「いやー、どうしても長くなって「もう良いでしょう?とっくに一時間なんか過ぎてる筈です」……遠野君、この部屋に時計はありませんよ?」
「ここに入って長いんですよ。最早体感である程度時間は分かります…が、どうやら開けられる様子は無さそうですね。ドアの向こうに気配がありませんから。」
「……」
「本題、入ってくださいよ。本当は何の話をしに来たんですか?」
「…もう少し、遠野君と普通のお話がしたかったんですがね…分かりました…ではお聞きしましょう。遠野君?貴方のその記憶を自分の物として認識出来ない症状、何が原因ですか?」
「……」
「どうしました?答えられま「事故ですよ、単なる事故。」…仮に消えてこそいないものの、記憶に障害をきたしているそれは単なる事故には当てはまりませんよ?」
「それは…別に良いでしょ?被害にあった俺が単なる事故と言っているんですが。」
「遠野君、いまこの部屋のカメラは停めてもらってます。」
……この女、何でここまで自由に出来るんだ?
「話してくれませんか?」
「……カメラが停めてあろうがどうだろうが…俺の答えは変わりませんよ。」
「そうですか。」
「話は終わりですか?なら、さっさと連絡取って開けて貰えますか「最後に一つだけ」…分かりました、何ですか?」
「アルクェイド。」
背筋に冷たいものが走る…
「…秋葉さんから聞いた所、貴方はここに来る前の時点で遠野家を出ていたそうですね、それはつまり彼女を選んだ、という事でしょう?」
「……」
「最後に聞かせてください、貴方は何故一人でこんな所に「答える義理はありませんよ」……何となく、そう言うんじゃないかと思ってました。」
彼女が携帯を取り出した。
「もしもし…ええ、終わりました…はい、失礼しますね。」
「今日の所は帰ります「もう来ないで欲しいんですがね」そう悲しい事言わないでくださいな、次は聞きませんから。」
「何度も言うように今の俺にとってアンタは他人です、会っても何の感慨もありません。」
「それでも…私は会いたいです…秋葉さんも同じじゃないですか?」
「恋愛感情も独占欲も…色々ドロドロしたものがごっちゃになって自分でも整理のついてない女なんて真っ平ですよ。」
「奔放な吸血鬼に振り回されるよりは楽かと思いますけど?それとも私が良いですか「アンタだって嫌ですよ。」じゃあ今の遠野君が好きな女の子ってどんな子ですか?」
「……俺の過去を気にしない、触れて来ない歳上の女性なんて良いんじゃないですかね。」
「あ♪歳上が良いんですか♪なら私「アンタさっきから俺の過去をほじくり返してただろ?死んでもゴメンだよ」あ~あ…ざ~んねん。 それじゃあお迎えが来たようなので帰りますね?」
そう言った所でドアが開き、看守が声をかけて来て俺は椅子から立ち上がり、背を向けた。
「遠野君?」
俺は足を止めた。
「またゆっくりお話しましょう?」
「……」
俺はドアの外に出た。