東方幻想最速伝説   作:白狐のイナリュウ

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白色のマスタングの正体は妖夢だった。
魔理沙と妖夢勝負が始まる


Act,11 VS V8

魔理沙「…妖夢のやつ後追いを選びやがった…。」

2台が一斉にスタートすると、妖夢は魔理沙のFDに合わせ後ろに着いた。

そう、FDを追いかけ回すつもりでいたのだ。それに妖夢の車は魔理沙のFDよりかなりパワーがあり、トルクもある上上りでも下りでも有利なスーパーチャージャーを付けている。ここまで凄みを帯びたマスタングは妖夢の車しかありえない。さらにコーナーでは、スタビライザーなども信じられない仕様な為コーナーを攻める時はいつも角度90度気味で突っ込むことが出来る。それだけでも妖夢に勝機があると思われた。

魔理沙「ちっ…やっぱり序盤は離れて行かねぇか…そりゃそうだよなあんなにパワーあるんじゃ抜かれるのも時間の問題だぜ。」

妖夢「そう簡単には逃がさないよ、言っとくけど馬力は魔理沙の馬力に抑えておいたけど上りでもグイグイ回っていくこのマスタングには"逃げられない"んだから。」

妖夢「"自然吸気エンジン"というのを逆手にとって、この"HEIMI"の回る回転数…"V8"でしか得られないこの加速力上りでもこんなに速く走れる"心臓"をこの子は持ってる。」

妖夢「FDはロータリーエンジンにターボ車…でもね格というのが違うのよ。」

妖夢「FDなんかただの"おもちゃ"よ、そんな"おもちゃ"が私に通用するとでも?」

妖夢「ヒルクライムは"パワー"だよ!」

魔理沙「…はえー、やべぇないくらコーナーで逃げても向こうは妖夢のマスタングだ…そう簡単に逃がしてくれないのはわかってるけどストレートだけ踏もうって作戦だな?」

魔理沙「コーナーでは、私のFDに追いつけないと判断してストレートではめいいっぱい踏む…確かに正しい選択かもしれねぇけど。」

魔理沙「私はそう甘くはないぜ?」

魔理沙はギアを入れ替え妖夢を追っていく、しかしパワーの違いに魔理沙のFDは置いてかれる。コーナーで差がつまり、ストレートでは差が広がり。それを繰り返した末、魔理沙はあと残りのコーナーの数が15個くらいになったあたりで抜きにかかった。

だが、妖夢がブロック。コーナーでは抜かさない作戦で行き勝とうという汚い戦い方だ。しかし、ストレートの世界ではなんでもありのタイマン勝負。勝てなかった奴が負けなのだと妖夢の中で思いつつあった。

妖夢が最後のコーナーに入ると、魔理沙はリアバンパーをこつき妖夢のドリフトの体勢を崩した。その瞬間妖夢のマスタングがよろめいた。

妖夢「ッ―!」

魔理沙「アクセル踏むんだったら、"馬鹿"でも出来るぜ…お前の弱点見切ったぜ!」

妖夢「まさか…この姿勢崩しを利用して!?」

魔理沙「妖夢のマスタングは、コーナーに入る時綺麗に入るしカウンターも綺麗だけど…1度ストレートになると姿勢直しにいつもふらつくんだ。」

魔理沙「それが癖なのか…ビックパワーを扱う上でホイールスピンしすぎてふらついてしまうのか…それは今の私には理解出来ねぇけど、コーナー出口で体勢を立て直した瞬間…妖夢のマスタングはよくふらつくそれがお前の弱点だぜ!」

妖夢「クッ―、まだ…終わらない、コーナーを抜ければストレートに入りゴールするそこを利用すれば私の勝ちは確定的…そんな"おもちゃごとき"に負けるわけには行かない!」

と言い、妖夢はアクセルをめいいっぱい踏む。魔理沙は勝ちを確信したが。妖夢の強烈なサイドバイサイドで抜かれてしまったのだが。

魔理沙「バカ、突っ込みすぎだ!!」

妖夢「マズッ―!」

妖夢が立て直す時にはもう遅かった。妖夢がスピンすると、魔理沙は隙間を見つけ全力で妖夢がスピンしている間を抜けた。

しかし、踏みすぎたせいかオーバースピードでガードレールに突っ込みそうになる。ガードレールが左サイドに当たりそうになる。

だが、俊敏なアクセルワークですっ飛んで行きそうなFDを立て直した。

妖夢が体勢を立て直した時には魔理沙のFDは遥か向こうへと向かっていた。そして魔理沙のFDが先にゴールし妖夢のマスタングは遅れるようにゴールした。

その瞬間ゴールにいたギャラリー達はざわめき始め、V8エンジンを載せたアメ車がFDごときに負けたと直ぐにスタート地点にいたギャラリー達にも伝わった。

大神「魔理沙が勝ったか…結果パワーに頼ってばっかりだと成長しない…腕が大事だと思うバトルだったな。」

霊夢「妖夢に勝つなんてね…きっとアメ車に乗ってるヤツらメンツ丸潰れね。」

大神「別にV8を撲滅したいからここに来たわけじゃない…V8が好きならそれに乗ればいい、好きな物に乗り自分の乗りたいように乗る。」

大神「今回の勝負はV8を撲滅したいがゆえバトルしたように思えるが…ただ魔理沙は純粋に速い走り屋を求めここに来ただけだ。」

霊夢「まぁ、魔理沙が満足すればそれでいいのねあなたは。」

大神「霊夢もそうだろう…俺はただ勝負の結果を見に来ただけだからな。」

霊夢「貴方らしいわね…。」

大神「さて、次は霊夢だ下りならお前の専売特許だガツンとお見舞いしてやれ。」

霊夢達が妖夢とバトルする前、南はミスティアの店に行きヤツメウナギを食べていた。だがいつもの南はヤツメウナギではなく焼き鳥を頼むことが多くヤツメウナギを食べるのは非常に珍しい。それに酒ではなく烏龍茶を飲んでいた。そう南は誰かを待っていたのだ。1人の人物、幻想郷の管理人の1人八雲 紫(やくもゆかり)を待っていたのだ。

ミスティアの店はコンビニ程の広さがあり、駐車場も広々と使えるように改装されてあった。しかし、走り屋達が走る時間帯はミスティアの仕事が少ない。南はその時間を測ってよくミスティアの店に行く。今回は紫を誘ったのは他でもなかった。紫はミスティアの店に止まっていたWRC仕様の22Bインプレッサの隣に車を止めた。

紫が車から降りると、ミスティアの店に入り南が座っているカウンター席の方へ行き南の隣に座った。

紫「あら、珍しいわね…あなたがヤツメウナギを食べているなんて。」

南「たまにはね、私も肉以外のもの食べたいもの。」

南「まぁ、紫も紫よね…あなたがA20GT(セリカ)に乗ってくるなんてね、それも1600のやつ。」

紫「外の世界で放置されてたセリカをにとりに頼んでレストアしてもらった1台よ、流石に2T-GはブローしてたからS型にスワップしたんだけどね。」

南「S型か…S20?」

紫「S20のイグニッション仕様。」

南「渋いわね。」

紫「それよりも、霊夢のロードスターのパワーアップについてかしら?」

南「ええ、大神のやつ…もしかしたらブローさせる気でいるはず…。」

紫「ブローって、2ローターエンジンを?」

南「そうよ、1度レミィにお願いしたのだけれど大神が持ってるエンジンを管理している倉庫に資料を取りに行かせたのよ。」

紫「"あの頃"ね…貴方も悪質なことするのね…。」

南「大神に言ってもなかなか渡してくれなくてね、それで調べた結果こんなものが出てきたのよ。」

南が取り出してきたのは1枚のA4サイズ程の紙だった。そこにはエンジンの製造番号や型式など詳しい事が書いてあり。エンジンはどの車に積んであったかなどなかなか細かく書いてあった。

紫「これ13BMSPって…RX-8のエンジン?」

南「そうよ、でも13Bって書いてある隣を見て…これ中古品なのよそれもかなり使い込まれたエンジンでこれ以上の改良を加えると不可に耐えられなくなっているため、大神が積んだエンジンは寿命だったエンジンを積んでいることになるの。」

南「それとこのあと2枚霊夢用って書いてあるやつ。」

紫「…20Bと26Bって…3ローターと4ローターエンジンってことよね、大神は一体何を考えているの?」

南「それは私も知りたいところだけど…きっと大神はとんでもない"バケモノ"を作る気でいるのよ…。」

紫「…そろそろ霊夢が走る時間よ…それにしても、大神の考えていることはよくわからないわ。」

とその時、スタートする寸前になって幽々子が現れ妖夢にこういった。

幽々子「妖夢、"シュミレーション3"で行きなさい。」

妖夢「気は確かですか幽々子様、ロードスター相手に"シュミレーション3"を!?」

幽々子「私には何かわかるのよ、電気みたいのが走ったわ…もしかすると彼女相当やばいかもしれないわ…。」

大神「カウント始めても?」

幽々子「カウントやらなくて結構よ、その代わり私達のルールでやらせてもらうわ…ここに来たからにはルールに従ってもらわないとね。」

大神「それで?」

幽々子「馬力の低い車が好きなタイミングでスタートし、馬力の高いものはその馬力の低い車より後にスタートする。」

幽々子「これを私達はハンディーキャップ方式って呼んでるの、どう当然やるわよね?」

大神「…乗った、霊夢の好きなタイミングで出れるんだな?」

幽々子「そのロードスターの馬力が低ければね。」

霊夢「それじゃ私から…。」

といい霊夢はギアを1速に入れ真っ先にスタートした。妖夢も後を遅れる形でスタートした。当然多少差ができるが、妖夢のマスタングはかなりパワーがある車。霊夢が追いつかれるのも時間の問題だった。

いくつかコーナーを霊夢が抜けると妖夢のマスタングがすぐ後ろにいた。

ストレートでは妖夢のマスタングが有利、霊夢のロードスターは妖夢のマスタングにもてあそばれていた。

妖夢「幽々子様は基本、3つのシュミレーションを用意し考えている…シュミレーション1は余裕勝ちできそうな時に先行しぶっちぎりで行く場合と少し慎重にいくシュミレーション2がある、その中で相手が最も強い場合後追いを選ばなければならない"シュミレーション3"。」

妖夢「私にはわかりません幽々子様、何故"非力なおもちゃ"相手にシュミレーション3なんでしょうか…。」

ロードスターはマスタングより馬力が低くトルクもあるがストレートが速い訳では無い、なので妖夢のマスタングは張り付いてしまった場合はアクセルを少しづつ離さなければならない。そんな中妖夢のフラストレーションは溜まりに溜まっていく。

妖夢「ッ―、流石にこう遅いとちょくちょく離さないとぶつかりそうになる…油断はできない相手だけど、いくらなんでも無茶苦茶…流石にフラストレーションが溜まっていくわ。」

妖夢「コーナーではちょっと置いてかれるけど立ち上がりでは勝てないわけじゃないからいいけど…流石にこうもずっと後ろにいるのも尺ね…幽々子様ならどこから抜くか、だいたい相手の手の内はわかってきた。」

妖夢「…幽々子様お許しを!」

妖夢「しかし、私は勝ちますこんな"非力なおもちゃ"なんかに負けやしません!」

と言うと妖夢はアクセルを全開にし霊夢のロードスターをパス。オーバーテイクしていくとジェット機のように加速をやめない。

霊夢(はや〜…。)

妖夢「どうよ、霊夢…でもここからよ、ここからマスタングの全開走カマしてロードスターをぶっちぎってあげるわ。」

妖夢「貴方の不敗神話も今日でここまでよ。」

と言うとマスタングは素早い速度でコーナーをクリアしストレートではありえない加速をして行った。その場面はまるで海外で有名なモンスターと呼ばれたドリフト動画のようだ。

ロードスターもあとから遅れて来たが必死なのか、いつもよりスピードをあまり落とさずコーナーに侵入した。

しかし、少し差が詰まってもそれでも差は縮まらない。

霊夢「"速い"、やっぱり速いわ!」

霊夢「なんて速い"車"なの…。」

妖夢のマスタングはまだ加速をやめない、もはや勝負は明白。妖夢のマスタングはパワーでは、かなりなもの勝負ならないそう思わせるほどだ。しかし、それはもう"前の話"となってしまった。

妖夢「もう流石にここまで来れば―。」

そう、霊夢のロードスターはマスタングの真後ろにピッタリ張り付いていた。今までマスタングが勝負の分かれ目を左右していたのだが、それも崩れロードスターが勝つかマスタングが勝つか分からないものになった。

妖夢「なっ…離れるどころか張り付いている…そんな馬鹿な!」

そう妖夢のマスタングのアクセルは全開だ、しかし下りでここまで走るとなると相当な技術を持たなければならない。霊夢のテクは神の手に等しかった。だが、妖夢のマスタングも負けてはいない。

ストレートで一気に離す、ストレートでは妖夢のマスタングが有利なのだ。しかし、コーナーに入ると妖夢のマスタングは一気に遅くなっていく。妖夢それに気がついた。

妖夢「…わかった…わかりましたよ幽々子様、何故ムカムカしてしまうのか…ロードスターの後ろについてアクセルを全開で踏めないフラストレーションなんかじゃない…本当は薄々気がついていたんだ…私の方が"コーナーでわずかに遅い"って事だと!」

妖夢「流石にここまでロードスターが走ると思わなかった…ディープね、ダウンヒルってやつは…ここまでロードスターが走るとなると逆に気味悪いわ。」

妖夢「とにかくグリップで稼げばこっちのものよ、前に出ている以上霊夢の負けは"確定的"なのよ!」

妖夢も全開で踏んでいたものの、さらなる本気をここではあまり見していない。タイヤのグリップを考えてのものだ。しかし、もうそれも必要ない、勝つ為には余していた余力を全て使う妖夢は思った。勝負に勝ったものが勝者と。次々とコーナーをクリアし麓まであともう少し。妖夢は必死に逃げ、ロードスターを振り切ったそう思っていた。

妖夢「勝った、もうこの先はない!」

妖夢「なっ…!?」

ロードスターが横っ腹をさしていた、霊夢が抜きにかかった。オーバーテイクすると妖夢は驚きを隠せなかった。最後のコーナーに差し掛かる。

妖夢「インに付かれた…!?」

妖夢「なんなの、ただの非力な自然吸気エンジンの"おもちゃ"なクセしてその速さはなんなの!?」

妖夢は抜かれ、霊夢は勝った。妖夢はしばらく驚きを隠せなかった。わかっていたのに相手の走りや手の内を理解していたのに抜かれてしまったのだ。しかし、何故どうやって追いついたのか。それは少し溯る必要がある。

妖夢が本気になった時。

霊夢(やるか"溝落とし"…。)

霊夢は右輪だけ溝に落としドリフトでクリアして行った。だが、妖夢のマスタングはまだ加速をやめず逃げられてしまう。

霊夢「ダメか、直ぐにコーナーで追いついても立ち上がりで置いてかれる…やるか…溝落としパート2、立ち上がり重視のコーナーで。」

霊夢は今度は左輪だけ溝落としドリフトでクリアしていく、しかし先程やった溝落としと違いコーナーで立ち上がる。そして、妖夢に追いつきスリップで妖夢のマスタングを抜いたのだ。

幽々子はあまり納得がいかなかったが、今度は幽々子の"車"勝負すればいい話だと楽観的に考えた。

ミスティアの店では、南と紫がなんとも言えない状態になっていた。

南「どう、霊夢の走りは。」

紫「ぶっ飛んだわね…ここまで速くなるなんて思わなかったわ。」

南「でしょ、このままだとロードスターのエンジンも寿命が来るのも時間の問題ね。」

紫「そうでしょうね…あんな走りしてれば…エンジンにかなりの負荷がかかってるはずだから、相当よね。」

南(大神…貴方は一体何を考えているの?)

南は大神に大して疑問に思う点が多い。大神は一体何をしようと言うのか、また幽々子の車は一体どんな車に乗っているのか。




皆様お久しぶりです。長らくお待たせしました。ほぼ台本形式ですが…。最近教習所通い始めました、合宿は流石に出来ませんでしたが。MTですが頑張って受けてきます。
なかなかネタが浮かばずに数ヶ月ほど放置してしまって申し訳ありませんでした。私も出来る限り素早く投稿できるよう心がけていきたいと思っております。これからも私のこの小説をよろしくお願いします。

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