東方幻想最速伝説   作:白狐のイナリュウ

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終わりを告げる音が近づいていく、霊夢のロードスターはどうなってしまうのか。霊夢の怒涛の走り、幽々子の車は一体。


Act,12 終わりを告げる音

妖夢達の勝負が終わったあと、大神は真っ先に自分の店に戻り霊夢のロードスターのエンジンを見た。大神はやはり、目の色を変えエンジンのアイドリングを見ていた。

???「大神はん、なんか企んでるやろ。」

と呼ばれガレージの外の方へと振り向くとそこには潮風 鴉(しおかぜ からす)がいた。

大神「鴉、最近ランエボⅦ RSの調子はどうだ?」

鴉「ええで、それよりも南はん心配してましたで大神は何考えてるかわからんて。」

大神「時期にわかるさ、それに忘れてると思うけど霊夢は"負ける事"が必要なんだ"バトルに負ける事"がな。」

鴉「南はんはその意味がわかっとらんみたいですけど?」

大神「そのままの意味さ、エンジンをどんなに整備してもこいつは寿命さだから最後の最後まで走らせ、エンジンの本当の限界点まで引き出してそれでも勝てない思いをさせる。」

大神「そうすればエンジンの本当の有難みがわかるんだ、だからしばらくはエンジンを載せ替えたりしないようにしてたんだ。」

鴉「なんだか、霊夢はんが可哀想になってきますな…。」

大神「これは仕方ない事なんだ、南に伝えといてくれ…霊夢に必要なことなんだと。」

鴉「わかりました、大神はん…南はんのことも気にかけてください。」

大神「…。」

と言うと、鴉は大神の伝言を受け取りどこかへ行ってしまった。とにかく大神はロードスターを出来る限り整備して行った。

一方魔理沙はと言うと、ようやくドリフトができるようになったアリスに呼ばれ冥界の連絡道路になる峠に向かった。

アリス「なんだか、ここ凄いワインディングロードね…。」

魔理沙「そうか、私には走りがいがある所だと思うけどな?」

アリス「貴方はFDに走り慣れてるからいいわよね…私なんかまだE92乗りなれてないのよ?」

魔理沙「練習だぜ練習、練習していけばそのうちこのコースにもなれるって。」

アリス「そうかしら、そういえばここの峠ってV8、V10のアメ車以外邪道って所じゃなかったっけ?」

魔理沙「V8ならお前のM3なら大丈夫だろ?」

アリス「そうだけど、ここはアメ車限定よ?」

魔理沙「大丈夫だろ、だってV8なら何したって―。」

と走っていると、何か道路に不自然に流れている水を見かけた。

しかし、その水は透明ではなく黒く濁っていた。そうそれがオイルだと言うのを魔理沙達は気が付かなかった。

魔理沙(お、オイル!?)

魔理沙「止まれ、アリスその先オイルが流れている!」

アリス「え!?」

アリス「ダメ、止まれない!!」

魔理沙が気がついた時にはもう遅かった、オイルを完全に踏んでしまいブレーキをかけたがスピン。アリスが車の軌道を読みハンドルを左右に曲げるが止まれずにガードレールに接触、それでも止まらないM3は木にぶつかりフロントバンパーは完全にぐちゃぐちゃになってしまいフロントガラスは粉々に吹き飛んだ。ボンネットも勢いがついていたのかへの字に曲がっており凄い衝撃だったことを物語っていた。

アリスと魔理沙は幸い意識はあるがアリスは重症だった。しかし、ロールケージとバケットシートのおかげでアリスは残機を失わずに済んだ。

魔理沙は軽傷だった為、直ぐに永琳の病院に電話した。電話を済ませると道路の方へと向かい、道路状況を確認した。すると、道路には大量のオイルが流れており、対向車線と普通車線にベッタリとオイルがあった。魔理沙は怒りを覚えたが、あとから脳に深い痛みがやって来て魔理沙はその場から倒れてしまった。

その時大神は、霊夢のロードスターを仕上げてロードスターの様子を確認していた。そして、永琳から電話が入る。

大神「もしもし、"ライトニングデビルズ"―…ってどうした永琳、まだ"例のパーツ"は届いてないぞ?」

永琳『そんな事じゃないのよ、魔理沙とアリスが事故ったのよ早く来て頂戴!』

大神「何!?」

と言うと直ぐに大神は自分のR35を走らせ霊夢の神社へと向かった。神社に着くと、直ぐに霊夢に事情を話し直ぐに病院に向かった。

霊夢「魔理沙の病室は何処!?」

大神「少し落ち着け霊夢、病室は何処にある?」

優曇華「魔理沙さんの病室は107号室です、アリスさんもご一緒です。」

大神「ありがとう、って霊夢!?」

霊夢は必死に走り1階にある107号室に向かった。そこには包帯を巻いて横になっていた魔理沙と看病しているパチュリーがそこにいた。

霊夢「魔理沙!!」

パチュリー「声が大きいわよ、霊夢…。」

霊夢「そんな事はどうだっていいのよ!」

大神「いたいた、少し落ち着けよ霊夢…気持ちはわかるからさ。」

大神「怪我の方は大丈夫なのか?」

魔理沙「脳しんとうを起こしてたらしく、もう大丈夫らしいけどしばらくは検査があるって言われた…足の方は捻挫と打撲だけだ。」

魔理沙「腕はただの打ち身だったから良かったけどよ…。」

大神「アリスの方は?」

魔理沙「意識が戻らないらしい、強く頭を打ったらしい…でもしばらくすれば目を覚ますだろうって言われた…足は酷い骨折で、事故の衝撃でブレーキを強く踏んでたからそのせいだろうけどな…片腕はただの捻挫らしいが。」

パチュリー「とにかく2人が無事でよかったわ、特に魔理沙が死ななくてよかった…。」

霊夢「…そうね…ちょっと心配して損した。」

魔理沙「おい、損すんなよ。」

大神「それにしても、アリス達が事故するなんてよっぽどだな…アリスは人形使いだから器用に車動かしてたのにな。」

魔理沙「実は、私達…冥界の連絡道路用の峠に行ったんだ…そしたら誰かが道路に大量のオイルをぶちまけやがったんだ!」

大神「お、オイルだって!?」

魔理沙「ふざけた話だよな、有り得ねぇ話だろ!?」

魔理沙「いたっ…。」

パチュリー「魔理沙、冷静でいないと…。」

大神「…でも誰がやったかわからない今、キレても仕方ない…。」

パチュリー「それに、ひょっとしたら整備不良とかでオイルが出ちゃったとかじゃないのかしら?」

大神「いやそれはありえない、オイルが大量に漏れ出てるってことはエンジンも止まるはずなんだ、オイルなしじゃどうしよも出来ないからな。」

大神「しかし…一体誰がこんな…。」

すると、霊夢は病院のドアを強く叩き病院を出た。大神はもしやと思い霊夢を追いかけた時には霊夢は行方をくらましていた。

大神「クソっ、霊夢の馬鹿!」

霊夢は急いで大神の店に向かいすぐ様ロードスターに乗って行った。

霊夢の怒りは頂点にたしっていた、もはや誰も止めることが出来ない"怒りの暴走"。勿論霊夢が行先はたったひとつしかない。

"冥界"だ。

冥界に着くとそこには幽々子が居た、妖夢も一緒にいたが何か雰囲気が違かった。だがそんな霊夢にはお構い無し、霊夢は真っ先に勝負に挑んだ。

幽々子「あら、霊夢じゃない…それにロードスター仕上がったばっかりじゃないのかしら?」

霊夢「そんなのどうでもいいわ!」

幽々子「!?」

幽々子「何をそんなに怒っているのかしら、私が何かしたかしら?」

霊夢「しらばっくれないで、道路に流れてたオイル…あれあんた達がやったんでしょ!?」

幽々子「え?」

妖夢(この間あったオイルの事ですね、あれは信者達が腹いせにとやったイタズラ行為です。)

幽々子(あの事ね…後できつく行っておかないと…。)

幽々子「…ふふ、悪いけれど私はそんな卑怯なことしないわよ…道路にオイルを流してなんになるの?」

幽々子「それに、上ってくる車や下ってくる車に大迷惑だと思わないかしら?」

霊夢「その迷惑が、魔理沙達を大事故に追いやったのよ!」

幽々子「魔理沙が事故を起こしたの?」

霊夢「そうよ、アリスの車で止まりきれずに正面衝突だったのよ!?」

幽々子「それはお気の毒に…そんなことが…。」

霊夢「それにいかにもあんたがやりそうな手口じゃない、しらばくれるのもいい加減して!」

幽々子(飛んだとばっちりね…あの犯人私じゃないけれど…仕方ないわ。)

幽々子「私のせいじゃないと言っても信じないと思うし…私の"マスタング"と勝負しようじゃない?」

霊夢「その為に来たのよ…。」

幽々子「いいわ、私の旧式マスタング…"エレノア"がどれだけ速いかそれを証明してあげるわ!」

幽々子「そして解らせてあげる、私が犯人じゃ無いってことを。」

そして、幽々子の旧型マスタングとロードスターが2台に並んだ。カウントは始めず妖夢とバトルした時の通り、ハンデキャップ方式でスタートだ。

霊夢が先に飛び出す、それに合わせ幽々子のマスタングも飛び出して行った。当然少し離されるが、幽々子のマスタングもなかなかパワーがあるそう思っていた矢先にもう後ろに付いていたのだ。

幽々子のマスタングは妖夢のマスタングよりかなり馬力があり、1000馬力以上もあるのだこれでは全く勝負にならない。それに霊夢にとってはとても不利な先行だ。

霊夢「ッ―!」

幽々子「ほ〜、なかなかやるわね霊夢も…噂で聞いていたけれど"キレればキレるほど速い"らしいけれど、それが見て取れるわ…ガードレールをギリギリで攻めて完璧とも言える四輪ドリフト…流石ね。」

霊夢は必死に幽々子のマスタングから逃げるが、逃げるどころかコーナーも速いせいなのか追いつかれてしまう。

霊夢「速い…しかも何かと視線がやばい…"弾幕勝負"なら勝てるけど…車の競争になると幽々子は別人に変わる、まるで"ハンター"ね…私が狙われている獲物みたいじゃない…。」

霊夢「それにコーナーやストレートでも普通に追いつかれる…これじゃ逃げきれない…。」

一方中間のS字コーナー、そこには潮風姉妹がそこにいた。

桜「大神さんの指示で冥界に来たのはいいけど…頂上まで行かなくてもよかったの?」

鴉「大丈夫や、それに私達は"それを見る義務がある"…今から止めに行ったってもう遅いんやここで黙って見とくべきなんや。」

桜「でも、今の霊夢さんのロードスターのエンジンを考えればこの状況…とても不利なんじゃないの?」

鴉「せやで、いくらコーナーで差を開いてもストレートがこのコースにはある…どう攻めてもマスタング相手じゃとても不利や、これじゃ埒があかん…でも、大神はんがそれを選んで"最後のひと絞りが出来るようなエンジン"にしよったんだ…不利でも勝負するのが走り屋なんや…私らはちょっとしたチューナー壊して壊してプロになっていくんや…。」

桜「それだったら、私はまだ半人前だよ…。」

鴉「ん、来たで?」

2台ともやってきた瞬間、幽々子のマスタングはアウトに行った。グリップ勝負でサイドバイサイドをするマスタング左コーナーに入った瞬間、霊夢のロードスターの負けが確定した。

桜(覆い被さるようにマスタングが前に出ていく…まずい…ロードスターがやられる!)

そしてロードスターが抜かれてしまう、だが霊夢も負けてはいない。必死にマスタングを追うがここであることに気づく。

幽々子「ここからがエンジン全開、一瞬のうちにケリがつくわ…見せてあげるわ"西行寺幽々子流"のホンモノの勝利の方程式を!」

幽々子がブレーキングでコーナーに侵入その時、幽々子の走りが変わりドリフトの全開走に変わった。

霊夢「走りが…変わった…!?」

そしてコーナーで置いてかれる霊夢のロードスター、ここまで来ると霊夢の車ももはや限界。

霊夢「1つコーナーが抜ける度に差が開く…追ってもおっても逃げられる…これが"パワーの差"ってやつなのかしら…。」

霊夢「ダメ…ストレートで離される…勝てないの…どうしても…?」

突然。

ロードスターのエンジンが爆発した、ボンネットから大量の煙が吹き何とか制御不能になったロードスターを立て直そうとする。しかし、エンジンは無理に回ろうとする、とにかく霊夢は必死に車を止めるべくクラッチとブレーキを踏み続けた。タイヤがロックする。そしてロードスターは後ろへと反転、たまたま空いていた砂利道があったためそこに避けたが。それが仇となった。タイヤがロックしている中砂利道に入れば当然滑っていく。霊夢は必死にそのロードスターを止めようとしても止まらず。このまま事故る運命だと感じた。

だが奇跡が起きた。ガードレールギリギリの所で霊夢のロードスターは止まった。しかし、オイルが下に漏れ出てボンネットからは大量の煙。ボンネットからフロントサイドフェンダーに漏れ出たオイルがロードスターのエンジンが"終わりを告げたのだ"。

制御ができない中エンジンが終わりを告げていく音、霊夢はハッキリと聞いていた。エンジンにどれだけ無理をしていたのか、それを思うと辛い気持ちになった。ボンネットを開けてみるとさらに煙が出てきた。

いくらエンジンをかけても動かない、いくらクラッチを繋げてアクセルを踏んでも動かない。サイドブレーキを下ろしても、1足にしてもバックギヤにしてもロードスターは一向に動かない。動く気配どころかエンジンすらかからない、後に残るのはロードスターという抜け殻だけ。負け無しと呼ばれたロードスターが敗北に終わる。すると幽々子が戻ってくると霊夢は窓を開けた。そして幽々子はこう言い出した。

幽々子「…エンジンブローね、気の毒だけれどその車はもう動かないわ…いくらパワーがあっても日本車…気を悪くしないで欲しいけどその車はもう寿命よ、良ければパワーがある車に乗り換えるべきね。」

幽々子「言っておくけど、エンジンブローは負けなのよ?」

霊夢「…。」

幽々子「また改めて挑みに来なさい、私は待っているわ。」

といい、幽々子はその場から立ち去った。後に残ったのは霊夢とロードスターの抜け殻のみだった。

1時間後、1台のキャリアカーがやってきた。キャリアカーはロードスターの前に止まり、誰かが車から降りてきた。それは南だった。

狐火を手から出すと周りを見えるようにした。

霊夢「…南…?」

南「あらあら、もし良ければ乗ってく?」

と言いながらキャリアカーに乗り車を反転させた。

キャリアが地面に降りていく、そしてロードスターをフックに引っ掛けいつでも乗せれる状態にしておいた。

南「霊夢、ボンネット開けてちょうだい。」

南(そういえば、エアロパーツ以外ボンネットは純正のままだったわね…。)

霊夢がボンネットを開けてみると、そこにはオイルで汚れたロータリーエンジンがあった。そう霊夢のロードスターはBPエンジンではなく2ローターエンジンが積んであったのだ。しかし、ここまで壊れてしまった以上どうすることも出来ないのだ。

霊夢「直せる…?」

南「…無理ね…。」

霊夢「え?」

南「かなりの負荷がかかったみたいね、2つのローターが真っ二つに折れてるしエキマニも焼けきっちゃって使えないわ。」

霊夢「そ、そんな…。」

南「細かいことは着いてから見ましょう、載せるから手伝って?」

霊夢「う、うん。」

ロードスターをキャリアカーに載せると、南はキャリアカーへと乗り込んだ。霊夢は助っ席に乗り何かが抜けた感じがした。

霊夢「…ねぇ、私がなんとかして直すからそれじゃダメなの?」

南「ダメなの、また改めてパーツ買ってやってもローターを支えるマウントも1個折れてるし…動かせたとしてもまたローターが折れて使えなくなってしまうわ。」

南「あのエンジンは"死んだの"…霊夢が最後の最後に勝ちたいと望んで必死に走ってくれたのよ。」

霊夢「…。」

南「あのエンジンは処分するわ。」

霊夢「え!?」

南「最後まで愛情を注いでいたエンジンなのは分かるわ…でも、でもこの子はもう生き返らないわ…新しいのに載せ替えるしか方法はない…とにかく今まで使っていたエンジンはこれで最後。」

霊夢「…私のせいだ…無理に踏んだから…。」

霊夢「ごめんロードスター…私、身勝手だった…。」

南「…。」

すると南は霊夢の頭を触ったまるで母親みたいに。霊夢は驚き、思わず霊夢の方へと振り向いた。

南「…霊夢のせいじゃないわ、ミスで壊した訳じゃないんだしね…。」

南「泣きたければ思いっきり泣いておくこと、これは私からの宿題…ロードスターは私達が全力で生き返らせてあげるから。」

霊夢「な、泣いてなんかないわよ…これは外が雨なだけよ…。」

霊夢「それにエンジン載せ替えなんて…乗り心地悪くなりそうで嫌だな…。」

南「そこは大丈夫よ、霊夢が驚くほど凄い車にしてあげるから。」

といい、南達は大神がいる店へと向かった。

敗北は敗北だが、エンジンが壊れてしまった以上霊夢の乗る車が消えてしまった。しかし、大神や南達はここで諦めてはいなかった。




12話を読んで頂きありがとうございます。イナリことイナリュウです。
…言うことがない(汗)。ロードスターが壊れてしまいましたが次は大神と幽々子が勝負する予定です。そして、西行寺 幽々子が乗っていたマスタングはフォード シェルビー マスタング Boss302のRTR仕様です。幽々子が"エレノア"と呼んでいるのは、映画60セカンズのフォード シェルビー マスタング GT500が出ていた名前を取って言っていると本人が言っておりました。実際フォード シェルビー マスタング GT500 エレノアが存在するので(映画の為に作った車だと思われますが…。)そのエレノアに憧れて乗っているという設定にしております。主な理由として紅魔館組は日本車がほとんどなので白玉楼組はアメ車かなという理由もありますが、幽々子は旧車とかだったらABSもないしトラコン(トラクションコントロール)もないからまじで速いんじゃねと理由に至りました。(紫や幽香も同じ理由です)
次回も頑張って書きますのでよろしくお願いします!

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