修復された要人用の部屋では無く、普段俺の寝ている寝室に堂々と向かう赤城に溜め息を吐きつつ、酔い醒ましに夜風でも浴びようと執務室を出る…
外を出れば廊下の電気は最小限にしてあるものの、艦娘用の部屋からはまだ声が聞こえる…
あの頃仮に…と言う事で建てられた艦娘寮は人員が増えた事で既に手狭になり、無駄に部屋数だけはあったこの建物も修繕が進んだ事で、ここでそのまま生活する者が大半になった…その癖、俺は別に消灯時間などのルールを一々設けて無い為、こうして夜中でもそれなりに声が響く…
……しかし…今日のコレはさすがに五月蝿過ぎだな…
俺は一際声の響く、部屋の前に立つ…この時間もう寝てる奴もいる筈だ…柄では無いが、注意ぐらいはしておくか…俺はドアをノックした…
「はいなのです。」
「俺だ…」
「司令官さんなのですか?今開け「開けなくて良い…俺は注意しに来ただけだ…」え?」
「何を盛り上がってるのか知らねぇが、今は夜中だ…喋るなとは言わねぇが、もう少し声のボリュームを抑えろ。」
「はい…ごめんなさい…」
「じゃあな…」
俺は部屋のドアから離れ、また廊下を歩き出した…
タバコに火をつける…
「ふぅ…」
「あら?」
「あ?」
声が聞こえ、そちらを見てみれば…
「龍田じゃねぇか。」
「提督…」
「何してんだ?」
「ちょっと…眠れなくて…」
「お前がか?」
「そんなに不思議かしら?」
「天龍からお前は横になったらすぐ寝る、と聞いてるからな。」
「そう…私だってそう言う気分の時はあるわ。」
「……そうか、邪魔したな。」
あれから随分経つが、俺は未だにコイツが苦手だ…殺されかけたからではなく…コイツの場合…
「そう露骨に避けなくて良いでしょう?あの頃の話ならちゃんと謝ったじゃない?」
「……それが既に有り得ないんだがな…」
コイツは多くの艦娘が俺に不穏な疑いを持つ中、真っ先に俺に謝罪して来た…つまり…
「はっきり言ってやる…俺はお前を信用出来無い。」
「……」
爺さんと赤城が俺の正体を明かす前に…コイツは俺の正体に辿り着いていた…
「天龍の為なら手段を選ばない上、元々俺から見てお前は得体の知れない奴だ…信じる方がどうかしてる。」
「味方が多い方が良いとは思わない?」
「今更一人増えたって変わんねぇよ。」
「私たち、上手くやれると思うんだけどな?」
「お前に手を貸すくらいなら、赤城と組んだ方がよっぽどマシだ…」
「海軍トップの座はそんなに魅力的だったり?」
「チッ…聞いてやがったのか…」
「バッチリとね♪」
「……聞いてたなら分かんだろ?俺は受ける気はねぇよ…ただ、お前と組むよりは良いと思うがな…」
「あ~あ…嫌われちゃった…」
「ふん…」
俺は口から吐き捨てたタバコを踏み消し、中に戻る事にした…