「つまりお前は…」
「…貴方の想像の通りですよ…私は前線から外され、軍人としての階級が与えられた元艦娘です。」
「…もう戦えねぇって事か?」
「艤装が出せない訳じゃありません。でも上の許可が出ないですから。」
「艦娘は不足してる現状で身分を取り上げられた艦娘か……何やったんだ?」
「聞きたければあの方にどうぞ。これ以上は私の口からは言えません。」
「…この船には他に爺さんの部下が三人いるよな?そいつらも「それも私からは答えられません」チッ…つか、あんたそんなに悠長にしてて良いのかよ?連中が来るんだろ?」
「自分の部下を信じたらどうですか?」
「あ?」
「貴方の部下の艦娘はもう接敵している筈です。後は任せる他無いでしょう。」
「俺は何の指示も出してないがな。」
「……貴方に信用が無いからでしょうね。さて、ここにいても邪魔になります。部屋にお戻りを…何か動きがありましたらお伝えします。」
「チッ…」
俺は部屋に戻った。
「戻って来たか…全く…秘書艦を放置して行きおって…」
「……」
俺は床に寝かされている叢雲の傍に行くとしゃがみ込んだ。
……特に異常は無い。緩やかな呼吸音が聞こえる…眠っている様だ…
「爺さん…あんたの部下の事だが「気付きおったか」…何で艦娘が普通に軍人やってんだ?つか、艤装を出す事すら許されてねぇって聞いたんだけどよ…」
「聞いてどうするんじゃ?」
俺は立ち上がり、爺さんの方を向いた。
「…いや…言いたくねぇなら良い。」
「賢明じゃな。聞いても何も出来んし、貴様の立場が余計に悪くなるだけじゃ。」
「チッ…」
俺は座っている爺さんの向かいの椅子に座った。
「おい。」
「む…?」
「さっきの話だが…やるわ。」
「…麻雀かの?」
「あんたの部下がどれくらい打てるのか見たくなった。それに…どうせ他に何も出来る事ねぇかんな…」
「良かろう…」
爺さんが立ち上がり、部屋を出て行った。
「さて、赤城にはもう会ったんじゃったかのう?」
「ああ。」
「ふむ…ではこっちが「夕立っぽい!」これ、今儂が紹介しようとしとったじゃろう…全く。」
「…確か…駆逐艦白露型の4番艦…だったか?」
「…そうよ、宜しく。」
「…何か、さっきとテンション違わねぇか?」
「そうね…今はこっちが素よ。」
「あ?」
「艦娘は改装すると性格が変わる事があるんじゃ。」
「…成程な。確かにそれも資料に書いてあった覚えがある。」
「ま、自己紹介はこんな物で良いじゃろ。そろそろ始めるとするかのう「待って」どうしたんじゃ、夕立?」
「その子、放っておくの?」
そう言って床で眠る叢雲を指差す。
「お前が他人を気にするとは珍しいのう…」
「別にそんなんじゃない…」
夕立は椅子から立ち上がると上着を脱ぎ、叢雲の身体にかけるとこちらに戻って来て座った。
「…じゃ、始めましょうか。」
そう赤城が言ったのと同時に俺たちは一斉に机の上の麻雀牌に手を伸ばした。