話になるんだよ?」
「ん?あー…ごめん、そうだったね…」
脱線した上、話を飛躍しすぎたね…
「そもそも何も無かったって事にすれば良いんじゃないか?別にこの先、生活してる分には俺はISに触れる機会無い筈だし。」
「あー…うん、そうだね…」
「■ちゃん、束さんは初めにそう言わなかった?」
「そうだね…」
結局それが最良か…うん、今はそれで良いや…何れバレそうになったらもうその時考えれば良いや…何か…疲れたし…