寝れなくて徹夜で仕事に行く事を決めた上での更新。
ーside和也ー
IS学園に通う生徒は原則として学園の寮で生活をする。その理由としてはISに関わる専門的な知識を学んでる生徒が、外部からの非合法な干渉を避ける為の処遇だっりしなかったりする訳だが・・・・ 取り敢えず、これは校則でも決まっている。故に、寮で暮らすのは生徒なら当然の事だ。
しかしその当然に当て嵌まらないのが、同居人の女子から同室を拒絶された俺だ。結果、俺は寮で生活をしていないし、寮の食堂すら利用していない。
そんな俺は秘密裏に学園内で住居を構え、誰にも知られる事なく独り暮らしを満喫してる訳なんだが・・・・・・
「ひっぐ、ぐすっ・・・・」
そんな我が家の直ぐ側に、最近出来た友人である鈴が陣取ってたらどうするべきか? しかも泣いてるらしいく余計に始末が悪い。
普通なら深入りせずにスルーするんだが、生憎と鈴がスルーして家に入るのは不可能な場所に居る。
ならば軽く挨拶をした上でスルーし家に入るか? いや、流石にこれは友人認定している相手にするには酷過ぎる。
武力を以て排除する? 俺は女権団や女尊男卑思想のクソ共とは違うので論外。
そんな感じに様々な選択肢を排除し、最終的に選んだのは・・・・・・
「・・・・こんなとこでどうしたんだよ、鈴?」
「ぐすっ、がず、やぁ~・・・・」
声を掛けた上で事情を聞くしかないの一点である。
「たくっ。マジでどうしたんだよ、こんな寮どころか校舎からも離れた場所で? オマケお前が泣いてるなんざ、よっぽどだろ?」
因みに鈴が泣いてるこの場所、寮とは逆方向だし、校舎からも徒歩15分は離れてる。しかもランニングしてても簡単には見付からない様に、かなり吟味して見つけた場所だ。普通は人なんか来る訳がない。
「ぐすっ、ひっぐ・・・・ 一夏が、一夏がぁ~・・・・・・」
オーケー、把握した。取り敢えず全ては織斑一夏が悪いんだな?
と言うか、未だに泣き止む気配すら見せない鈴の姿に、俺はもはや事情を聞いて早々にこの場を離れさせる選択を取ることも出来なくなってる訳で・・・・・・
「・・・・あぁもうっ! 仕方ねぇな~」
「ぐすっ・・・・ふぇ?」
非常に、非っ常に、ひっじょぉぉぉぉぉぉにっ! 遺憾だが、こうするしか手はない訳だ。
俺の反応に涙を流しながら首を傾げた鈴を尻目に、俺は取り出した携帯からある指示を飛ばす。
すると、数秒もしない内にそれは鈴の後ろで姿を見せた・・・・・・
「ホントは言いたくねぇんだけど、まぁなんだ、上がってけ。茶ぁぐらいはだしてやるよ」
「・・・・えっ? ちょ、なんで、こんな場所に家が・・・・・・?」
「なんでって、これが俺の寝床だからに決まってんだろ?」
急拵えとは言え、一戸建てレベルの一軒家。二階部分はないが、しっかりとした我が家だ。しかも普段からレーダーには映らない様にしてるし、不在時は光学迷彩で姿も視認出来ない様にしてる優れ物。
そんな我が家を目撃した鈴は・・・・・・
「・・・・はあぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!?」
涙すら止め、実に素晴らしいリアクションを見せてくれた。
・・・・あれ? 泣き止んでるんだから、もう放置して良いんじゃね? ・・・・駄目か。
「ほれ、ココアだ。先ずは落ち着け」
「う、うん。ありがとっ・・・・」
取り敢えず我が家へ初めての来客を迎え入れた俺は、先ずは鈴を落ち着かせるべきと判断しリビングにてココアを振る舞っている。
それをリビングのテーブルで受け取ると、鈴はおずおずとココアを口にした。
それから暫く、俺は鈴に話し掛ける事はしない。落ち着けと言った俺から話を聞き出しては急かしてる様にも感じたので、今は黙って鈴が話し始めるのを待っている。
そうしていると気持ちが固まったのか、鈴はゆっくりと口を開き始めた・・・・・・
「ぐすっ、ワタシね、小学生の時に中国から日本に来たの。それで、その頃は日本語も喋れなくて、皆から虐められてたんだ・・・・ でもその時に、一夏が虐められてた私を助けてくれた。それでワタシは、一夏の事が好きになったの・・・・・・」
泣いてた事情を説明してくれると思ったら、いきなりコイバナから始まった。どうすれば良い?
そんな事を思いながらも黙って聴き続けていると、話は漸く核心に近付いてくれた。
「・・・・それで国へ帰らなきゃいけなくなった時、勇気を出して一夏に告白したの。『もっと料理の腕が上手くなったら、毎日酢豚を食べてくれる?』って。そして、その時の答えを聞いてみたら・・・・『酢豚を奢ってくれるってやつだろ?』って・・・・・・」
・・・・はい? えっ、ちょっと待て? それって所謂、『毎日私の味噌汁を飲んで』的なアレだろ? 男だったら『毎日俺に味噌汁を作ってくれ』ってやつ。
それを『奢ってくれる』って・・・・ マジかぁ~・・・・ その発想は俺ですらなかったわ・・・・・・
因みに、味噌汁代わりに酢豚ってチョイスする発想もなかったわ。
「その答えを聞いたらスッゴい悲しくて、悔しくて、目の前が急に真っ暗になった様な気がして・・・・ 取り敢えずISは使わないで一夏を全力でぶん殴ってから、訳も分からず全力で走ってて、気付いたら此処に居たの」
「全力でぶん殴りはしたのな」
と言うか、IS使ってぶん殴り掛けてもいたんだな? お前・・・・ あれ、慣れてないと結構キツいんだぞ?
「ぐすっ・・・・ ワタシがちゃんと、酢豚じゃなく味噌汁で言えば、良かったのかなぁ? そうすれば、一夏にもワタシの気持ちは、伝わってたの? もう、分かんないよぉ・・・・・・」
・・・・うん。先ずは『毎日味噌汁を~』ネタから離れれば良かったんじゃないか? 正攻法で素直に告白した方が良かったんじゃないかと思ったが、それは決して口にしない。
俺はよく場の空気を壊すが、空気は読める人間だ。多分。
よって、真っ先に浮かんだ言葉を除外して鈴に掛ける言葉となると・・・・
「俺が知る訳ねぇだろうが」
「・・・・そう、よね」
傷口にボディブローな突き飛ばす様な言葉だった・・・・ だが、勘違いはしないで貰いたい。俺は鈴を、意味もなく傷付けるつもりはない。
「確かに味噌汁云々の話を使って告白したのは問題があったかも知れねぇ。その事を言う前に好きって言葉を付け足しとくべきだったかも知れねぇ。けどよ、そん時の気持ちは嘘なんかじゃねぇんだろ?」
「・・・・えっ?」
「好きな奴がいる。好きな奴に振り向いて貰いたい。自分の気持ちを伝えたい。そいつと、一緒に居たい・・・・ その気持ちの果てに、不器用ながら告白したんだろ? お前の気持ちを、そん時に出せる全力で伝えたんだろ? ならその行動は、気持ちは、嘘なんかじゃねぇだろ」
・・・・なんで俺は、こんなこっ恥ずかしい事を真剣に言ってるんだろうか? セフレは居ても恋人はいないってのに。
だが、自己嫌悪に浸るのは後で良い。今はただ、鈴とだけ向き合えば。
「あの馬鹿が何を考えてそんな事を言ったかは知らん。けど、それに対しどう終わりを着けるかはお前次第でしかねぇだろ?」
「終わりを、着ける・・・・」
「今回の事できっぱり諦めるのも良い。結局、その程度のもんだっただけだ。それでも諦めらんねぇんなら、ただ泣き寝入りしてるだけか?」
「・・・・・・」
「もう一度向き合ってみろ。織斑一夏にも、自分の気持ちにも。その上でどう終わりを着けるかは、俺が軽々しく口を挟むもんじゃねぇだろ? それに・・・・・・」
「それに・・・・?」
「・・・・お前、グダグダ考えて立ち振る舞う様なタマかよ? 自分の心に聞いて、正面からぶつかってく方だろうが? その方が、何より自分自身に納得出来んだから」
そうまで言ってやると鈴は何か思う所があるのか、目を閉じて俯き出す。その様子はまるで自分に何かを問い掛けてる様だ。
結局のとこ、最終的にどうするか決めんのは鈴だ。なら俺に出来んのは前を向かせ、止まった足を再び自分から歩き出せる様にしてやるだけ。それ以上は要らんお世話だ。
そうして数分待つと、腹は決まったのか鈴はゆっくりと両目を開いていく。
「・・・・うん。ワタシ、まだ一夏の事が好き。代表候補生にもなって、IS学園に編入までしたんだもん。簡単に諦めたりなんかしたくない・・・・」
「・・・・なら、どうすんだ?」
「決まってるでしょ? もう一度、一夏にこの思いを伝えてみんのよ・・・・ 正面からねっ!」
よぉぉぉぉぉぉしっ! これでもう似合わない真似をしなくて済むぅ!
いやホント、なんで俺がこんな恋愛相談紛いの事をしなきゃいけなかったんだよ? 明らかに人選ミスだったろ。
しかしその甲斐もあってか鈴も泣き止んで調子を取り戻した様だし、どうにか丸く治まってくれたな。
・・・・もう二度と、恋愛相談なんか御免だ。
「でも取り敢えず傷付きはしたから、先ずはクラス対抗戦で一発ぶん殴ってやるんだから! 和也! 折角だからあんたも協力しなさいよねっ!」
あっ、取り敢えず殴りはすんのな? いやまぁ、止めはしねぇけど。
そんな訳でクラス対抗戦に向けて何故か俺が協力する事を約束させられた後、鈴は寮へと帰って行った。
ついでに俺の家の場所は他言無用と言う事で約束させたが・・・・ 鈴の奴、間違ってバラシたりしねぇよな?
ーside和也 outー
感想にて『和也の専用機が複数在ることの制約』に関するコメントを頂きました。
これに関しては既に考えてあり、スッゴいネタバラシをするとクラス対抗戦のラストでその辺に触れる予定です。と言うか、ついでに他の伏線もちょっと回収します。学園長に提示した入学の際の条件とか。
本当はもう少し早めに入れるべきなんだろうけど・・・・ 引っ張ります。未だに箒が喋らないくらい、引っ張ります。でも、引っ張り過ぎて千切れる前には回収します。
では、ターンエンド!