「どうも。お待ちしておりました。」
「ああ…」
執務室に来てみれば既に赤城がいた…一応この部屋は俺がいない時には施錠する様にしているが…色々スキルを持つこいつに対して今更驚きは無いし、思うところも無い…他の艦娘はともかく、こいつに見られて困る重要書類なんて物も無い。
「…夜まで何をしてた?」
「叢雲さんと少し…色々と…お話を…」
「ふ~ん…」
俺は近くにある畳まれたパイプ椅子を出し座る。
「おや…内容に興味がおありでは?」
「ねぇよ…俺にそんなもんを期待しても無駄なのは知ってんだろ?」
「そうですか…フフフ…」
「……その反応を見て余計に聞きたくなくなったぜ。」
「あらあら…残念ですね…」
「良いから本題を先にしろ…何の用だ?」
「鍵はかけました?」
「ああ…盗聴器は?」
「既に回収済みですよ…」
そう言って執務机の引き出しを開けるとそこから小さ目な物体を置いて行く…
「…十五個か…どんどん増えて行きやがるな…」
「外部から来た艦娘の選別…ちゃんとしてます?」
「犯人は分かってるよ…その上で放置してんのさ。」
「あら?何故です?」
「…こういう事をして上に気に入られているのがあいつの存在意義だからさ。」
大体、こういう事に疎い俺が見つける時点で確実にあいつは向いていない…だが、わざわざ指摘して、糾弾してやるつもりも無い…実害も大して無いしな。
「それは優しさじゃありませんよ?」
「優しさでやらねぇよ。」
俺に優しさがあるならとっくにスパイからは足を洗わせているだろう…
「…ま、良いでしょう…それに…本当は今回に関しては聞かれてもあまり問題は有りませんからね…」
「何だ…本当に雑談のつもりで来たのか?」
「ええ。今回は休暇です。」
「…食えない奴だ。」
「貴方に言われたくありませんよ?」
「…間違えた、面倒な女だよ、お前は…」
「あら酷い…これは明日、叢雲さんに慰めて頂かないと。」
「あんまりあいつを揶揄うなよ?俺への愚痴が増える…」
「揶揄うとは人聞きの悪い…可愛い可愛い…Girls Talk…を、しているだけですよ?」
「…本当にお前の言う通りの内容ならああまで愚痴らねぇよあいつは…大体、Girlって歳か?お前?」
「綺麗な発音ですね…それはそうと…女性に歳の話をしてはいけないと教わりませんでした?」
「お前もな…つか今更怒ってる振りすんな、白々しい…」
「もう少し付き合ってくださいよ~…あの人はこういう話乗ってくれないんですから~…」
今日は叢雲には来ない様に言い含めてある…あいつは色々疑いを持っている様だが…実際、こいつとする話なんてこんな感じの腹の探り合いだ…色のある会話からは程遠い…
「爺さんが乗ってくれないからって俺で遊ぼうとするな…ところで…」
「何でしょう?」
「何でそんなに叢雲に構う?」
「……あの方に頼まれてるんですよ。見てて焦れったいから、二人の背中を押してこいと…とは言え、貴方に言ってもどうにもならないので…彼女を重点的に攻めようかと…」
「まだあんだろ…」
「後はそうですね…私個人の事になりますが…可愛いんですよ、あの子…口調こそああですが…何時までも純粋で…いじらしくて…本当に可愛い。」
「で…揶揄う、と…趣味悪ぃぞ。」
「だから…背中を押してるだけですよ…少し煽ったりぐらいはしますけど。」
「そこだろ、問題は…もう良い。本題に行こうぜ、雑談つってもこれが本命じゃねぇんだろ?」
「もう…貴方から振ったんじゃないですか…」
「嫌なら答えなきゃ良い話だ…で、何の話だ?」