母さんは帰って来ると買ったものが入った袋を持って一夏君とクロエを連れてキッチンに立った。
……それにしても、あの袋…
「…多い様な「そうでも無いんじゃないか?少なくともお前がいるんだから」……」
ついさっき漸く私の部屋に着いた千冬に言われ、そう言われ、少し凹む…自覚無い訳じゃないけど、改めて指摘されるとちょっとね…
「…ちなみに千冬としてはどう思うの?」
「ん?何がだ?」
…落ち込んでても仕方無いし、流れを変えようと思って千冬に今回の事について話を振ってみたけどそんな返事が返って来た…んん?あっ、そっか…
「ごめん…今回の一夏君がISを動かした件についてね…」
「…それか。何だ、お前も束に似て来たのか?私はエスパーじゃないんだから主語が抜けてたら何の事だか分からないぞ?」
千冬にそう指摘され、また落ち込む…もちろん束に似て来たって言われたから凹んだ訳じゃないけど。
「うっ…だからごめんってば…」
「…それで私の意見か?そう言われても私も今は静観するしかないだろうと思っている。」
「千冬としてもやっぱりそう?」
「…ISのメカニズムについては私も未だに理解しきれない部分があるからな…無論、不本意ではあるが。」
「まあ、製作者側の兄さんですら今回の事は分からないって言うしね…」
「…幸い、今の所は特に害になる事も無いからな…」
取り敢えず、私と千冬の話は特別進展みたいな物は無く終わった…まあ、千冬は勉強は出来る方だけど脳筋な所があるしね…
…それにしても…私はチラッとある方向に視線を向ける…そこには自発的にこの場にいる全員の食器を並べ、一人で席に着きながら母さんたちが料理してる所を笑顔で見詰める束がいた…今の話が聞こえてなかったとは考えにくい…この部屋はそう広くないし、でも口出しして来そうな束は別に何も言って来なかった…う~ん…
「どうした?」
考え込む私に気付いたらしい千冬が声をかけて来る。
「何でも…いや、そうだね…ちょっとこっちに来てくれる?」
「ん?」
千冬の手を引いて寝室まで連れて行く…こんな時でも無ければドキドキするシチュエーションだったのかもね…まあ、千冬はこの部屋に泊まった事もあるから今更だったりするんだけど…
「…どうしたんだ?」
「今回の事なんだけど…私は束を怪しいと思ってるんだ…」
「…束が?」
「…束なら、本当は何でISが女性にしか動かせないか気付いてても不思議じゃないし…」
束がそもそもハナから女性にしか動かせない様に造った可能性については話さない…確証が無いし…もちろん今の話だって仮説に過ぎないけど…
「つまり、今回の件は束が仕組んだと?」
「うん…でも、悪意があってした事じゃないとは思うけど…」
「……今の世の中を見る限りではISを動かせる事はどう考えても一夏の不利益にしかならないが、何かメリットがあると言うのか?」
「それは…分からないけど…でも束だし…」
束はどちらかと言うとその辺、どうにも考えが甘い所があるのは否めない…私も千冬も長い付き合いだから分かる事だけど…
「…どちらにしろ、今は様子を見るしかないだろう。取り敢えず今の話は頭の片隅にでも留めておく。」
「うん。」