「さて、何から聞きたい?」
あの後夜が遅い事もありクレアはリアスと軽く話してあっさり眠ってしまった。帰ろうとするリアスを引き留めお茶を入れるとそう切り出す。
「…え?」
「いや、え?じゃないだろう?そちらが事情を聞きたいと言うから急遽とはいえ、こうやって話す場を儲けたんだろう?」
「…いや、後日のつもりだったし、唐突だったから…でも、そうね…それなら貴女は何者なのか、から聞かせてもらいましょうかしら?貴女はどう見ても悪魔じゃないし、私の知るどの種族とも違うように見えたから…」
「…そこからか。まあ当然だな、では話を…ん?すまん、来客の様だ…ちょっと待っててくれ。」
リアスに断りを入れ、私はドアに向かった。
「…誰だ?」
「…私だ、夜遅くにすまない、そちらにリーアはいないかね?」
サーゼクスか。
「…ああ、いるぞ。私の事情を聞きたいと言うから取り敢えず上がってもらったんだ。…何なら今夜は止めて帰すが?」
「成程。そういう事なら構わない。…いや、私も同席していいかな?どうせなら君の事を知っている者がいた方が良いだろう?」
「…それもそうだな。なら、入ってくれ。」
私がそう言うとドアが開く。
「…久しぶりだね、テレサ」
「…そうだな。…最近忙しいのか?クレアがお前が会いに来ないと寂しがっていたぞ?」
「…それはすまない。クレアはどうしているかな?」
「今は眠っている。時間も遅いからな、今度はもう少し早くに来い。」
「…そうする事にするよ、…そもそも君がもう少しクレアと一緒にいるようにしたら良いんじゃないかな?」
「…先立つ物が無いと暮らしていけないからな「だから昼間の普通の仕事を紹介しただろう?」…サーゼクス、私は戦士だ。」
「…頑固だねぇ。」
「…テレサ?家族が出来たのですよ?少しは落ち着いたらどうですか?」
「グレイフィア、そう言われてもな、これが私の性なんだよ…。今日は説教は勘弁してくれ。リアスを待たせてる。」
二人を部屋に上げる…原作重要キャラがこんな狭い部屋に三人か…私は病気とは無縁の筈のクレイモアの身体なのに胃が痛くなって来たような気がした…。
二人が部屋に来て目に見えて慌てるリアスを宥め話を始める…
「…異世界人?」
「…私を人に数えて良いのかは知らんが、そうだ。私はこことは違う世界から来た。」
転生者と言うと話がややこしくなるので私はクレイモア原作をベースに話をする…世界観についてはともかく、テレサ本人の身の上話は原作でも詳しい描写が無いから創作も混じるが…
「…貴女と同じ人は他にいないの?」
「…それは私から答えよう。彼女に会った後、人間界も冥界も調査したが今の所彼女と同じ種族の者は発見されていない…天界は分からないが、多分いないだろう…幸い、彼女の言う妖魔も未発見だ。」
「…とまぁ、私自身が希少な種族という事もあるのと、そもそも自分で言うのも何だが私自身の戦闘力が他と隔絶しているせいもあり、当初かなり狙われたのだよ。…今はこうして悪魔側の庇護を受けているがね…」
「でも貴女、悪魔には転生してないのね…」
「その意味が無いからな。」
「どうして?」
「リーア、彼女は元々不老不死だ。…実は彼女と出会ってもう十年以上経つが、彼女の見た目はあの頃と変わっていない。」
「……」
「そういう事だ。…この身体は戦うのに非常に都合が良いんだよ。…と言うか、本当は私は特定勢力に余り肩入れしたくなくてね…元々はフリーだったくらいだからな。」
「なら、何でこっちに?」
「…クレアに会ったからだよ。彼女はクレアを引き取ると決めたものの何も後ろ盾は無かった…」
「それまでの私は衣食住にあまりこだわる必要が無かったのだよ…極端に丈夫な身体、傷の治りも早い。食事もほとんど必要無い。精神も戦闘に特化しているからほぼストレスも感じないから娯楽も要らない…これは凄いことなんだがな、私と同じようにクレイモアになった連中の多くは精神が破綻しているからな…。」
そう言って自嘲の笑みを浮かべる…そもそも志願者の多くは家族を食われた復讐のためその捕食者の血肉を身体に入れた者たちだ。歪じゃないわけが無い。…そうでない者は親に売られたり、攫われた連中だ。どちらにしろ狂って当たり前だ。
「…私が当初彼女に会った時、彼女はとても危なっかしくてね…何度も嗜めたんだが聞かなかった…。」
「昔の事だろう?そもそも私は致命傷じゃなければ死なんからな。」
「…とまぁ…何度言っても聞かなくてね、だから驚いたよ、家族が出来たから後見人になってくれないかと言われた時は。」
「私は戸籍すらないからな…クレアを育てるならどうしても後ろ盾が必要だった…。その点…サーゼクスなら何とか出来ると思ったのさ。」
「…嬉しかったよ…私を頼ってくれるのが。純粋に友人として、ね。」
「こんな得体の知れない奴を友人呼びだからな、本当にお前の兄は変わり者だよ…。」
感謝はしている…もちろん口に出すつもりは無いが。
「素直じゃないんですね。」
「うるさいぞ、グレイフィア。」
クスクス声を上げて笑う女にジト目を送る…こいつ変わりすぎじゃないか?最初の頃は私を物凄く警戒していた癖に。
「さて、長くなったが分かったかな?」
「…ええ。良く分かったわ…」
「…まぁまだ話があるなら携帯に「おや?その必要は無いだろう?」…サーゼクス、黙ってろ。」
余計な事を言おうとするサーゼクスを制する…これ以上私は原作に関わりたくないんだが…
「…君は普段は駒王学園で用務員をしているじゃないか。」
「え!?」
あーあ…せっかく気づいてなかったのに。
「…そうだ。私はお前の通う駒王学園で働いている。…ちなみにソーナ・シトリーだったか?確か生徒会長の…お前と友人と聞いたが?」
「ええ。そうだけど…まさか…!」
「…あいつは私の事を知っているぞ?そもそもあいつの姉とも私は長い付き合いだしな…何だ、聞いてなかったのか?」
私は笑みを浮かべる。困惑しているな?小娘を揶揄うのもなかなか楽しいじゃないか。
「…相変わらずその性格の悪さは変わらないね。改めないとクレアに悪い影響が出るかも知れないよ?」
「…問題無い。あいつは私に似ずとても良い子だ。」
「…反面教師振ってないでもうちょっと考えたまえ。君は奔放過ぎるよ…とにかくはぐれ悪魔狩りは少し控えたまえ。そもそも君がやり過ぎるからリーアの琴線に触れたんだろう?…用務員の仕事で君ら二人が十分に生きていける分を渡している筈だ。」
…痛い所を付いてくるな…
「…そう言うな。人生は楽しんでなんぼなのだろう?」
「…君からそんな言葉が聞けるとはね…だが、敢えて強く言わせてもらおう…クレアの事を考えるなら戦いは出来るだけ控えなきゃならない…それは君も分かっているだろう?」
「分かっているさ。…だが戦いを求めるのは戦士としての本能だ。例え将来的に全てが破綻するとしてもな。」
「ねぇ?それどういう意味?」
「……」
私は口を噤む。これに関しては早々口には…
「…リーア、彼女たちクレイモアは妖力…我々で言う魔力を解放してその力を上げて戦う事があるそうなんだが…力を解放し過ぎると暴走し覚醒者という妖魔と同じく人を食らう化け物になるそうなんだ。」
「何ですって!?」
サーゼクス、何故言うんだ…
「……どういうつもりだ。」
「何れ言うつもりだろう?なら、良いだろう。…そして彼女は私に頼んでいる…もし、自分が化け物になったら自分を殺してくれとね。」
「そんな!?そしたらクレアは…」
「…なあ、リアス?私たちクレイモアは何れ覚醒者になる…その際に私たちは親しい同僚に自分を殺してくれと頼む風習があるんだよ。私にとって、サーゼクスが一番の友人なのさ。」
「…本当にその友情の示し方は嬉しくないよ。頼むからそんな事を言わないでくれ。…私は君を殺したくない。クレアの為にもね。」
「今は大丈夫さ。私はこの世界に来てから妖力の解放をしていない。」
「そういう問題じゃない。手遅れになってからじゃ困るんだ。出来るだけ戦いは控えてくれ。」
「…分かった分かった。肝に銘じる…と、もうこんな時間か。そろそろお開きにしようか。」
「ではリーア帰ろうか。」
「…はい。」
「リアス、お前は何も気にしなくていい。そう簡単に私も人を辞める気は無いさ…さて、改めて話があるなら学校で話そう…これでも人生経験は豊富でね、進路の事でも、眷属の事でも何でも相談に来るといい…」
「…うん。」
私は三人を見送った…。